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稲垣謙一

家族や友だちでもない、特別な関係――白石麻衣と秋元真夏「離れても私たちみんな乃木坂46」

2019/12/15(日) 08:34 配信

オリジナル

2019年は乃木坂46にとって激動の1年だった。グループを牽引してきた西野七瀬らの卒業、衛藤美彩の結婚。「アイドルのセカンドキャリア」という言葉が叫ばれて久しいが、乃木坂46のメンバーもまたそれぞれの人生を歩みつつある。一方では、2016年加入の3期生、2018年加入の4期生によるライブも成功。乃木坂46は新たな一歩を大きく踏み出した。結成当初から乃木坂46を牽引する白石麻衣(27)、9月に新キャプテンに就任した秋元真夏(26)は、出会いと別れを繰り返しながら前へ進むグループを長年見てきた。来年2月でデビュー8周年、1期生の2人が語る、変わるものと変わらないもの、そして改めて「乃木坂46」とは。(取材・文:田口俊輔/撮影:稲垣謙一/Yahoo!ニュース 特集編集部)

本当にみんなには幸せになってほしい

女優としてのキャリアを着実に築く深川麻衣、若月佑美。バラエティーに舞台にとマルチに活躍する生駒里奈。朝の顔となった斎藤ちはる(現:テレビ朝日アナウンサー)、市來玲奈(現:日本テレビアナウンサー)。今、乃木坂46という場で研鑽を積んだメンバーたちは、その先の場所で次なる幸せを築いている。彼女たちの活躍が、今いるメンバーたちにも大きな刺激と希望を与えている。

アイドルのその先の幸せ……その意味で、衛藤美彩の埼玉西武ライオンズの源田壮亮選手との結婚もその形の一つだ。

「聞いた時はビックリ! 一人の女性としての幸せを衛藤には築いてほしいですね」(白石麻衣)

「活動を一段落させて、自分の幸せを追求する姿はすごくステキだと思います」(秋元真夏)

白石には自身の幸せ以上に願うことがある。

「乃木坂46に関わった人全員が、グループを離れても幸せになること。私、何かあるたびに楽屋でみんなに『本当にみんなには幸せになってほしい!!』って口癖のように言ってますから(笑)」

左から秋元真夏、白石麻衣。今回の撮影では、リモコンで自分たちでもシャッターを切ってもらった

楽しかったことも、つらかったことも全員で共有してきた

今月17日には写真集『乃木撮VOL.02』(講談社)が発売される。写真集ジャンル史上最高の32万部を記録した『乃木撮VOL.01』の続編だ。「謙虚」「しとやか」といったグループのパブリックイメージを、良い意味で覆す赤裸々で無防備な姿がおさめられている。

『乃木撮VoL.2』(講談社)より。左から白石麻衣、生田絵梨花、秋元真夏

今年7月公開の映画『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』においても、『乃木撮』で見せる仲むつまじい姿そのままの、ありのままの絆にフォーカスを当てていた。生まれた場所も時間も、重ねた年月も違う彼女たちが、ここまで距離を縮められたのはなぜか?

秋元の答えは実にシンプルだった。

「みんな、乃木坂のことがメチャメチャ好きなんです」

白石もうなずく。

「楽しかったことも、つらかったことも、みんなで乗り越えてきました。その経験で得たいろんな思いを全員で共有すればするほど『みんなのことが好き』という気持ちが強くなっていく。そうなると、みんなとの出会いをくれたグループへの愛情も深くなって、さらにみんなの絆も深まる……それを繰り返し続けているから、みんなのことが、乃木坂46が好きな理由なんだと思います」

もはや彼女たちにとって乃木坂46という場所は、ただのアイドルグループではないようだ。

「家族でもない、友だちでもない……なんだろう? ピッタリな言葉がない。きっと今後の人生で、こういう関係性の人たちに巡り合うことはないんじゃないかな」(白石)

ポラロイドカメラでもお互いを撮り合ってもらった

まいやんは人前で弱さを見せない

特別な存在と認め合うメンバーたち。共に8月20日生まれの2人に、言葉での『乃木撮』、つまり普段の2人を紹介し合うことをお願いした。互いに顔を見合わせ照れくさそうに笑う。秋元がまず口を開いた。

「最初に乃木坂46のイメージやいろんなお仕事のジャンルについて、踏み出してくれたのがまいやん。誰も進んでいない道を開拓するってメチャ難しいはずなのに、ビックリするぐらい弱音も吐かないし悩みを周りに打ち明けず黙々と切り開いていく。しかも大変なはずなのに、この8年間ずっと、会えば『やぁ、おはよう!』って元気に挨拶してくれる。強くてカッコよくて元気をくれる。『こんな人、いるんだ!』という衝撃。尊敬しかない」

「朝から元気なのは間違いない」と笑う白石は、秋元の称賛に謙遜の意味を込めて静かに首を横に振る。

「メチャメチャ普通の人間ですよ。確かに涙や弱さは真夏の前で見せないですね……というより、メンバーの前で感情的になることはありません。私にとってメンバーは支えたい存在。泣いている子がいたら寄り添う側でいたいんですよね」

その姿勢がさらに尊敬できると秋元が褒めれば、再びいやいやと首を横に振る白石。この他者への敬意と、驕らない慎み深さが乃木坂46の一員たる美徳なのだろう。逆襲とばかりに白石は秋元をこう評した。

「真夏は努力家。コツコツと小さいことを積み重ねて、秋元真夏にしか築けないポジションを確立しました。新たにキャプテンに選ばれたのも納得。このまま何も変わらず、努力家の真夏のまま乃木坂を支えてほしい。個人的にもどんな時でも真夏と一緒にいると安心するんです」

秋元の顔がほころぶ。

「この言葉を噛みしめるだけで、何年でもキャプテンを頑張れる気がします!」

寂しさを引きずっている場合じゃない

『乃木撮』の本編とクレジットには、乃木坂46から旅立った仲間たちの姿と名前が刻まれている。この1年半、乃木坂46は多くのメンバーを見送ってきた。今年も西野を始め、長年選抜として中軸を務めてきた努力家の衛藤、ムードメーカー的存在の斉藤優里、2期生のまとめ役を担った伊藤かりん、キャプテンとして約7年間グループを牽引してきた桜井玲香という、乃木坂46を内側から支えてきた頼もしい面々との別れが待っていた。西野について触れると「卒業は今でもつらい」と秋元は語る。

しかし、道はいつしか交わる。11月末に放送された歌番組『ベストアーティスト2019』(日本テレビ系)で、現在女優として活躍する西野とコラボという形で再会を果たしたのだ。ほんの一瞬の邂逅(かいこう)、だが2人は西野の姿に安堵した。

「相変わらず可愛かったね」(白石)

「空気感は乃木坂にいたころから何も変わらずいて、安心しました」(秋元)

互いに歩み続ければ、またどこかで会える。この希望が前を向かせた。

「どんな変化が訪れたとしてもプラスに捉えよう!と、意識が変わりました。寂しさを引きずるのではなく、新しい子たちと共にみんなの大好きな乃木坂46をちゃんと続けていくことが、きっと卒業していった子たちも嬉しいと思うんです」(秋元)

「玲香が最後のコンサートで『卒業しても自分は乃木坂にずっと関わっていくんだろうな』と語っていたのがすごく印象的でした。卒業してきた子たちがいたからこそ、今の乃木坂があります。変化することは全然悪くない。常に新しくなっていくことが当たり前ですので、『別れや出会いを経験して乃木坂46は、私は、どんなふうに変わっていくのだろう?』という楽しい気持ちを持って、これからも進んでいきたい。離れても私たちみんな乃木坂46なんです」(白石)

乃木坂46がいつも使っているレッスンスペースにて

乃木坂46(のぎざか ふぉーてぃーしっくす)
2011年8月結成。2012年、シングル『ぐるぐるカーテン』でデビュー。2017年に発売した17thシングル『インフルエンサー』が初のミリオンセールスを達成。同年8月には単独東京ドームコンサートを開催、17年、18年には2年連続で「レコード大賞」受賞などするなど名実共にトップアイドルグループに。
2019年はシングル『Sing Out!』、『夜明けまで強がらなくてもいい』の両作がミリオンセールス達成。台湾、上海でのコンサートを開催。12月17日に写真集『乃木撮 VOL.2」を刊行。

白石麻衣(しらいし・まい)
1992年8月20日生まれ。群馬県出身。

秋元真夏(あきもと・まなつ)
1993年8月20日生まれ。埼玉県出身。


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