被写体としての広末涼子の姿に、圧倒され続けた撮影だった。10月13日から放映される「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」(日本テレビ系)の撮影をひかえた8月の終わり、彼女の取材を行った。広末の語ってくれた過去から未来までは「私の人生、ハチャメチャですから――広末涼子が笑って語る『私はマリア様なんじゃないですか?』」で紹介したが、そこでは掲載しきれなかった写真の数々をここで紹介したい。(文:宗像明将/撮影:稲垣謙一)
絶え間なく変わっていく表情
1枚として同じ写真がない。カメラマンがシャッターを切り続ける間、絶え間なく広末涼子が表情を変えていくからだ。
カメラの前に立った瞬間から、広末は広末でありつつも別の誰かのようにもなる。被写体としてあまりにも圧倒的だ。息を飲んでその姿を見守りながら確信する。広末涼子は天才そのものだ、と。
カメラに接続されたノートパソコンには、撮影された広末の写真が次々と表示されていく。どれも素晴らしい。そんな写真が膨大に生みだされていく。この記事に掲載されているのは、そのほんの一部だ。
何者をも突き放さない優しさ
まだ夏の暑さが続く8月の終わりのある日、都内のスタジオでの取材。撮影が終わるとインタビューへ。広末は疲れも見せず、こちらの問いかけに真摯に答えようとする。かと思うと、自分から逆に質問してみせるなど、茶目っ気も見せた。
チャーミングであることの本質とはなんであろうか。ただ愛想がいい、ということでは決してない。胸の奥の何かを少しだけ見せて、次の瞬間にはさっと隠す。そんなことが何度か繰り返されたインタビューだった。
写真の中の広末は、笑顔ひとつでもさまざまなニュアンスを見せる。思いきり笑っているものもあれば、柔和なものもある。シリアスな表情でカメラを見つめたかと思うと、次の瞬間にはふとどこか遠くを見る。クーラーの風に揺れるカーテンの中に、少しだけ顔を隠す。
広末の表情には、何者をも突き放さない優しさが常にある。それは、1994年に14歳でデビューしてから25年、芸能界の第一線を走り続けてきた彼女の人生を、静かに物語るかのようだった。
撮り下ろし未公開写真15枚を一挙掲載
以下に、今回の取材で撮影した広末の写真をさらに掲載する。驚くほど豊かな表情を見せる彼女の姿をぜひ見てほしい。