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伊藤圭

デビューから12年、新体制へ。AAA浦田直也が語るグループの軌跡と未来図

2017/05/21(日) 07:48 配信

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昨年11月に初の単独ドーム公演を成功させ、今年春には『JUNON』『AERA』『anan』『Popteen』『NYLON』などの表紙を飾り、同じく表紙に登場した『CanCam』4月号が創刊35年で初の重版となった。

2005年、エイベックスが主催するオーディションの合格者で活動を開始した音楽グループAAA(トリプルエー)は、結成から12年、今年はグループ初の4大ドームツアーも決定している。

デビューからこれまで多くの人々の支持を集め、日本レコード大賞での受賞やNHK紅白歌合戦出場の常連となっているが、リーダーの浦田直也に人気の実感を問うと、「自分たちが売れているという感覚はない」というきっぱりとした答えが返ってきた。

ではAAAはこの12年、どのような道を歩んできたのだろうか。浦田の口からこれまでの軌跡と未来について語る。(取材・文:鳴田麻未/写真:伊藤圭/Yahoo!ニュース 特集編集部)

AAAは、まだピースが揃っていないパズルのよう

「AAAって、まだピースがすべて揃っていないパズルのようなグループだと思っているんです。たとえば、グループ名は知っているけど曲はわからないとか、グループ名も曲も知っているけどメンバーの名前はわからないとか、そういったケースが多い。その、皆さんの中で欠けてしまっているピースをどれだけ増やして、どれだけ多くのところにハメていくことができるかという試行錯誤を、12年かけてやってきているという感覚です」

“Attack All Around(すべてのことに挑戦する)”という意味を込め、その頭文字を取って「AAA」。歌とダンスはもちろんのこと、舞台、バラエティ、ドラマ、ファッション誌などマルチな場で活躍することを目指すと宣言していた。

「デビュー当時は(グループ名の)プレッシャーが大きかったです。歌にしてもうまいって思われたいし、顔が映るにしてもカッコいいって言われたい。何をするにしても『うまくなきゃいけない』と思っていました。でも当時のスタッフから、『なんでもできます』じゃなくて『なんでも挑戦します』っていうグループだから完璧じゃなくていい、と言われて。そこから気持ちが変わりましたね。最初から完璧なものを見せられないことがあったとしても、僕らは何もかもが挑戦で、挑戦してる姿を見せていけばいい。その姿勢は今でも変わっていません」

「今がんばらなかったら、俺ら終わっちゃうかも」

彼らに訪れた最初のターニングポイントは、2010年、24枚目のシングル「逢いたい理由/Dream After Dream ~夢から醒めた夢~」をリリースしたときだった。小室哲哉の復帰第1作としてプロデュースされたこの曲で、年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場。「日本レコード大賞」で優秀作品賞にも輝いた。

しかしこの時点でデビューから5年。喜びに沸く一方、グループ内には未来を見据えて緊張感が漂っていたという。

「『今がんばらなかったら、俺ら終わっちゃうかも』みたいな感覚がありました。紅白歌合戦に出場できることは嬉しいけれど、次の年にも出られなかったら、今回が自分たちのピークになってしまう。そんなふうに、嬉しいことがあるたびに、『次はないかもしれない』という不安がどんどん増えてきてしまっていた気がします」

そんな葛藤をグループで抱えてきたとき、彼らはどのような話し合いをし、どのように前を向いたのだろうか。

「2011年ごろ、メンバーみんなで話し合って、『まだ満席にはできないかもしれないけれど、ホールではなくアリーナでツアーをやりたい』とスタッフさんに申し出たことがあります。結果、満席なところもあれば、あまり埋まっていなくてショックだった会場もあったし、そこで現実を見ました。でも、自分たちの力で上を目指し直そうと考えて取り組んでいたという実感はあります」

彼らがグループ活動で重点を置いたのはライブだった。2010年代のAAAはライブ活動に一層力を入れ、そこでファンとの絆を築いていくことになる。そして現在も、年に2本のライブツアーを行うことが珍しくない。

「一年中ライブをしている感じですね。リハーサルが1か月あって、ツアーを2か月やって、それをまたすぐ繰り返して……。常にライブのことを考えてます。歌があって、ダンスがあって、演出があって。ライブというのは、AAAのやりたいことが一番詰まっているものなんです。声援が大きくなってる、規模が大きくなってる、とファンの方々の反応をわかりやすく見て取れて、自分たちの成長が実感できる場所でもあって、自然と特にライブに力を入れるようになっていきましたね」

デビュー10周年を迎えた2015年頃からは、それまでの活動が実を結び、初のアジアツアー、富士急ハイランドで3日間の初野外ライブと、大きな規模のステージが実現した。むろん、メンバーのパフォーマンス力も向上し、AAAのライブは安定したクオリティとオリジナリティを兼ね備えたエンタテインメントに達している。

『CanCam』塩谷編集長曰く、AAAはずっと『CanCam』読者からの人気があったという。

「『CanCam』はファッションやライフスタイル、メイクなど20代の女の子たちの“今”の憧れや願望をきりとる雑誌なのですが、AAAも『こんなふうに男女の仲間をつくって、何かしてみたい』と憧れを抱かれる存在なんです。グループ内でのペアやソロの活動も人気で、『CanCam』読者にもずっと支持され続けてきました。昨年は初の4大ドームツアーが行われる記念すべき年だったので、その流れを経て、満を持しての表紙起用となったといえます」

ソロは体力をつける合宿のようなもの

浦田は4月にソロアーティスト urata naoya(AAA)としてオリジナルアルバム「unlock」を発表し、5月から2年半ぶりのソロツアーを開催する。全曲作詞を手がけた今作について、本人は「浦田直也として34年、歌手・浦田直也として11年生きてきた中で、口に出さなかったこと、口に出せなかったこと、心にしまっていた言葉たちをうまく『解放(unlock)』することができました」と話す。

「真実」「空」「虚像」「隣」「愛」

シンプルなタイトルと独白とも取れる歌詞に、こちらが面食らうほどだが、「『あのとき実は……』と言えるってことは、今それだけグループを愛している証にもなる」と浦田は胸を張る。

また、「AAAの曲で、ここまで赤裸々に自分の思いを出すことはない」と断言。彼の中では、AAAでやるべきこととソロ活動でやること、意識して線引きをしているようだ。

「グループでの活動なら誰かが助けてくれるということがありますけど、ソロは1人ですべてをやらなきゃいけない。その機会を重ねると強くなるし、ソロはなんだか体力をつけにいっているような、合宿に行ってる気持ちでやっています。不安があっても1人で出来れば、『なんだ、1人でもできるじゃん』と安心材料に換わるので、実際グループに帰ると、それまで以上に力を出せるようになっているんです」

浦田以外にも、他のメンバーもソロ活動を行い、それぞれ、ソロ活動で得たものを持ち帰り、AAAの深みはさらに増していく。

「次は6人でどんな大きな幸せをつかもうか」

10年以上、精力的な活動を続けるAAAに、モットーを聞いてみた。

「まったくないですね。目標やモットーはデビュー当時から決めてない。自然に出来上がったグループの性格だと思います。うちらはヘンに頑固で、決め込むことが嫌いなんです。それこそ、ライブのMCの内容も時間も一切打ち合わせしないくらいですから」

今年4月から6人体制となったAAA。リスタートともいえる大事な時期ではあるが、今メンバー内に流れている空気は「すごくいい感じ」と浦田は柔らかく笑う。

「グループが大人になっていく中で当然の流れだと思うし、AAAのメンバーとして以前に1人の人間として大切なので、幸せになってくれてとてもうれしいです。もちろん心配に思うこともありましたが、みんな同じ方向を向いて考えることができましたし、人数が変わったからAAA自体が変わってしまうという感覚はないんです。これまで7人でたくさんの幸せをつかんできたから、次は6人でどんな大きな幸せをつかもうか、というモードに入ってます。『千晃に負けないぐらいうちらも幸せになりたいね』って」

AAAというグループはパズルのようであり、そのピースはまだ揃っていないと語った浦田だが、パズルの完成予想図はどうなっているのだろうか。

「全部で何ピースあるかもわからない。それがいつかすべてハマったとき、やっと『俺ら売れたね』って言葉が出るのかもしれないです」

ピースを探す旅は終わらない。AAAというパズルは未開の地へ拡大し続け、今はまだその最中だ。

編集協力:プレスラボ

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