殿村誠士

「私は向いていないと思う」――欅坂46・渡邉理佐がそれでもステージに立つ理由

4/13(土) 8:14 配信

「前に出たいとはあまり思いません」「ガツガツしすぎるのは自分じゃない気がする」――欅坂46・渡邉理佐(20)の自己分析は控えめだ。欅坂46の主要メンバーとしてだけでなく、ファッション誌『non-no』の専属モデルとしても活動する渡邉。同誌5月号では初のソロ表紙を飾るなど、読者からの支持も集めている。

それでも渡邉は、幼いころから変わらず、ずっと人前に立つことが苦手なままだという。彼女は、なぜアイドルという仕事を選び、何万人もの前で歌い踊り続けているのだろうか。(取材・文:左藤豊/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース 特集編集部)

「有名になりたい」なんて思ったこともなかった

「『有名になりたい、目立ちたい』なんて、思ったこともありませんでした。そんな私が欅坂46の一員として活動しているなんて、自分でも驚いています。小さなころに思い描いていた未来とはまったく違いますね」

「乃木坂46の新プロジェクト」として2015年に誕生した欅坂46。渡邉理佐はその初期メンバーとして活動を開始し、現在5年目。2枚目のシングル『世界には愛しかない』(2016年)や7枚目のシングル『アンビバレント』(2018年)では、センター・平手友梨奈の隣という重要なフロントポジションを担当したほか、今年1月1日放送の『CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ』(TBS系)ではけがで休養中だった平手に代わりセンターポジションを務めるなど、グループの顔の一人としての役割も担う。

常にスポットライトを浴びるセンターを夢見て、アイドルの世界に足を踏み入れた少女は数え切れないほどいる。しかし、渡邉の願望はそこにはなかった。

「前に出たいとはあまり思うことがない性格なので、『私なんかが、とんでもない。恐れ多い』って思っちゃいます。そんな性格だから『本当にやる気があるのか?』と思われてしまうかもしれないんですけど(苦笑)」

子どものころから目立つことが苦手で、極度の人見知りだった渡邉。そんな彼女が描いていた将来の夢は保育士だった。高校2年生で欅坂46に加入するまで、保育士資格取得を前提とした進学を考えており、それ以外の進路は頭になかったという。実際に子どもの世話を体験したときの印象も大きかった。

「普段は人見知りな私も、小さな子どもが相手だと自分から話しかけに行けるし、一緒に外で鬼ごっこをしたり部屋の中で折り紙を折ったりすると、とても心が癒やされたんです」

しかし、「夏休みの思い出作り」の一つとして興味本位で応募した「乃木坂46の新プロジェクト」(後の欅坂46)オーディションに合格したことで、彼女の人生は思いも寄らない方向へ転がることとなった。「まさか合格するとは思っていませんでした。自分にアイドルが務まるなんて思っていませんでしたから」と渡邉は振り返る。

ガツガツしすぎるのは私らしくない

目立つことが苦手な渡邉が、決して強い憧れを持っていたわけでもないアイドルの世界へ――。普通に考えれば、明らかにミスマッチな職業選択だ。そもそも、頻繁に行われる握手会で初対面のファンと会話をすることさえ、戸惑いも多かったという。しかし、そのネガティブな感情を払拭してくれたのもまたファンだったという。ファンが話しかけてくれることで、いつしか自分からも話しかけられるようになった。

「別に自分で『人見知りを克服しよう』という努力は全然していないんですよ。今も人見知りだと思うし、自分が変わったという意識はありません。もし変わったとするなら、たくさん経験を重ねたことで自然に何かが身についたんだと思います」

3日間で4万5000人を動員した、欅坂46の野外ワンマンライブ「欅共和国2018」を始め、数多くのステージも経験。今も「目立ちたい」という気持ちはあまりないが、彼女のなかには新たな感情が生まれてきた。

「たくさんの人がいる前で何かをするのは今も苦手なことだし、目立つことには躊躇してしまうときがあります。でもライブは、リハーサルはすごく大変ですけど、本番が終わった後の達成感が大きくて『楽しかった!』と思えるんですよね。本数を重ねるたびに少しずつ余裕や自信も出てきて、今では楽しんでできるようになってきました」

それでも、自分から何かを変えようと努力をしたことはない、と渡邉は繰り返す。

「もちろん、バラエティー番組に出演したときにもっと自分から発言できるようになれたらいいなと思うし、そこは課題だと思っています。ただ、だからといってガツガツしすぎるのは自分じゃない気がするんです。ファンの方には飾らない私を好きになっていただけたらうれしいし、ここ1年くらいの活動で自信がついて『私は私らしくありたい』と思えるようになってきました」

私、こういう笑い方をするんだ

乃木坂46・白石麻衣のセカンド写真集『パスポート』(講談社)が重版を重ね、現在、累計発行部数は35万部を突破、同じく乃木坂46・生田絵梨花のセカンド写真集『インターミッション』(講談社)も30万部に達するなど、アイドルの写真集は一種の「ブーム」を呼んでいる。

そして、乃木坂46と同じ「坂道シリーズ」に属する欅坂46のメンバー・渡邉の初の写真集『無口』(集英社)も今月10日に発売された。「初版13万部」という数字は、ファースト写真集としては坂道シリーズ最多となる。

「『無口』というタイトルはすごく私っぽくて、気に入っています。こういうタイトルだからクールな写真がいっぱいあるのかと思いきや、ポップでカラフルなカットが多くて、いい意味でビックリしてもらえるんじゃないかなと思います」

写真集『無口』から(提供:集英社)

『無口』というタイトル通り、渡邉は多くを語らないキャラクターで、バラエティー番組でも「クール」と評されることが多い。しかし、アメリカのマイアミ、そしてバハマの明るい太陽の下で撮影された写真集に収められているのは“クール”とは程遠い弾ける笑顔の数々であり、意外な印象も受ける。

「私自身、撮影はクールな表情のほうがやりやすいとずっと思っていたので、今回、『私、こういう笑い方をするんだ』と自分でも発見があって。特にゲームセンターで楽しんでいるカットは、普段友達と遊んでいるときのような感覚で、いい意味でカメラを意識せず撮影できました。そこはぜひ注目していただきたいですし、『私にはこういう一面もあるんだよ』というのが伝わればうれしいなと思います」

写真集『無口』から(提供:集英社)

とはいえ、目立つことが苦手な渡邉である。ソロ写真集の発売に当たって「私なんかが」という心情にはならなかったのだろうか。

「そういう感情がなかったわけではないし、見てくれる人なんているのかなという気持ちはありました。でも、ファンの方から握手会などでずっと『写真集を出してほしい』という声ももらっていたんです。だから、写真集の発売が決まって『やっと一つ、お返しできるものができる』と思いました。この『無口』は、応援してくださる方たちへ私からの『恩返し』の気持ちも詰まってます」

向いているとは思わない、だけど誇りだと思う

渡邉が所属する欅坂46は現在、転機を迎えている。彼女と同期である1期生からグループを卒業するメンバーが現れ、また昨年11月にはオーディションで選ばれた9人が新たに2期生として加入し、メンバー構成は大きく変化した。

新メンバーの加入によりどのような化学反応が起きるのか――2期生メンバーのなかには、関有美子と松田里奈のように「私たち(2期生)のことをファンの方に受け入れてもらえるか心配です」と不安を吐露する者もいる。

渡邉は「そこは安心してほしい」と穏やかな表情で言う。

「私たち(1期生)も最初は乃木坂46さんに次ぐ『坂道シリーズ・第2弾』としてデビューしたわけで、同じような不安は抱いていました。でも、それは時間が解決してくれたんです。それに、2期生が入ってくれたことが1期生にとっては刺激になっているし、気づかされることもたくさんあるんです。なので、これからお互い良い関係を築いて、より欅坂46というグループを盛り上げられたらいいなと思っています」

「自分にアイドルが務まるとは思えなかった」という高校時代から3年半が経った。“無口”で人見知りな面こそ幼少期から今も変わってはいないが、仕事を通じて達成する喜びを知り、経験を重ねることでいつしか自信もついてきたように感じられる。

「いえ、今でも全然向いていないと思っています(笑)。ただ、普通の女の子だったら経験できないようなことをさせていただいていることは誇りに思いますし、応援のお手紙をいただいたりたくさんの方が握手会に来てくださったりすることも私の支えになっています。『non-no』のお仕事を通して、読者の女の子が私の私服やコスメをまねしてくれたり、私に憧れて髪を切ったと言ってくれたりして、すごくうれしかったんです。そんな喜びがあるから、私はこのお仕事を続けているんじゃないかなって思います」

渡邉理佐(わたなべ・りさ)
1998年7月27日生まれ。O型。茨城県出身。2015年8月、欅坂46の1期生オーディションに合格。2016年4月シングル『サイレントマジョリティー』でデビュー。以来、常にグループの中心メンバーとして活躍。女性ファッション誌『non-no』専属モデル。

スタイリスト:笠原百合
ヘア&メイク:KITA(Nord)


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