殿村誠士

揺れ動く男性アイドルの勢力図、6人組ユニット超特急は「新たな地図」を描けるか

1/5(土) 8:56 配信

日本の男性ダンス&ボーカルユニットの勢力図が変わりつつある。大きなきっかけとなったのは、2016年末のSMAP解散だ。音楽だけでなくドラマやバラエティなど多方面でマルチに活躍していた彼らのポジションが「空いた」。ジャニーズ事務所所属の別のユニットやメンバー以外にも、それまで目にする機会がそう多くなかったユニットも表舞台に出てくるようになった。「SMAPロス」の影響でシーンの見取り図は大きく変わり、新しい地図を用意しなければならなくなったほど。

さらに勢いを増すEXILEを筆頭とするLDH系、「U.S.A」で再ブレイクを果たしたDA PUMP、名古屋を拠点とするBOYS AND MEN……。多くのプレーヤーがしのぎを削る中、SMAP的なマルチな活躍もできるユニットとして注目を集めているのが「超特急」だ。(Yahoo!ニュース 特集編集部)

「鉄道」をモチーフに、2011年に結成された6人組ユニット「超特急」。結成からはすでに7年経っている。似た名前の韓国ユニットに間違われるなど、不遇の時代もあった。文字通りのスピード出世とはいかなかったが、下積みを重ねてこの数年で一気に開花。日本の男性ダンス&ボーカルユニット領域における、独自のポジションを築き始めている。

17年に初のオリコン1位を獲得し、さいたまスーパーアリーナには2万人以上を動員。ボーカルであるタカシの歌と、他のメンバー5人のダンスを基本とするが、その活躍の場は音楽の枠を超え、バラエティー番組やトークイベントへの出演も増えてきた。

「全ての電車のラッピングになりたいんですよ。見ない日はないっていうくらい大きくなりたいですね」

いたずらっぽく笑いながら言うのは、超特急の「6号車」にして「元気担当」ことユースケ(23)だ。

超特急の「6号車」ことユースケ

電車になぞらえて、メンバーはそれぞれ「2号車」から「7号車」まで号車とイメージカラーが割り振られ、キャラクターも細かく設定されている。

たとえば、2号車のカイ(24)は「神秘担当」、3号車のリョウガ(24)は「ガリガリ担当」、4号車のタクヤ(24)は「筋肉担当」、7号車のタカシ(22)は「末っ子担当」。そして「8号車」がファンの号車で、スタッフは「9号車」だ。

取材現場でのメンバーたちは、驚くほど気さくな若者たち。インタビュー中も、和気あいあいとお互いにツッコミを入れあい、笑いあう。彼らが愛されるのは、その親しみやすさ、そしてファン目線を大事にするところだろう。

「ドジっ子担当」のユーキ(5号車、23)が言う。

「5号車」で「ドジっ子担当」のユーキ

「ファンの方もメンバーだって僕らは言ってるし、『8号車』も一緒に楽しめるようにして、置いていかないことをすごく意識してます」

下積み時代から、常にファン目線を忘れずに前を向いてきた。

路上ライブから「出発進行」

2011年の結成当時、メンバーはまだ高校生や中学生だった。

「そもそもライブ会場もなく、新大久保(東京)の路上で、砂利の上でつるつる滑りながら踊っていたり。お客さんは十数人ぐらいでした」(リョウガ)

「ガリガリ担当」の「3号車」ことリョウガ

「たたき上げ」で少しずつ経験を積み、「各駅停車」のような歩みでキャリアを積んでいた超特急だったが、2015年ごろからあるキーワードをもとに急速に人気を拡大していくことになる。

「ダサかっこいい」だ。

「『バッタマン』っていう曲が転機かなって思います。超特急らしさが一発でわかる曲だな、って。『あの曲に惹かれて超特急のファンになりました』っていうファンの方も多いので、すごく『バッタマン』には助けられてるなって思います」(ユースケ)

「バッタマン」は2015年のリリース。MVの冒頭、中華料理屋で食事をしている超特急の隣のテーブルで、女性たちが会話を始める。

「超特急って知ってる?」

「あ、たしか韓流の人たちでしょ!」

当時の超特急をめぐる状況を逆手に取りながら、ファンコットというインドネシアのダンスミュージックのリズムに乗って、超特急はコミカルなダンスを繰り広げていく。こうした「かっこいい」のに「ちょっとズレてる」感覚が、ファンの心をつかんだ。

「最初のころは、よく名前を間違われました」(ユースケ)

すべてが順風満帆な「快速運転」、とはいかなかった。

自分たちのできることを貫く

「それでも」と、ユースケは続ける。

「周囲からどう言われようと、今は自分たちのできることを貫いていければいいかなっていうふうに思います」

ユースケの言う「自分たちのできること」――それを象徴しているのが、超特急が初めてオリコン週間シングルランキングで1位を獲得した「超ネバギバDANCE」のMVだ。「超ネバギバDANCE」は、「ダサかっこいい」を実によく体現している。

機関士に扮して一列になって路上を行進したかと思うと、ストリートでヒップホップダンスを踊る。楽曲は、ダンスミュージックであるEDMを取り入れたサウンド。ユーモアとクールさが共存する「ダサかっこいい」が具現化されている。

一方、2018年にリリースされたアルバム「GOLDEN EPOCH」の収録曲「need you」のMVでは、超特急は恋することの苦しみを全身を使って表現している。ほとばしる感情をダンスに注ぎ込む。

ダサくもなれる。かっこよくもなれる。その振れ幅こそ、超特急の魅力だ。

「『一つの味だけじゃなくて、もう一個、味があるよ』って、いろんなことをわずかな時間の間に提供することができるのが僕たちだなって」(タカシ)

ボーカルの「7号車」ことタカシ

多才なスターを目指して

「超ネバギバDANCE」のブレークをきっかけに、超特急の勢いは加速していく。2017年から2018年までの年末年始にかけては、幕張メッセイベントホール、横浜アリーナ、日本ガイシホール、大阪城ホールといった万単位の収容規模を誇る会場でアリーナツアーを行った。現在、アリーナツアーができる男性ダンス&ボーカルユニットは数少ない。

メンバーのテレビ出演も盛んだ。リョウガは「踊る!さんま御殿」(日本テレビ)「水曜日のダウンタウン」(TBS)、ユーキは「アッコにおまかせ!」(TBS)、ユースケは「潜在能力テスト」(フジテレビ)「ヒルナンデス」(日本テレビ)といった人気番組に出演。タクヤは今月からドラマ「家売るオンナの逆襲」(日本テレビ)に出演する。

自分たちが登場する屋外広告が増えたり、ライブのセットが豪華になったりしたことは実感しているものの、人気自体が上がっている実感はないと、超特急のメンバーは口をそろえる。

「4号車」のタクヤは連続ドラマの出演も控えている

「人生のメインが超特急の活動だったんで、そこまで入り込むと俯瞰(ふかん)して見られない自分もいて。『こんなに大きくなってるんだ、俺ら』みたいな感じは一切ないですね」(タクヤ)

「CDリリース時期の取材が増えて、いろんな方から興味を持ってもらってるんだなっていう実感はありますね。だけど、それがイコール人気なのかどうかはあんまりわかってないです」(カイ)

「2号車」のカイは「神秘担当」

少しずつスターダムへの階段を上っている超特急。それでも彼らはまだハタチそこそこの若者である。20代の目標を聞くと、リョウガは少しだけ悩んだ末にこう宣言した。

「たくさんの音楽番組に出たいですね」

2018年12月7日、超特急はさいたまスーパーアリーナのステージに立った。会場に集まった「8号車」は、過去最大規模の約2万3000人。チケットは秒速で完売。可動式LEDパネルでのパフォーマンスや、火薬による特殊効果の80連発がステージを彩った。

テレビ業界は、往年のSMAPのような、音楽にもバラエティーにも、さらにはドラマにも対応できる、新たなスターの登場を待っている。ダサさとかっこよさを併せ持ち、活動の幅を音楽以外にも広げる超特急。男性ダンス&ボーカルユニットの新たな地図をめぐるニューカマーから、今後も目が離せない。

超特急(ちょうとっきゅう)
メインダンサー&バックボーカルグループ。メインダンサーのカイ(2号車)、リョウガ(3号車)、タクヤ(4号車)、ユーキ(5号車)、ユースケ(6号車)、バックボーカルのタカシ(7号車)からなる6人組。2011年12月25日に結成、2012年6月10日にCDデビュー。ライブチケットは毎回秒速で完売。2019年には、10万人動員のホールツアーを開催する。Yahoo! JAPANでは冠番組「ギラギラ超特急」を配信中。


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