横浜DeNAベイスターズ・ファーム対BCリーグ選抜【投手編】

横浜DeNAベイスターズとBCL選抜チームの試合はベイスターズ球場にて行われた

■選抜チームの監督は栃木ゴールデンブレーブスの寺内崇幸監督(元読売ジャイアンツ)

寺内崇幸監督《栃木ゴールデンブレーブス》
寺内崇幸監督《栃木ゴールデンブレーブス》

 恒例となったBCリーグの選抜メンバー対NPBファームの試合だが、シーズン真っ只中のこの時期に開催されるのははじめてのことだ。

 6月11日。横須賀市のベイスターズ球場にて、横浜DeNAベイスターズのファームに挑んだBCリーグ11球団から選抜されたメンバーたち。やることはひとつだけ。自分が目指す世界に入れるよう、アピールするのみだ。

 選抜チームの指揮を執った栃木ゴールデンブレーブス寺内崇幸監督も各自がそれぞれの力を存分に発揮することを願った。

 では何人かの選手をピックアップしよう。まず今回は投手編から。

■長谷川凌汰(新潟アルビレックスBC)

長谷川凌汰投手《新潟アルビレックスBC》
長谷川凌汰投手《新潟アルビレックスBC》

 先発は新潟アルビレックスBC長谷川凌汰投手だ。昨年の選抜試合では自己最速の153キロを叩き出したものの、ドラフト指名漏れの悔しさを味わった。

 シーズン直前には腰痛を発症し、出遅れた。

 しかしそれによって、さまざまなものを見直すことができたという。

 ドラフト直後から体を絞り、昨年からマイナス6キロで現在は97キロだ。

 また、背中や下半身のハリが強いことからその原因を自ら追究し、腰痛発症後に歩き方、走り方などを改善した。

 さらには関節の可動域を広げて、硬い体をしなやかに使えるようにも腐心した。

2年目の挑戦(写真提供:BCリーグ)
2年目の挑戦(写真提供:BCリーグ)

 今年に懸ける長谷川投手に与えられたのは2イニングス。結果は被安打2、与四球2、失点1。丁寧に投げようとしていたのか、全体的にまとまってはいた。

 試合後の長谷川投手はまず、戸柱恭孝選手に許したタイムリー二塁打を反省点に挙げた。

 「初球の後ろへのファウルで差し込まれてると思ったので、インコースならつまるだろうと。でも、やはり同じ球を2球なら打たれる。1軍レベルなら対応される。いくならもっと内だし、中途半端だった」。

 プロの対応力を痛感した。

ベイスターズ・古村徹投手と再会
ベイスターズ・古村徹投手と再会

 昨年の選抜試合でも課題を見つけ、取り組んできた。その一つは変化球の精度だ。

 「ボールからボールじゃ反応しない」―。

 BCリーグの打者との違いをまざまざと実感させられた。それを意識して練習してきただけに、今回は昨年以上の自信を携えてきた。しかし…。

 「NPBにはまだまだ通用しない。これを持ち帰って、今後の練習からまたしっかりやっていきたい」。

 あらためて現実を知らされたことをプラスに捉える。

菅谷潤哉投手と情報交換
菅谷潤哉投手と情報交換

 さらにもう一つの課題を挙げる。

 「躍動感です。昨年はただ一生懸命、速い球を投げていた。今年はゆったりしたフォームから速いボールを投げて、そのギャップを出したいと思ってやっている。でもそれが抜きすぎてしまう」。

 昨年のダイナミックさと今年のゆったり感。理想はその間だという。

 「バランスも力感もほどよく。バッターがタイミングをとりづらいような。それがまだ見つけられていない」。

 ただ、進んでいる方向は間違っていないと胸を張る。昨年は目一杯の速球が芯でとらえられたが、今年は芯に当てられる確率は低く、バットがボールの下をかすめてフライになる。これをさらに進化させていく。

速水隆成捕手と打ち合せ?
速水隆成捕手と打ち合せ?

 自身の置かれている立場は十二分に理解しているつもりだ。年齢的に育成枠で育てようなどという球団はないであろうことを。

 「即戦力でないと。それも上位で指名されるくらいでないと」と己に課している。結果として下位指名であったとしても、上位の評価を得られるくらいでなければならない。

 その気概をもって、今後も公式戦で己を磨く。

■菅谷潤哉(富山GRNサンダーバーズ)

菅谷潤哉投手《富山GRNサンダーバーズ》(写真提供:BCリーグ)
菅谷潤哉投手《富山GRNサンダーバーズ》(写真提供:BCリーグ)

 「即戦力」をバリバリ意識しているのは、この男もだ。富山GRNサンダーバーズ菅谷潤哉投手

(菅谷投手についてはこちらを参照⇒ドラフト前今季開幕直後

 今年はオープン戦、開幕といい滑り出しだった。ところが途中、暗闇に迷ってしまった。どうしようもない沼からなかなか抜け出せず、とうとう5月5日から21日間、ゲームから離れた。

 ようやく復活できたのが5月26日の福井戦、1回を無失点と結果も出せた。

即戦力で!
即戦力で!

 この選抜試合では七回に登板。簡単に二死を取ったあと、抜け球を修正できず四球が2つ続いた。

 最後はこの日アピールしようと決めていたフォークで空振り三振に仕留め、なんとか無失点で凌いだ。

 「悔いしか残らない…」。試合後、出てくるのはやはり自省の言葉ばかりだった。「2アウトからの四球、四球…。ああいうのは即戦力としてはダメ。あそこは抑えないと上では絶対に無理」と唇を歪める。

長谷川凌汰投手とは刺激し合える仲
長谷川凌汰投手とは刺激し合える仲

 「まっすぐもフォークもどっちも中途半端になった。まっすぐは持ち味が全然出せてなかった。置きにいったわけではないんだけど…」。

 ボールが先行したことによって、ゾーンに集めようとしてしまった。

 フォークもチェンジアップ気味になったという。今年の新球として自信を持っていたフォークだが、その精度にはほど遠かったことも悔いの一端だ。

 しかしその要因も修正方法もわかってはいるのだ。菅谷投手もまた、即戦力としてNPBに通用するよう、今後も精進していくことを決意していた。

■小沼健太(茨城アストロプラネッツ)

小沼健太投手《茨城アストロプラネッツ》
小沼健太投手《茨城アストロプラネッツ》

 イキのいい若手投手たちも躍動した。茨城アストロプラネッツ小沼健太投手はいきなり2安打を浴びながらも、後続を3人で締めて得点は許さなかった。

 「2人出したときは焦った」と苦笑いしつつも、「そのあと逃げずに腕を強く振れた。逃げないでいったのが、よかった」と納得の表情だ。

昨年から大きく飛躍した(写真提供:BCリーグ)
昨年から大きく飛躍した(写真提供:BCリーグ)

 公式戦では負けが続いているが、「さらに強いNPBと戦うんだから、絶対に逃げないと意識してマウンドに上がった」という。

 だからこそ、収穫があった。スライダーの復調だ。

 「最近、スライダーの調子が悪かったけど、今日はスライダーで空振りが取れた。腕の振りが弱かったんだと気づけた」。

 原因は自分の内にあったのだ。不調は気持ちで逃げていたからなんだと、目の前の打者の空振りが教えてくれた。

今年は存在感も出てきた
今年は存在感も出てきた

 昨年まで所属していた武蔵ヒートベアーズでは先輩たちについていくだけで、存在感を出せなかった。

 しかし新規球団に移籍し、「新人も多いし、若いけど自分が引っ張っていく気持ちでやっている。そこは今までと変わった」という。

 なによりローテーションの柱として、これまでにはなかった責任感を強く抱いている。

阪神タイガースのキャンプでお手伝い
阪神タイガースのキャンプでお手伝い

 2月の1ヶ月間、阪神タイガースの沖縄キャンプにお手伝いに行ったこともプラスになっている。

 一流選手の練習、動き、心構えを間近で感じたことで、この世界で戦いたいとの思いをより強固にした。

 この日は21歳の誕生日だった。「今日得たことをしっかりチームにも持ち帰ります」。さらには自身の糧にして、一層飛躍することを誓った。

 どうやら、とてつもなく大きなバースディプレゼントになったようだ。

■保田拓見(信濃グランセローズ)

保田拓見投手《信濃グランセローズ》(写真提供:BCリーグ)
保田拓見投手《信濃グランセローズ》(写真提供:BCリーグ)

  信濃グランセローズ保田拓見投手も「選抜試合に選んでもらって、本当に嬉しい」と、意気込んで参戦した。

 三振で幕を開けたあと四球を許したが、その後は三ゴロと二飛で0封と結果を見せた。

 しかし自身は思いどおりのピッチングができず、悔いが残ったようだ。

 「自分の投球ができなかった。もっと腕を振れたらよかった。入れにいくまっすぐになってしまった」。

自信と課題を手にした
自信と課題を手にした

 緊張もあった。ボールやマウンドの違いにも戸惑った。けれどそんなことは言い訳にならないこともわかっている。

 それでもそんな中、しっかりと収穫は得た。「チェンジアップで空振りが取れた。去年なら手も出してもらえなかった。それは自信になった」。

 そう言って笑顔を見せた。

山本祐大選手から刺激をもらった(写真提供:BCリーグ)
山本祐大選手から刺激をもらった(写真提供:BCリーグ)

 また、選抜試合では嬉しいこともあった。かつてバッテリーを組んでいたベイスターズ・山本祐大選手との再会だ。

 プロの世界でたくましくなった旧友の姿を見て大いに刺激を受け、いずれはNPBでともに戦いたいとの思いをさらに強くしていた。

(次回の⇒野手編に続く)

全投手の成績

長谷川凌汰(新潟) 2回 安打2 三振0 四球2 失点1

前川哲(新潟)   1回 安打0 三振1 四球2 失点0

小沼健太(茨城)  1回 安打2 三振1 四球0 失点0

松岡洸希(武蔵)  1回 安打1 三振3 四球0 失点0

有馬昌宏(富山)  1回 安打0 三振0 四球3 死球2 失点3

菅谷潤哉(富山)  1回 安打0 三振1 四球2 失点0

保田拓見(信濃)  1回 安打0 三振1 四球1 失点0

金本享祐(栃木)  1回 安打0 三振2 四球1 失点0

BC 001 000 000=1

DB 010 003 000=4

 *6月11日 ベイスターズ球場*

(表記のない写真の撮影は筆者)

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