友だちだけどライバル。京都翔英高の同級生捕手、山本祐大(DeNA)と石原彪(楽天)の現在地―後編

山本祐大(DeNA)と石原彪(楽天)(撮影:筆者)

 京都翔英高出身の同級生キャッチャー、山本祐大横浜DeNAベイスターズ)と石原彪東北楽天ゴールデンイーグルス)。プロでの初顔合わせとなるはずだったイースタン・リーグのゲームは流れたが、二人のライバル関係は今後も続いていく。

 前編に続いて後編は首脳陣の評価、そしてお互いについて語ったことを紹介する。

■ファーム首脳陣の評価

 *まずはキャッチャーとしての守備について。

 《新沼慎二 バッテリーコーチ(ベイスターズ)⇒ 山本祐大

 「魅力は肩の強さだね。インパクトを与えられる肩。試合では対戦相手も見ている。シートノックから見せつけるように言っている。盗塁を刺すより、走られないキャッチャーになってほしいからね。

 ここまでワンバンや盗塁…、キャンプでうまくいってたことがうまくいかなくなっている。実戦で起こりうるさまざまなことを経験して、肌で感じているところ。でも思いきってやったミスはいい、と言っている。

 調子の悪いピッチャーをどうリードするか。そういうことも試合に出ないとわからない。今は実戦で使っていきながらだね。

 でも高卒2年目であれくらいできると思えばね、本当に楽しみ。すごく期待もある」

 《柳沢裕一 バッテリーコーチ(イーグルス)⇒ 石原彪

 「人間的に半回り、ひと回り大きくなったね。自分に甘いところがあったけど、改善された。

 昨年はケガで苦しい時期もあって、試合に出たい気持ちは人一倍あるから歯がゆかったと思う。でも技術的にも精神的にも、周りを見られるようになった。

 キャンプではほぼマンツーマンでやったけど、技術的にもより探究心が出てきた。こっちも『これやれ、あれやれ』って言うだけじゃなく 『こうしたら、こうなるよ』という教え方をしていたから、それを理解できるようになったね。

 いいところは肩の強さ。それと意外に冷静なところがある。

 常々言ってるのは『2軍で野球を終えるなら自分に甘くていい。でも1軍でレギュラーをやるなら体力面も向上しないと』と。1軍にいきたい、だけじゃダメだからね」

 *続いて打撃について。

 《柳田殖生 打撃コーチ(ベイスターズ)⇒ 山本祐大

 「去年はスカウトとしてBCリーグを見ていたんで、山本も最初から見ていた。そのころは、肩は強いけどバッティングは非力だなぁと思っていた。バットも短く持ってたし、体力面もどうかな、と。

 でも(昨季の)中盤に見たらバットも長く持ってるし、振れるようになっていた。そしてキャンプで見たらまた変わっていた。聞いたら『人の3倍、4倍バット振りました』って自信ありげに言う(笑)。でもホントに振っていたことは、見りゃわかる。

 バッティングはそこまで評価がなかったけど、変な癖がないのがいい。あと、タイミングのとり方がうまい。キャンプでは評価が上がった。目につくね。

 基本、逆方向に打つ子だから、バットが内から出るしボールも長く見れる。選球眼もいい。ああやって足を上げて打つのは難しいけど、それがうまくできるのも長所。

 『スイング力を上げるにはどうしたらいいか』とか、自分で考えてやれる。こういう子はプロで通用する。練習もしっかりするしね。

 教育リーグ、イースタンで25タコくらいして本人は性格も真面目だから焦ってるかもしれんけど、ボクらはそこは目指してないから。そりゃ早くヒットを打たせてやりたいけど、まずは土台だから。早く打ちたいになってるけど、それは誰もが当たる壁。

 実は嶋村(一輝バッティングコーチ)が、『タイミングのとり方が山田哲人(東京ヤクルトスワローズ)に似てる』って言って、同じティーをやらせているところ。

 今は毎日、スポンジのようにどんどん吸収している」

 《河野亮 打撃コーチ(イーグルス)⇒ 石原彪

 「もともと入ってきたときからバッティングはいいものあったんだよ。バットコントロールもいいしね。去年はどうも本人が納得いかないバッティングをしてたんだね。

 いい感覚を持っているから、放っといてもバッティングはよくなるんだよ。

 ちょうどフェニックス・リーグのとき(昨年10月)に肘を痛めて残留していて、『バッティング教えてください』って自分から言ってきたから、『じゃあ3ヶ月間、変えずにやるならやろう』って二人で取り組んだんだよ。

 10月、11月とみっちりやり続けて、12月も室内で打ってるのをこっそり覗いたりしてね。『あぁ、続けてるな』って確認したりして(笑)。2月のキャンプで見ると、そのままちゃんとやっていた。

 要するに、高校時代のバッティングに戻したんだ。もともとバットを垂らすようにしていたのを、去年は上に構えてた。それを戻した。もともと持っていたものにね。

 打球も、もともとはセンターから右中間に大きいいい打球を飛ばしてたんだけど、長打になりやすいからと去年は引っ張りになっていた。そこも戻すようにした。いいものを生かさないと。それに、段階もあるから。

 今は情報も多いから、すぐ変えちゃう。若い選手は継続するのが難しい。でも、ブレちゃいけないものがある。これを続けるかどうか見ていく。

 それよりね、今年はバッティングより守備。打つほうは放っといても打つ。打てるようになるのは見えている。それより守りで信頼を得ないと。今は守備!」

■理想の選手像とは・・・?

 目指す選手像について語ってもらった。

 《山本祐大

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 キャッチャーとして参考にしているのは読売ジャイアンツの小林誠司選手だそうだ。

 「落ち着き方やキャッチングの仕方、スローイングまでのもっていき方とか、12球団の中でもすごいなと思う」。

 もちろんほかにも「すごい」と感じる捕手は何人もいるが、小林捕手は何より体型が似ている。細身で手足が長い、いわゆる“キャッチャーらしくない”体型なのだ。

 「(捕手以外の)野手もできる体。それであの使い方ができる。そらもう目標にしていかないといけない」。日本代表捕手から、自分に必要なものを盗みとるつもりだ。

 《石原彪

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 「なりたいのは“打てるキャッチャー”」だという。日本プロ野球界では近年、バッティングで目立つキャッチャーがいない。

 「昔だったら古田(敦也)さん城島(健司)さん、それに阿部(慎之助)さん…そういう選手に近づきたい」。「近づきたい」と表現こそ遠慮気味だが、その思いは強い。

 「打てて守れて結果残して…そういうキャッチャーを目指したい」。

 名前を挙げた3選手は強烈なリーダーシップも併せ持つ。そういう部分も含め、石原選手の目指す捕手像だ。

■相手にかなわないもの

 自分にはなくて相手が持っているものを訊くと・・・?

 《山本祐大 石原彪

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 「ハンドリングがうまい。あと、性格ですかね。どっちかというと『引いてどうすんねん』って感じなんで(笑)。あんだけイケイケでいけたら自分を出せるんで、そういう面ではいいなぁってずっと思ってますし。可愛がられますよね、アイツは。いいヤツなんで」。

 《石原彪 山本祐大

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 「身長!初めて会ったのが中学3年。そのときは線が細かった。ボクと身長変わらんかったのに、ボクはそこから伸びなくて(172cm)、アイツは伸びた(180cm)。高校のときなんてあんま食べなかったし、ほっそいほっそい体してたのに、デカくなりましたよねぇ。やっぱプロの食生活とウェイトですかね(笑)」。

■ああ見えて…相手の“意外なトコロ”

 相手の意外なところを訊くと、二人とも質問にかぶり気味に即答した。

 《山本祐大 石原彪

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 「アイツ、めっちゃ淋しがり屋(笑)。昨日(2連戦の前日)もボクが先に練習上がってたら、『会いにこいや』って誘ってきた。試合の日に会えるのに。ひとりは嫌なタイプ(笑)」。

 さらに高校時代の話も飛び出した。山本選手は寮生、石原選手は寮近くの自宅から通っていた。

 「通いのヤツらはひとりで帰りがちなんですよ。でも彪はひとりで帰るのが嫌やったんでしょうね。必ず寮のみんなと一緒に帰ってました(笑)」。可愛いエピソードだ。

 《石原彪 山本祐大

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 「すぐ拗ねる(笑)。おちょくったりしたら、すぐ拗ねる。自分は人のこといじるクセに、自分がいじられたら拗ねるんです」。何か思い出したのか、楽しそうに笑う。

 どんなことでおちょくるのか、内容は「秘密」だそうだが、仲のよさが窺える。

■お互いの存在

 お互いの存在をどう感じているのか…。

 《山本祐大

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 「高校のときは彪のほうがうまかったからボクはセンターやってたわけで。でも、自分も負けてないって気持ちもあるし。負けてたんやけど…。今はもう負けたくないっていう気持ちがあるんで」。潔く過去の負けを認めた上で、改めてライバル心を燃やす。

 「彪がいいリードしてたり、ボクの知らない彪の成長した姿を見たりしたら、こっちも負けてられへんって気持ちになるし。結果で出ることなんで。こんな簡単にわかりやすく勝負できる場所なんてないから」。

 同じ土俵に立てた今、もう決して負けはしないつもりだ。

 《石原彪

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 最初は「今は自分のことで精一杯なので、アイツのことなんて気にしてないですよ。自分のやることやるだけなんで、ほかのチームの選手のことまで見れないです」と言っていたが、話しているとやはり「高校の同級生には負けたくないという気持ちはあります」と本音が覗いた。

 そして「1軍だとリーグが違うけど、今は会うことが多い。そこでお互い高め合っていけたらいいなと思います」と言葉は整えたが、いっさい引く気はないということは表情から伝わる。

 「気合い、マックスでいきます!!」と力を込めた。

 お互いのことをもっともわかり合っている二人が、プロの世界でしのぎを削る。

 やがては1軍の舞台で―。リーグが違う二人の対決の場はセ・パ交流戦、もしくはクライマックスシリーズ、はたまた日本シリーズか…。夢は大きく広がる。

(撮影はすべて筆者)

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