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“BCリーグの星”がDeNAベイスターズの、そしてプロ野球界のスターになる

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
ラミレス監督を囲んでガッツポーズ(撮影:筆者)

■横浜DeNAベイスターズ 2018年度 新入団選手記者発表会

会場にて。壇上のテーブルには10選手の名前が…(撮影:筆者)
会場にて。壇上のテーブルには10選手の名前が…(撮影:筆者)

 11月24日、「横浜DeNAベイスターズ 2018年度 新入団選手記者発表会」が横浜市内のホテルにて行われた。壇上に並んだ10人の新人選手の中に、独立リーグ・ルートインBCリーグから支配下指名で入団した2人の選手がいた。

 石川ミリオンスターズから6位指名の寺田光輝投手と、滋賀ユナイテッドBCから9位指名の山本祐大捕手だ。周りの選手同様にやや緊張した面持ちながら、真新しいユニフォームに袖を通したその姿は、誇らしげに輝いていた。

新入団10選手(撮影:筆者)
新入団10選手(撮影:筆者)

 新人選手の中心に鎮座したアレックス・ラミレス監督は「ここにいる新入団の選手が活躍するのを楽しみにしているし、チームにどのように貢献するのか見守っていきたい」と話した。「ポテンシャルもモチベーションも高い選手たちなので、キャンプでどのようにやってくれるか楽しみだ」。

 さらに「昨年のドラフトの選手よりハンサムだ」「今年はイケメンの選手が多い」と繰り返して笑わせた。

 そんなふたりの会見およびその後のインタビューを紹介する。

■寺田光輝(伊勢高―筑波大―石川ミリオンスターズ)

寺田光輝投手(撮影:筆者)
寺田光輝投手(撮影:筆者)

【会見】

緊張の会見(写真提供:寺田光輝)
緊張の会見(写真提供:寺田光輝)

――自己紹介  

「僕のアピールポイントは、変則気味のサイドスローからキレのある球を投げ込むことです。小さなこどもたちの憧れになるような選手になりたいと思います。

僕自身は野球はそんなにうまくないんですけど、投げることに関しては一芸があると思っているので、そういう一芸を伸ばしていけばプロ野球選手になって活躍できるんだということを証明できるような選手になりたい」

色紙には「強気」(撮影:筆者)
色紙には「強気」(撮影:筆者)

――色紙に書いた二文字

「『強気』という二文字を選びました。理由は2つあって、1つはマウンド上でバッターに強い気持ちをもって向かっていく気持ちを込めて。

もう1つは、普段の生活でちょっとフワフワしている部分があるので、プロ野球選手になるにあたって強い気持ちをもって、一社会人としてしっかり自立できるように生活していきます」

――背番号について

54番をいただいて、正直まだ実感はあまりないんですけど、この番号がいずれは『寺田の番号だ』と言ってもらえるような活躍ができるように頑張りたい」

――対戦したい打者

「阪神の大山選手です。大山選手は覚えてないと思いますが、大学時代にコテンパンにされているので、その借りをプロの世界で返したい」

――目標としている選手

「読売ジャイアンツの田原投手です。同じサイドスローで色々教えてもらったので、いつかは追いついて追い越せるようになりたい」

【会見後】

会見中(撮影:筆者)
会見中(撮影:筆者)

――会見の感想

「手汗、めちゃめちゃかきました(笑)。

監督もですし、同じ新人選手もテレビやネットで見ていた有名人ばかりだったので。

独立リーグのときと違って世間の注目の仕方も違うなとか、そういうことを考えたら、『大丈夫かな、オレ』って、緊張してしまった」

――ラミレス監督の印象

「優しそうな方。オーラというか、すごい人だなというインスピレーションがきた。テレビで応援していたし、芸能人に会ったような感じでした」

――監督は昨年よりイケメンぞろいだと。自身のチャームポイントは?

「おでこです。おでこがキレイ。何もケアしていないのが、逆に(キレイな)秘訣です」

ラミレス監督と握手(写真提供:寺田光輝)
ラミレス監督と握手(写真提供:寺田光輝)

――タイガース・大山選手(白鴎大・1学年下)との対戦

「4年春、ダブルヘッダーの2試合目に対戦しました。1試合目に投げたピッチャーが2本、ホームランを打たれて、そのときのスイングがすごかった。『プロにはこういう人がわんさかいるなら、僕は絶対にプロにいけないな』って思った。

対戦は1打席だけですが、それまでの野球人生で一番、次元の違いを実感させられた」

――そのときの結果は

「センター前を1本、打たれました。もうスイングがほんとに、すげぇ〜って思いました。有名だと知らなかったけど、その後、日本代表で4番になったとき安心した(笑)。

今年もタイガースで4番を打ってるのを見て、『そりゃそのレベルだ。そうなるわ』って安心した(笑)」

背番号は54(写真提供:寺田光輝)
背番号は54(写真提供:寺田光輝)

――田原投手について

「1月の自主トレに参加させていただいた。NPBの選手じゃないのに快く受け入れてくださったし、ほかの選手と区別せず平等にしてくれたのも嬉しかった。

野球ではどんな場面でも投げられているし、それをシーズン通してできるのがすごい。サイドスローであんなすごい球を投げるし。

野球以外での考え方も尊敬している。『誰かが喜んでくれるのが嬉しい』と、たとえば防災用の食料も自分の家だけでなく両隣の分まで用意していると聞きました」

――背番号の実感はないと言っていた

「石川で14だったので、1か4が入っていたらいいなと思っていた。4が入っていたので嬉しかった」

インタビューを受ける(撮影:筆者)
インタビューを受ける(撮影:筆者)

――翌日のファンフェスティバルで

「まず選手の方々に挨拶をしたけど、とんでもない世界に足を踏み入れてしまったなと思った。だって、こないだCSや日本シリーズで見ていた選手が目の前で雑談をされてるんです。すげーって(笑)。そういう人たちとチームメイトになるなんて、まず不安が…」

――ファンの前で挨拶

「『ほかのピッチャーとは違う変な投げ方で打者を翻弄したいと思います』と言いました。

人の数に圧倒されて足が震えてたんで、それがバレたくないなと思いながら(笑)」

ガッツポーズを決める(撮影:筆者)
ガッツポーズを決める(撮影:筆者)

――マウンドでも足は震えるか

「マウンドは勝負の場所なんで大丈夫です!」

――スタンドを見渡したか

「僕のプラカードがあって嬉しかったです。『寺田光輝』と斜めに書いてあって、下に『☆54』ってありました」

――ファンにはなんと呼んでほしいか

「これまで『テラ』と呼ばれてきた。でも名前を覚えてもらえれば、なんでもいいです」

 即戦力との期待が大きい「ハマの便利屋」寺田光輝投手。1年目からのフル回転が楽しみだ。

■山本祐大(京都翔英―滋賀ユナイテッドBC)

山本祐大(撮影:筆者)
山本祐大(撮影:筆者)

【会見】

自己紹介(撮影:筆者)
自己紹介(撮影:筆者)

――自己紹介  

「僕のアピールポイントは肩なので、キャッチャーからの盗塁阻止のスローイングを見てもらえたら嬉しいです」

――色紙に書いた二文字

「『元気』です。元気な体で一年間、通すことが大事だと思うので。まだ見る限り僕の体は細いんで、元気な体を作って早く1軍に上がれるように頑張ります」

色紙には『元気』(撮影:筆者)
色紙には『元気』(撮影:筆者)

――背番号について

50番をもらって嬉しくて、きのうホテルでも自分で着てみたんですけど、50歳まで野球ができるような選手になりたい」

――対戦したい投手

「僕はキャッチャーなので、横浜DeNAベイスターズのピッチャーをしっかりリードして、セ・リーグのバッターもパ・リーグのバッターも手玉に取りたい」

――目標としている選手

「ジャイアンツの小林誠司選手です。キャッチャーで日本球界で一番肩が強いのは小林さんだと思うので、負けないように頑張りたい」

【会見後】

会見中(撮影:筆者)
会見中(撮影:筆者)

――会見の感想

「すごく緊張しました。みんなが話してるとき、ドキドキしていた。前の人が言ってること、覚えていないくらい」

――落ち着いているように見えたが

「僕の中ではテンパっていました。その場で思いついたことを言ったけど、背番号のこととか前の人たちが色々言ってたんで、言うことなくて…」

ラミレス監督と握手(撮影:筆者)
ラミレス監督と握手(撮影:筆者)

――ラミレス監督の印象

「ゴツすぎます。握手した手もゴツゴツしていた。二の腕が太ももかと思うくらい(笑)。スーツがかわいそうでした(笑)」

――監督は昨年よりイケメンぞろいだと。自身のチャームポイントは?

「僕はイケメンじゃないけど…笑顔とか、そっち系で(笑)」

背番号50(写真提供:山本祐大)
背番号50(写真提供:山本祐大)

――50番について

「下園さんは十何年も1軍で活躍されていた。その番号をもらえたのは、ちょっとした期待の顕れかなと嬉しかった。

今はみんな50といえば下園さんの印象がついてるけど、みんなの気持ちが僕に移るくらいの結果を残したい」

――対戦したい投手の具体名を挙げなかった

「ピッチャーはみんなすごいとわかってるので、みんなと対戦したい。でも僕はキャッチャーとしてバッターの苦手なとこを攻めたいので、そっちのほうが楽しみ」

インタビューを受ける(撮影:筆者)
インタビューを受ける(撮影:筆者)

――目標は小林捕手

「小林さんは肩の強さで上がってこられたと思います。もちろん肩だけではないけど。僕もまずは肩でのし上がりたい」

――ファンフェスティバルでは現役選手と顔を合わせた

「体のデカさ、雰囲気…何年もやってきた選手はオーラがすごかったです。僕も来年、再来年、(新人に)そう思われるようになりたい」

ファンフェスティバルで自己紹介(写真提供:山本祐大)
ファンフェスティバルで自己紹介(写真提供:山本祐大)

――ファンの前で挨拶

「『僕の肩を見てください』と言いました」

――これから大観衆の中でプレーする

「高校時代から人がたくさんいたほうがモチベーションが上がって結果が残せていたし、独立リーグでは観客が少なかったけど、選抜試合とか人が多いと結果が残せた。

(ファンフェスティバルで)人が多くてビックリしたけど、この中で野球がしたいと思いました」

――野球では緊張しないのか

「プレーするときは『見てくれ』って思います。でも喋るときは『見ないでほしい』って思うけど…(笑)」

――ファンにはなんと呼んでほしいか

「山本姓が2人いる。武白志さんは『むさし』と呼ばれていると思うので、僕は『ヤマちゃん』とか『ヤマ』で。早く1軍で活躍して、名前が知れ渡るようになりたい」

 将来性豊かな強肩捕手だが、のんびりしているつもりは毛頭ない。一日も早く1軍捕手陣をおびやかす存在になるべく体を作っていく。

■独立リーグの星からプロで輝くスターに

明るくピース!(撮影:筆者)
明るくピース!(撮影:筆者)

 会見でラミレス監督は「いくつかのポジションは競争になってくるので、キャンプに100%…それ以上120%しっかり準備をしてきて、ポジション争いをやってもらいたい。長いシーズンなので何があるかわからない。しっかり準備すれば必ず出場の機会は増えるので、ここにいる選手が何歳だろうとどのポジションだろうと関係ない」と、キャンプまでの準備の重要性を強調した。

 そしてこう付け加えた。「ポテンシャルもモチベーションも高い選手たちなので、キャンプでどのようにやってくれるか楽しみだ。昨年ドラフトで獲得した選手が4〜5人、1軍を経験した。今年は最低でも4人は1軍で活躍して優勝に貢献してほしい」。

 独立リーグの星から、プロで輝くスターへ。ふたりは今、その第一歩を踏み出した。                                            

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フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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