NPBを目指す独立リーガー――滋賀ユナイテッドのドラフト候補選手【バッテリー編】

滋賀ユナイテッドのドラフト候補(左)山本捕手(右)平尾投手(撮影:城 裕一郎)

【山本祐大(やまもと ゆうだい)・捕手/右投右打/178cm・78kg】

大切なミットを手にニンマリ(撮影:城 裕一郎)
大切なミットを手にニンマリ(撮影:城 裕一郎)

■自慢の鬼肩で、5月の盗塁阻止率は.720!

試合を見にきたNPBスカウトが、まず目を奪われるのが山本祐大捕手の肩だ。次に「いくつ?出身は?」と話が進む。

全力プレー(撮影:城 裕一郎)
全力プレー(撮影:城 裕一郎)

京都翔英高から大学に進学する予定が、入学前の野球部の練習で自ら見切ってしまった。「ここではプロは目指せない」と。より厳しい環境を求めて進学を蹴り、滋賀ユナイテッドBCに入団した。

1ヶ月遅れだったがすぐに正捕手の座を奪った。そして自慢の鬼肩を見せつけた。5月は25の盗塁企図数のうち、刺した数は18。阻止率.720という驚異的な数字を叩き出した。ただ6月は連戦の疲れも出て、前期トータルは.467という結果で終えた。

「思うようにできたところもありましたけど、できなかったことの方が多かった」と振り返る山本捕手。「わりと落ち着いていたかなと思います。肩に自信があるというわけではなかったけど、スローイングはよかった。今は自信になっています」と、あどけない笑顔を見せる。

■後期の目標は盗塁阻止率7割以上

前期は5番を任されることが多かった(撮影:城 裕一郎)
前期は5番を任されることが多かった(撮影:城 裕一郎)

現在、初めてのひとり暮しをしている。「食事を作るのは大変だけど、自立する選手はいい選手。生活面から変えていくことが大事だと思う。それとオリックス田口2軍監督が『自分で自分のごはんを作ることが大事』って言われているのを新聞で読んだんです。独立リーグは自立する場所でもあるし、これが今後、役に立つと思います」。

幼い顔立ちとは裏腹に自分をしっかり持ち、意識が非常に高い。

後期に向けては、さらなるレベルアップを目指す。「6月は疲れもあったし、ランナーにも研究されて走ってこられた。こっちもさらに工夫して、後期は走られないようにしたい」。

そして具体的な数字を掲げる。「盗塁阻止率7割以上は保ちたい」。ドラフトにかかるために、圧倒的な数字を示したいのだ。

また自身の上積み要素として、「(自軍の)投手陣のことがだいぶわかってきた」ことを挙げる。「わかった上でどこまでできるか。いいピッチャーが多いので、生かすも殺すもキャッチャー」と自覚する。

■優勝争いする中で経験を積む

優勝争いしたのち、NPBへ(撮影:城 裕一郎)
優勝争いしたのち、NPBへ(撮影:城 裕一郎)

「肩は上(NPB)で通用するレベル」と認める平野進也バッテリーコーチも「もっと周りを見て、視野を広げたリードを。ピッチャーにも周りにも優しすぎる性格なんだけど、先輩だろうがもっと厳しくいかないと。キャッチャーというのは特殊なポジション。監督の代わりにあそこに座っているんだから。キャッチャーに迷いがあると、周りもそれにつられて動きが悪くなる」と、期待すればこそ高いものを求める。

「優勝争いしたいです!優勝争いすることで、キャッチャーとしての実績も積めると思うので」。童顔をキリッと引き締め、後期の奮闘を誓った。

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【平尾彰悟(ひらお しょうご)・投手/右投左打/186cm・85kg】

トーク力も備えている平尾彰悟投手(撮影:城 裕一郎)
トーク力も備えている平尾彰悟投手(撮影:城 裕一郎)

■高い三振奪取能力

滋賀の守護神・平尾彰悟投手の前期成績は21試合、24イニングスを投げて防御率0.75だった。右のサイドから繰り出すキレのいいボールで、防波堤の役目を十分に務めた。しかし「防御率だけ見たら、0点台は最初の目標でもあったからよかったんですけど…」と唇を噛む。

三振、狙っています(撮影:城 裕一郎)
三振、狙っています(撮影:城 裕一郎)

「四死球やヒットの数が多いんですよね。上園監督からもWHIPがよくない、リリーフなら1.1を切らないとと言われました。そこは目指したいです」。

WHIPとは1回の投球回あたり何人の走者を出したかを表す数値(与四球+被安打を投球回で割る)だが、平尾投手は1.17で決して悪くははない。しかし後ろを投げる投手として、さらにはNPB入りを狙う身として、己に求める数字は高くなる。

一方、三振奪取率の9.38は非常に高い。「三振はいつも狙っています。打たせて取るとか器用なことができないんで(笑)。1イニングか投げても2イニング。あとは考えず、全力でいってます」。

■捨てきれなかった夢

右のサイドハンド(撮影:城 裕一郎)
右のサイドハンド(撮影:城 裕一郎)

京都成章高から龍谷大へ進んだが、3年春に野球から離れた。「球は速かったけどコントロールがよくない。試合に出られず『必要とされてない』と感じた。実際、腐ってしまってたのは事実です」。卒部扱いとなり、「1年間、肉バルで肉を焼いてました(笑)」と、もともと興味のあった飲食業に従事した。

しかし一度は諦めたはずの野球だったが、気持ちのどこかで燻っていた。不完全燃焼の思いを抱えていた。そんなとき、地元に球団ができることを知り、トライアウトを受けた。

「1年前じゃ考えられない。ありがたい」。感謝の気持ちとともに、やるからにはとことん上を目指すことを心に決めた。

■すべての数字を上げていく

目指すはNPB(撮影:城 裕一郎)
目指すはNPB(撮影:城 裕一郎)

後期は「まず四球を減らすこと。それとWHIPの数値をよくすることと、平均球速を上げること」を目標に掲げる。

メディシンボールやチューブを使ったトレーニングなど、上園監督や平野コーチのアドバイスに耳を傾け、強度も上げていく。1年間のブランクを埋めるべく、体も徹底的にいじめ抜く覚悟だ。

すべてはNPBでプレーするために―。

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