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何があったのかNHK「おはよう日本」 朝ドラに一切触れなくなったその背景

堀井憲一郎コラムニスト
(写真:2021 TIFF/アフロ)

朝ドラに触れることがなくなった「おはよう日本・関東甲信越」

NHKの朝の報道番組「おはよう日本」の関東版では、朝ドラに触れなくなった。

4月になって、最初の1話だけ触れて、あとはスルーしている。

いったい何があったのか。

「おはよう日本」はNHKの朝のニュース番組で、朝5時から8時まで放送している。

7時45分からはローカル枠で、東京だと「関東甲信越エリア」向けの放送がされている。

番組の最後は天気予報のあと、7時59分45秒すぎから軽い話題を扱い、そのまま朝ドラに突入するのが通例である(祝日はのぞく)。

時間はたぶん15秒、カメラの切り替わりがあるので実質14秒と少しである。

3月までは朝ドラを話題にすることも多かった。

高瀬耕造アナ時代からよく触れられるようになった

関東甲信越の担当は2017年から2022年春までは、高瀬耕造アナがメインであった。

高瀬アナのときに、朝ドラに触れる回数が増えていった。

2017年『ひよっこ』から2021年『カムカムエヴリバディ』(2022年春まで)の時代である。

首藤奈知子アナと三條雅幸アナ時代に半分を超えだした

2022年4月『ちむどんどん』から、メインは首藤奈知子アナ&三條雅幸アナとなった。

最初の『ちむどんどん』ではあまり触れる回数が多くなかったが(ちょっと扱いにくい朝ドラでもあった)、慣れるにつれて増えていく。

『舞いあがれ!』で増え、『らんまん』では120話中50回、朝ドラに触れた。

2023年秋からの『ブギウギ』では126話中、67回も朝ドラを話題にしていた。

半分を超えている。

これはかなり多い。

首藤奈知子アナと三條雅幸アナと副島萌生アナと伊藤海彦アナ時代

2024年の3月までは、首藤アナ、三條アナに加えて、副島萌生アナと伊藤海彦アナの4人で話していることが多かった。

メインの首藤アナが素直な感想を述べて、共感した副島アナか伊藤アナがそれを受ける、三條アナはこだわりのあるときにぼそっと発言する、というような展開であった。

スズ子の「ペリー提督好き」に触れた三條アナ

三條アナに私は注目していた。

ときどきおもいもよらぬ視点で朝ドラに触れるからだ。

『ブギウギ』で印象深かったのは51話、主人公一座が地方巡業にまわっているとき、首藤アナが「今週、出会いがありそうですね」と言って、副島アナが「ねえ!」とテンション高く受けたあと、三條アナ「ついにスズ子のペリーが!」と言ったところである。

副島アナがすぐに反応して「ペリー! よく覚えている!!」と驚嘆していた。

『ブギウギ』始まってすぐ第1話、少女時代の主人公が「うちはペリーさんみたいな人が好き」といって、黒船でやってきたペリー提督の写真が出てきたのだが(一瞬だけである)、それを2か月後に触れるところが三條アナの面目躍如であった。

おでん屋さんへのこだわりも強かった。

能登半島地震以降の変化

朝ドラ「後」、8時15分からの『あさイチ』でも朝ドラに触れることが多い。それでも『ブギウギ』126話中で触れていたのが70回である。「おはよう日本」67回ととても近い。

1月1日の能登半島地震のあと、どちらの番組もしばらく朝ドラに触れることはなかった。

「あさイチ」でも司会3人がおはようございます、とだけ挨拶して、すぐ現地からのリポートに入っていた。

「おはよう日本」のほうは残り14秒で直前の天気予報を受けて、その日の天気について触れることが多くなった。

「あさイチ」が再び朝ドラについて触れたのは1月12日から、「おはよう日本」が触れたのは1月29日からだった。

「あさイチ」が2週間、「おはよう日本」は4週間、朝ドラに触れないようにしていたのだ。

情報番組と報道番組の違い

このとき、「おはよう日本」と「あさイチ」の差を意識せざるを得なかった。

「あさイチ」はバラエティ要素のある(お笑い芸人の出演も多い)情報番組なのに対して、「おはよう日本」は情報番組要素もある報道番組なのだ。

あらためてそれを意識させる差異であった。

おそらくこの地震と報道が何かの変わりめだったのだろう。

4月、ドラマが『虎に翼』に変わってから、「おはよう日本」では第1話前だけ話題にしたが、2話以降は触れなくなった。

首藤アナに予習してくださいと三條アナは言った

4月から「おはよう日本」のメンバー2人が入れ替わっていた。

4月1日月曜、首藤奈知子アナが「さ、このあとは『虎に翼』です」というのを受けて三條雅幸アナが「虎に翼、どういう意味か知ってます? 今井さん」と新しい今井翔馬アナに振る。

「事前に特集見てきましたので」と今井アナは答え、続いて三條が「是永さん……」と聞くと、是永千恵アナ「はい、わたしも勉強しました」と答えた。

三條アナが2期上の首藤アナに「首藤さん…」と振ったところ、来るとおもってなかったらしい首藤さんが驚いて「えっ!?」と反応したので、三條アナ「うそ!」となって「……鬼に金棒、予習してください」と触れていた。

4月2日以降は触れていない

それ以降、朝ドラには触れていない。

4週ぶん、2話から20話まで朝ドラには触れない。

たぶん、いろいろな判断があって、直前の報道番組ではドラマ内容について触れないようにしようと決められたのではないか。

何となくそう感じる。

(「あさイチ」は多くなって20話中16回、朝ドラに触れていた)

1話から20話までの朝ドラ直前の話題

ちなみに2話の前から、20話の前まで「おはよう日本」の最後14秒で話した内容は以下のものであった。

4月1日「虎に翼」の意味に触れる

4月2日★東北新幹線の運転見合わせ

4月3日 昨日は大学の入学式も多かった

4月4日 栃木県の芝桜です

4月5日 東京千鳥ヶ淵の桜、きのう満開

4月8日 今日入学式っていう学校もあります

4月9日 今日は雨風に注意が必要ですね

4月10日 千鳥ヶ淵の桜、まだ残っている

4月11日★先ほどのニュース(ワイン品評)の訂正

4月12日 埼玉県秩父市の芝桜

4月15日 栃木県市貝町の芝桜公園

4月16日 埼玉県のつつじ山公園の芝桜

4月17日 今日は変わりやすい天気みたいです

4月18日 群馬県館林市のつつじが岡公園

4月19日 茨城県ひたちなか市の海浜公園のネモヒラ

4月22日★那須町の事件についてお知らせしたため内容が変更

4月23日 クリハラリスの在来種への影響が心配ですねえ

4月24日 畳職人を応援したい

4月25日 今日は暑くなりそうです

4月26日 千葉県成田空港 大型連休、飛び立ちたい 

(★はいわば報道系)

直前に天気予報を流しているので、その流れで、そのとき中継されている公園などの風景に触れるという形が基本になっている。

いまのところ、見ていて、ああ、たぶん、これからは朝ドラには触れないのだろうな、という気配を強く感じている。しかたがない。

少しずつ世の中は変わっていくということなのだろう。

コラムニスト

1958年生まれ。京都市出身。1984年早稲田大学卒業後より文筆業に入る。落語、ディズニーランド、テレビ番組などのポップカルチャーから社会現象の分析を行う。著書に、1970年代の世相と現代のつながりを解く『1971年の悪霊』(2019年)、日本のクリスマスの詳細な歴史『愛と狂瀾のメリークリスマス』(2017年)、落語や江戸風俗について『落語の国からのぞいてみれば』(2009年)、『落語論』(2009年)、いろんな疑問を徹底的に調べた『ホリイのずんずん調査 誰も調べなかった100の謎』(2013年)、ディズニーランドカルチャーに関して『恋するディズニー、別れるディズニー』(2017年)など。

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