女は華やかな衣装を着始めた、14世紀の服装の歴史
人類の歴史は服装の歴史といっても過言ではありません。
果たして14世紀の人々はどのような服装をしていたのでしょうか?
この記事では14世紀のヨーロッパの女性の服装について紹介していきます。
14世紀の女性の服装
時は14世紀。かのイタリアから「コタルディ」と称される衣装が舞い込んできて以来、貴婦人たちの装いは一層華やぎを増しました。
このコタルディとは、身体のラインをくっきりと浮かび上がらせる大胆な服で、襟ぐりを大きく開け、ほっそりと引き締まったウエストと広がるスカートが美しい曲線を描きます。
まさに着る者の姿を際立たせるシルエットだが、これを一枚まとうだけでは飽き足らず、「シュールコートゥベール」と呼ばれる新手の外套もまた流行したのです。
脇をざっくりと刳り抜いたこの外套は、流行に敏感な貴婦人たちの心を虜にしたといいます。
そして頭を飾る帽子もまた見逃せません。
貴族たちは「エナン」と呼ばれる帽子を好んで被り、その異様なほどに高く尖った形状には誰もが一目置きました。
エナンの頂上からは美しいヴェールが垂れ下がり、さながら天まで届かんばかりです。
庶民たちもまた流行に倣い、ウエストを細く締めたコットを着こなしていたものの、そこに施す刺繍や取り外し可能な袖など、庶民流の小粋な工夫がありました。
日曜の教会に赴く際、ふいと付け袖を纏う彼女たちには、一種の高揚があったに違いません。
髪型もまた、時代の流行を映す鏡でした。貴婦人たちは髪を左右で美しく編み込み、クリスピンと呼ばれる網で覆ったのです。
さらに帽子やヴェールを重ね、ついには前髪すら脱毛して額を広げるまでの念の入れようです。
参考文献
丹野郁編(2003)『西洋服飾史 増訂版』東京堂出版
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