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ラーメン評論家が実食して厳選! 絶対に食べるべきラーメン5選!【2024年11月】

山路力也フードジャーナリスト
絶対に食べておくべきラーメンがある。

ラーメン評論家が心揺さぶられたラーメンとは

店の数だけラーメンの味がある。
店の数だけラーメンの味がある。

 ラーメン評論家として活動を始めて早四半世紀。これまで累計で20,000杯以上のラーメンを食べ歩いてきた。何十年も毎日のようにラーメンを食べていて飽きないのかと良く問われるが、作り手の数だけ味があるラーメンの世界は実に奥深く、いくら食べても飽きることはなさそうだ。

 とは言え、これだけ食べてくると感動が薄れてくるのも事実。どこかで食べたような味と出会うことも増えてきた。それでも中には感動して一気に食べてしまうようなラーメンと出会うことがある。まだ食べたことのない新しい一杯や懐かしい味と出会える瞬間のために、日々食べ歩いていると言っても過言ではない。

 ラーメン評論家が思わず唸るラーメンとはどんなラーメンなのか。日々食べ歩きの中で出会った、お薦め出来るラーメンを毎月厳選してご紹介していきたい。とは言え味の好みは人それぞれ。私が美味しいと薦めるラーメンが好みに合うかは分からないが、誠実で丁寧に作られたラーメンばかりであることは間違いない。なお掲載順は地域別に並べているだけで優劣を示すものではない。

東京に豚骨を持ち込んだ先駆者『桂花』(東京・渋谷)

東京に九州豚骨を持ち込んだ先駆者『桂花』。
東京に九州豚骨を持ち込んだ先駆者『桂花』。

 1955(昭和30)年、熊本で創業。1968(昭和43)年、東京に進出して九州の豚骨ラーメンをいち早く持ち込んだ、先駆的存在の店が『熊本ラーメン桂花』(渋谷センター街店:東京都渋谷区宇田川町27-1)。創業者が東京に進出する際に、東京の人向けに作ったラーメンが、看板メニューの「太肉麺」(ターローメン)だ。

 栄養バランスを考えて一杯のラーメンを「完全食」にしたい、という思いから生まれた「太肉麺」。たっぷりの生キャベツと柔らかく煮込まれた豚の角煮。そこに食欲をそそるマー油の香り。今食べても決して古さを感じさせないオリジナリティ。渋谷や新宿など店や時間帯によって味が変わる時もあるが、それぞれの店でスープから仕込んでいるからこそ。

厳選ポイント:今食べても古さを感じさせない太肉麺

フレンチの技法を用いた次世代型ラーメン『SALMON NOODLE 3.0 DFJ』(東京・渋谷)

渋谷クロスタワー内にオープンした『SALMON NOODLE 3.0 DFJ』。
渋谷クロスタワー内にオープンした『SALMON NOODLE 3.0 DFJ』。

 渋谷クロスタワー1階に、2024年8月オープンしたばかりの新店『SALMON NOODLE 3.0 DFJ』(東京都渋谷区渋谷2-15-1 渋谷クロスタワー1F)。フレンチの技法を使った新感覚のラーメンはサーモンが主役。サーモンの身はもちろんのこと骨や皮、内臓までも余す事なく使って、SDGs的な観点からもメニュー作りに取り組んでいる。

 滑らかでクセのないスープは調理したサーモンをベースに豆乳やコンソメと合わせたもの。スープに動物系素材は使っていないが物足りなさはない。麺はパスタのようなデュラムセモリナ平打ち麺。具材はサーモンやポテトのフリットに低温調理チャーシュー。ラーメンのようでもありスープパスタのようでもある、まさに次世代型の新しいラーメンだ。

厳選ポイント:ラーメンの持つ新しい可能性を提示

30年愛されるノスタルジック家系の名店『まこと家』(東京・青物横丁)

第一京浜沿いで長年愛されている『まこと家』。
第一京浜沿いで長年愛されている『まこと家』。

 国道15号線、第一京浜沿いに現れる黄色い看板に書かれた「家系ラーメン」の文字。昨今の家系ブームよりも前の、1995(平成7)年に創業素、30年近くにわたり愛されている店が『まこと家』(東京都品川区南品川3-1-10)。深夜3時まで営業しており、夜中に家系ラーメンを食べたくなった時に知っておいて損のない店だ。

 醤油感の強い今流行の家系ラーメンとは異なり、スープと醤油ダレ、鶏油がバランス良く配されたノスタルジックな家系ラーメン。ガツンとしたインパクトは無いが、スープのコクと鶏油の香りと甘みを感じられる。家系には欠かせないほうれん草は有料トッピングになるので、オーダーの時は忘れずに追加しておこう。

厳選ポイント:古き良きノスタルジックなバランス型家系ラーメン

絶妙なバランスの味噌ラーメン『温〜haru〜』(千葉・新千葉)

夜は居酒屋的にも楽しめる『北海道ラーメン温〜haru〜』。
夜は居酒屋的にも楽しめる『北海道ラーメン温〜haru〜』。

 2019年の創業以来、千葉駅に程近い場所で人気を集めている味噌ラーメン店が『北海道ラーメン温〜haru〜』(千葉県千葉市中央区新千葉2-8-10)。味噌ラーメンの人気店で経験を積んだ店主が、県内でも数少ない「北海道ラーメン」を看板に掲げて、本場さながらのラーメンを提供している。座敷席があるので家族連れにも使いやすく、夜はつまみメニューもあるので居酒屋的にも楽しめる。

 ラーメンは注文ごとにしっかりと鍋を振る札幌スタイル。昨今は味噌や油が強く濃厚な味わいの味噌ラーメンが流行っているが、こちらは濃厚でありながらスープの口あたりは軽く、スープの味わいと味噌の風味のバランスが絶妙。プリプリシコシコとした食感の麺は、札幌西山製麺の熟成縮れ麺。丁寧な仕事が感じられる味噌ラーメンの佳店だ。

厳選ポイント:優しい味わいの丁寧な味噌ラーメン

深みのあるスープと自家製麺『らーめん あんゆう亭』(福岡・箱崎)

東京の人気店で修業を重ねた店主が営む『らーめん あんゆう亭』。
東京の人気店で修業を重ねた店主が営む『らーめん あんゆう亭』。

 福岡市内でもここ最近注目店が相次いでいる東区エリア。箱崎駅から歩いて数分の場所に、2023年12月オープンしたのが『らーめん あんゆう亭』(福岡県福岡市東区箱崎1-12-14)。店主は東京・戸越銀座の人気店『らーめんえにし』の出身。看板に掲げられているように、店内で作られる自家製麺が自慢の店だ。

 鶏ガラ、豚骨に魚節のバランス清湯。塩ラーメンと言いながらも塩気が弱いラーメンが多い中で、丸みだけでは無くしっかりと塩角も感じられるスープが白眉。しなやかで弾力もある家製麺は九州産小麦「ミナミノチカラ」と「ラー麦」を使用。東京生粋のDNAを持ったこのラーメンによって、玉石混淆だった福岡の非豚骨ラーメンのレベルが上がっていくことだろう。

厳選ポイント:しっかり塩角のあるスープとしなやかな自家製麺

 味の好みは人それぞれ。ラーメンを食べ歩く楽しさは自分好みの一杯を見つけることにある。今回ご紹介したお店は私が個人的に印象に残ったお店なので、まずは気になったお店に足を運んで頂いて、それをきっかけに自分だけの一杯を見つける食べ歩きの旅に出て欲しい。

※写真は筆者の撮影によるものです。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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