男はチュニックを愛用していた、10~11世紀の服装の歴史
人類の歴史は服装の歴史といっても過言ではありません。
果たして10~11世紀の人々はどのような服装をしていたのでしょうか?
この記事では10~11世紀のイギリスの男性の服装について紹介していきます。
10~11世紀の男性の服装
10世紀から11世紀のイングランド、街角や森の中、領地を歩く男たちの装いもまた、時代の息吹を纏っています。
まず目を引くのは短めのチュニック。彼らは膝丈のものを主に愛用し、動きやすさと品位を両立させていたようです。
ベルトやガードルで腰をきゅっと絞り、袖は季節に応じて長くしたり短くしたり。
これは下着代わりとも言える長袖シャツを、きっちりと肌に寄り添わせるための工夫でもあったとか。
さらに彼らはマントを羽織って外出します。
このマント、意外にも四角や長方形が定番で、きちんと仕立てられていない布をサッと身にかけ、ブローチで留めるシンプルさが特徴です。
豪華な装飾よりも、むしろ機能性重視だったのでしょう。
ブローチは円形が流行し、銀の輝きを帯びたものからシンプルな金属製までさまざま。
この時代のアングロサクソン美術には、これがマントを留める重要な役割を果たしていた様子が描かれています。
そして彼らの足元には、工夫が凝らされた「ターンシューズ」。一度裏返してから正しい向きに戻すという特殊な製法で作られ、まさに10世紀の粋な靴だったのです。
時には足首まで覆うものや、平らな黒い靴も愛用されました。
時代の変遷を背景にした男たちの装いは、動きやすさと信頼性の両立を叶えた選択だったのです。
関連記事
女は老いも若きもぺプロスを身に着けていた、5~6世紀の服装の歴史
参考文献
丹野郁編(2003)『西洋服飾史 増訂版』東京堂出版