LiSA、YOASOBI、上白石萌音、斉藤工、郷ひろみ…心に響く表現者たちのコトバ<後編>
2020年は、75組の“表現者”にインタビューさせていただいた。アーティストを中心に、編曲家、芸術家、俳優、女優、タレント、スポーツ選手……人に勇気や感動を与えている人の言葉は、やはり心に響く。アーティストの音楽への思いを中心に、それぞれのフィールドで活躍している人が感じている言葉、確信していることは、その言葉は受け取る人によっては、人生を豊かにしてくれるヒントにもなる。若手の瑞々しい言葉から大ベテランの“金言”まで、言葉には魔法のような力があると信じている。コロナ禍で、不安に苛まれている人も多いはず。そんな中でひとつの言葉が一筋の光、希望になることもある。言葉には人を元気づけ、気づかせてくれ、幸せにする力もある。そんな表現者たちの言葉の数々を前編(上半期)に続き、紹介したい。
2022年にデビュー50周年を迎える郷ひろみ。昨年7月に発売した通算105枚目のシングル「ウォンチュー!!!」のついてインタビュー。
「僕の美学なんですよね、難しいことも難しくない顔をしてやるのが。僕は郷ひろみとしてパフォーマンスをやるだけだといつも思っていますし、アイドルなのか、エンターテイナーなのか、大人の歌手なのか、それは観てくれる人が決めてくれればいいと思っています。僕はいつも”郷ひろみ”をやるだけです」
昨年8月スタートしたフジテレビ“オトナの土ドラ”枠「13(サーティーン)」で、13年間監禁されていた主役・百合亜を演じた桜庭ななみにインタビュー。
「年齢も含めて、その時にしかできない役や、等身大の役というのはすごく大切にしたいです。必要以上に大人っぽい役にはあまり興味がないというか、それは将来できるし、今できる役をやりたいです」
THE YELLOW MONKEYのギタリスト、EMMAこと菊池英昭がプロデュースするプロジェクトユニット・brainchild‘sが、8月にデジタルシングル「Set you a/n」をリリースし、インタビュー。
「自分たちも含め、人類全体に言えることですが、色々なことに甘えてきて、こういうことをきっかけに少しでも変わっていこうとするのは、すごく大切なことだと思います。でもこの病気に罹患して大変な思いをした方や、家族等を亡くされた人は大勢いて、本当に悲しいことだし辛いです。不滅なものって、例えば人の気持ちとか、本当に限られるというか、やっぱりものに頼ってはいけないということを実感させられました。だから色々なことを考えられる柔軟性も必要だし、自分はライヴが好きでずっとやってきた人間なので、そこが削られると辛いですけど、でもだからといって、正直そればかりに頼っていてはダメだなという気持ちもあります。何かしら光を見つけたいというか、闇も光も両方ちゃんと受け止めて、次に進まなければいけないと思っています」(菊池)
昨年ファンコミュニティ「Fanicon」内に、オンラインサロン『MISAKO UNO Inc.』を開設し“CEO”に就任した宇野実彩子(AAA)にインタビュー。
「できないということを決めないで、とにかくやれることをやってみようというのは子供の頃から思っていたことで、それが私らしいやり方なのかなと思います」
10月14日に3年ぶりのオリジナルアルバム『LEO-NiNE』を発売したLiSAにインタビュー。
「『LEO-NiNE』は応援歌とか、戦っている人達の楽曲が多いので、もがきながら、必死に生きている人にこのアルバムを聴いていただきたいです。私も考えすぎるくらい考える時間を過ごし、そこで心に浮かんだことは「炎」に投影しました。そういう意味では、『LEO-NiNE』から続いていく先が見えていたし、待っていたので、過ごしてきた時間に感じたことは、きちんと音楽に落とし込むことができました」
『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの全音楽、映画『シン・ゴジラ』の音楽などを手がける音楽家・鷺巣詩郎に、福田雄一監督とタッグを組んだミュージカル映画『ヲタクに恋は難しい』についてインタビュー。
「音楽があったから人が踊ったのではなく、踊るために音楽が必要だったから、音楽というものが生み出されました。人間は踊りなしには成り立たないというのは日本のお祭りを見てもわかるし、それを考えるとなんで踊るのか?という疑問はすごくナンセンスだと思います。だから何気に鼻歌が出たり、何気にスキップをするというのは人間本来の姿なので、結局人生そのものがミュージカルであると言っても過言ではないんです」
9月16日に『GUNDAM SONGS COVERS 2』をリリースした森口博子にインタビュー。
「ガンダムの歌って、曲との“距離感”が難しいんです。個人の感情だけでなく、もっと大きな母性愛や地球愛とか、そういう“距離感”が非常に難しいです。やっぱりその作品ありきの曲で、個人の曲ではないので、私の曲でありながら“伝える”という役割がすごく大きいと思います」
多彩なアーティストが楽曲提供していることでも話題になった、上白石萌音の1stフルオリジナルアルバム『note』についてインタビュー。
「私の色というのは意識していなくて、むしろ余計なことを何もしない歌い方にしようと思っていて。素晴らしい曲ばかりをいたただいたので、ただただ歌えばいいという、曲への絶対的な信頼がありました」
様々なアーティストとコラボレーションを重ねる、津軽三味線小山流三代目小山豊にインタビュー。
「その源流も含めて民謡が一番カッコイイってようやく気づいたんです。音楽って、人だと思っていて、その人から派生したすごくリアルな音が、民謡だと思うんです。かっこつけているわけではなくて、心に寄り添う歌や力が出る歌ってすごくストレートだし、歌う人によって伝わり方が違って当然で、だからこそかっこいい」
昨年「夜に駆ける」で大ブレイクを果たし、「紅白」への出場も果たした“小説を音楽にする”ユニット・YOASOBIにインタビュー。
「小説、音楽、映像が全部合わさって、ひとつの作品という意識があるので、その中のどこから入るかを選ぶのは、もちろんリスナーの自由です。でもそこに“参加”してもらえると、世界観がかなり立体的になると思うし、平面で捉えられるものではないと感じています」(Ayase)
FODオリジナルドラマ『30禁』で、9歳年下の男性と恋に落ちる30歳OLを演じた女優・松井玲奈にインタビュー。
「どんな役も楽しみながらやっていて、確かに志乃という役は年齢は近いですが、等身大かといわれるとそうではなくて。彼女の恋愛観に共感するというよりも、仕事第一だけど、でもその中で将来のことを考えると恋愛もしたい、みたいな、その仕事に対する気持ちの面に共感できることが多くて。なので自分とはかけ離れてるキャラクターなんです。新しい可能性を見い出してくれた役だと感じています」
昨年還暦を迎え、ファンクラブを設立した野宮真貴にインタビュー。
「これからの時代は、これまで以上に、一緒に助け合って生きていく、“共生”ということが本当に大切。コロナ禍では、“健やかに美しく幸せに”生活していくために、一緒に楽しんでいけるコミュニティが一番必要なものだと思います」
35周年を迎えた浅香唯が9月23日に4枚組CD-BOX『YUI ASAKA 35th Anniversary~君がずっと見ている~』を発売。「ライザップ」のCMにも出演し、ボディメイクした見事な体は大きな話題を集めた。
「全てをさらけ出して、自分は変わるんだという決意がなければ、何も変わらないと思いました。だから私はあの瞬間からとても強くなったし、怖いものがなくなったというか、何でもできそうな気がします(笑)」
1stフルアルバム『unknown』(10月7日)にリリースしたReoNaにインタビュー。自身の傷や闇の部分をあぶり出している収録曲「絶望年表」について聞くと――。
「いつから人間って“普通”を知るんだろうってすごく思っていて。自分の環境が普通じゃないって知るまで、私にとってはそれが普通でした。誰一人として全く同じ人はいないはずなのに、何故か普通って言葉が使われてしまう不思議さ。幸せの形を色々なところからインストールされて、そこに収まらないものを不幸せという形にされる理不尽さを感じながら、でも気づいてしまったらそれは不幸せで」
月額980円の定額観放題の国内最大級のインディーズ映画配信サイト『DOKUSO映画館』の代表・玉井雄大氏にインタビュー。
「全体として劇場自体は増えてはいますが、インディーズ映画を上映できるスクリーンは減っていっている中で、映画の製作本数だけは増えているという供給過多の状態になってしまっています」
日本を代表するチェリスト柏木広樹にインタビュー。
「音楽は楽しければなんでもいいと思います。でも、よく『自分達が楽しめないと、お客さんに伝わらない』というアーティストやミュージシャンがいますが、逆に聞きたいのは、演奏していて、やっていて楽しくないの?楽しいからこの仕事やってるんでしょ?って」
ソプラニスタ岡本知高にインタビュー。コロナ禍で強く感じたこととは?
「もう辞めようと思ったこともないし、歌手という仕事がもしこのままできなくなったとしても、僕は歌うだろうし、お客さんの前で歌いたいと思うだろうし、それが確信に変わりました。今までそんなことを考えたことなかったけど、きっと僕は歌い続けるんだなって」
カヴァーアルバム『俺のRequest』(10月21日)をリリースしたJUJUにインタビュー。
「どれだけ転んでも立ち上がる人でいたいと思えて、転んで諦める人にはなりたくないけど、転んですみませんって言いながら、前に進む人でありたいと思います」
横浜銀蝿40thにインタビュー。メンバーのJohnnyはバンド解散後、レコード会社のディレクターに転身し、アーティストを育てていた。
「媚びを売らずにやるということが、音楽をやる上で一番大切なこと」(Johnny)
話題になったドラマ『共演NG』で、ショーランナーという、日本ではまだあまり知られていないポジションの役を演じた俳優・斎藤工にインタビュー。
「視聴者の方の目線の先にあるものを捉えて見せていくのが、ショーランナーなのかもしれません。僕が製作した『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』という映画がありますが、自主規制の波に対する忖度や、コンプライアンス問題に一石を投じた作品になっています。規制もないのに問題が起こらないよう、あらゆる表現が控えめになってしまう今の日本のコンプライアンスというものに対して、なぜなんだろうと探るところから始まった作品です。ある意味皮肉を込めて、日本のコンプライアンスの輪郭をコメディタッチで描いた作品になっていて、映画の自由度というものを僕は信じています。まさに「共演NG」で描かれているような、『なんでだめなんだろう』って思っていても『こういうもんだから』のひと言で、片付けられてしまっていることを調べようと思ったのがきっかけです」
注目の3ピースピアノロックバンドOmoinotakeのボーカル藤井怜央にインタビュー。ライヴがオンラインライヴにシフトしていく中での新たな発見とは。
「(オンラインライヴは)いい演奏、いい歌声を届けるということを、お客さんの前でやるライヴより考えて、丁寧にやっているかもしれません。それくらいの思いでやらなければ届かないと感じていて、そこは新たに得たいい考え方だと思っています」
輝かしいキャリアを誇る、人気ヴァイオリニスト・小林美樹にインタビュー。メジャー1stアルバム『Anthology』(9月30日)に込めた思い。
「歌と踊りは音楽の原点。だから歌うようにヴァイオリンを弾くことで、曲の本質が見えてくる」
話題の3ピースバンドNon Stop Rabbitが12月9日、アルバム『爆誕 -BAKUTAN-』でメジャーデビュー。
「誰かに“憧れる”ことをやめました。同じ道を辿っても、この人たちはそれぞれそういう道があったんだろうなって思った時に自分たちは真逆に進まないと、結局そこには道はないって思えて」
還暦を迎えた、数々の映画・ドラマの劇伴を手がける作曲家・編曲家・音楽プロデューサーの千住明にインタビュー。
「ひと通り修業が終わったのが50代だと思っています。だから今やっと一歩、これからがやっと僕の人生の始まりです」
Little Glee MonsterがPentatonixとタッグを組んだシングル「Dear My Friend feat.Pentatonix」(12月16日発売)の作詞・曲を手がけた亀田誠治×リトグリ・芹奈・かれんにインタビュー。
「本当に困った時や苦しい時に、自分の中でメロディが浮かんできて口ずさめるような歌を作る、そのためには本当にとことんシンプルにしようという心構えで作りました」(亀田)
東方神起とのコラボレーションが話題の現代美術家・笹田靖人にインタビュー。
「コラボーションというよりは“学習の場”という言い方が合っているのかもしれません。相手のものを盗みにいくような感覚です。今度は何を描かせてくれるんだろうという、ありがたくて楽しみな場です」
「浅草芸能大賞 新人賞」を受賞した若手浪曲師・玉川太福にインタビュー。
「現状の中で100点を出そうという気持ちが強かったと思うので、120点、200点、500点のものを目指さないと、もっと上の、違うステージにはいけないと思いました」
沢田研二からKing&Prince、1970代前半から現在まで“日本のポップス”の音を作り続ける音の“匠”、編曲家・船山基紀にインタビュー。
「やはりイントロでひきつけてナンボの世界ですから、頭5秒が勝負だと思って、聴いている人に5秒で「何これ?」って思わせないと、ヒット曲にはならないってずっと思っていました。じっくり聴き込んで「この曲いいな」っていうよりも、パッと聴いて「これいいじゃん」って思わせる、その瞬発力をいつも考えて仕事をしてきました」
コロナ禍の2020年、ライヴハウスを3店舗オープンさせたLD&K・大谷秀政社長にインタビュー。全ては音楽のために――。
「そもそもレコード会社の仕組みがおかしいというところから始まっている会社なので、先ほども出てきましたが、ミニマムなところでどうやって音楽文化を作るかということを追求してきました。だから(会社の)規模が大きくなることに全く興味がないです」