米海兵隊の無人地対艦兵器「NMESIS」がKC-130輸送機に搭載訓練
11月5日、6日、7日に、アメリカ海兵隊は新型兵器である海軍海兵隊遠征船舶阻止システム「NMESIS」の訓練の様子を公開しました。アメリカ軍広報サイトDVIDSに掲載されています。
- 3d LCT conducts convoy operations with the NMESIS
- 3d LCT conducts convoy operations with the NMESIS ※動画
- 3d LCT conducts aerial transport operations with the NMESIS on MCBH ※動画
- ※上記DVIDS動画記事が削除されました。YouTube転載の同じ内容の動画
- NMESIS Aerial Operations on MCBH
ハワイの第3海兵師団第3海兵沿岸連隊第3沿岸戦闘チームの訓練の様子です。海兵沿岸連隊(MLR)は新しく編制された島嶼戦用の部隊です。
従来のアメリカ海兵隊は上陸作戦が主任務でしたが、海兵沿岸連隊(MLR)は地対艦ミサイルを装備して海上の敵艦と戦うことが可能となります。沿岸戦闘チーム(LCT)は海兵沿岸連隊の中核となる部隊であり、3個歩兵中隊と1個対艦ミサイル中隊の混成で構成された実質的な大隊に相当します。
海軍海兵隊遠征船舶阻止システム「NMESIS」は無人4輪車両にNSM対艦ミサイル2発を搭載したもので運転席が存在せず、世界で初めての無人で走行する非常に特殊な地対艦ミサイル車両です。
KC-130輸送機に搭載されるNMESIS
※輸送機への車庫入れ操作は有線コントローラーで手動
ミサイル装填クレーン車両:装填システムの説明
※キャニスター下部の穴に運搬用の器具を差し込む
※ミサイル装填クレーン車両は有人6輪トラック。NMESISのNSM対艦ミサイルの再装填は自動化されておらず人が操作して行う。
※黄色の四角い枠はおそらく輸送時の保護用。そしてクレーンにオレンジ色の器具を装着してキャニスター下部の二つの穴に差し込んで持ち上げる方式。
※キャニスター下部の二つの穴はフォークリフトでも使用可能。
※参考:ポーランド海軍のNSM対艦ミサイル(有人6輪トラック型)
※比較:左)ポーランド海軍NSM装填、右)アメリカ海兵隊NSM装填
※ミサイル装填クレーン車両の装填機構はアメリカ軍が使用しているものとポーランド軍のものはクレーンやキャニスター下部に差し込む器具が同じ機構(器具の形状は若干異なる)。NSM対艦ミサイルの再装填システムは同一のものと思われる。
※なお右図のオレンジ色の器具は奥まで差し込んでからキャニスターを持ち上げる。写真はまだ奥まで差し込んでいない。
※奥まで差し込んだ状態
※運搬用の器具をキャニスター下部に奥まで差し込み、ずり落ちないように固定してからクレーンで持ち上げる。
NMESISのNSM対艦ミサイルのキャニスター
※キャニスター込みNSM対艦ミサイル総重量895kg
※NSM対艦ミサイルはキャニスターに総重量895kgと書かれている。なお中のミサイルは本体重量407kgであり、キャニスター重量は488kgとなる(キャニスター内でミサイルを支える器具なども込み)。
※このNMESISが搭載しているNSM対艦ミサイルは訓練用のイナート弾(不活性弾)で、キャニスターの塗装は艦艇用の灰色のまま。実戦仕様の実弾のキャニスターでは車体と同じ緑色系統の迷彩で塗られる予定と思われる。
NMESISは運転席が存在しない無人4輪車両
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※米海兵隊の無人4輪車両はJLTVからの改造であるROGUE-Firesが原形でありここからNMESISとLRFが派生しているが、実車両の初公開はNMESISであり既に走行や射撃の様子まで見せている。しかしLRFは走行する様子をまだ見せておらず(射撃の静画は公開:The War Zone)、ROGUE-Firesは走行も射撃も見せていない。
※米陸軍の無人6輪車両はHIMARSからの改造であるAML。射撃は見せているが走行はまだ見せていない。