囮無人機「ガーベラ」を長距離攻撃時に大量投入しているロシア軍
ウクライナ国防省情報総局(GUR)がロシア軍の囮無人機「ガーベラ」について報告しています。「Гербера」はロシア語でゲルベラ、ウクライナ語でヘルベラと発音しますが、英語の「Gerbera」の発音でガーベラと呼ぶ場合も多くなっています。当記事ではガーベラと呼称します。
ガーベラの花の名前が由来です。既にロシア軍が使用しているイラン製の自爆無人機「シャヘド131/シャヘド136」のロシア語名称が「ゲラン1/ゲラン2」で、ゲラン(Герань)が花のゼラニウム(Geranium)から命名されたことに合わせています。
“Гербери” з фанери та іноземної електроніки — деталі будови чергового російського дрона | ГУР
ガーベラ囮無人機は木製合板と発泡スチロールの胴体と主翼を持ち、シャヘド自爆無人機の10分の1の製造コストで生産できるとされています。原設計は中国の模型飛行機メーカーであるスカイウォーカーテクノロジー社で、ロシアのタタールスタン共和国のエラブガ市の北にあるアラブガ経済特区に建設した新工場(関連記事)で組み立て生産しているとされています。
またガーベラ囮無人機はペイロードが小さく攻撃用の重い弾頭の搭載は出来ませんが、簡易な電波情報の収集(防空システムの位置検出)や、市販の安価なカメラを搭載した簡易な偵察観測任務(戦果確認用)などが行えるようです。この無人機には中国製以外の西側製の電子部品なども使用されていることが墜落機からの調査で判明しています。
現在、ロシア軍の長距離ドローン攻撃は飛来数の半分以上、6~8割が複数種類の囮無人機であると見られます。このため「未到達」の報告が大量に増えています。囮無人機の燃料が尽きて勝手に墜落しているケースです。(なお撃墜数の中にも一部の囮無人機が含まれているので、未到達数=囮無人機数ではない)
そのため、例えばロシア軍の長距離ドローン攻撃に対する迎撃戦闘の報告について飛来数と迎撃数のみを記載して未到達を端折ってニュースで報じるのは間違いになってしまうので注意してください。例えば、
例:ドローン飛来100機・撃墜50機・未到達50機
このケースでは1機も突破していません。しかしもし飛来100機・撃墜50機とのみ報じて未到達50機を端折ってしまうと、まるで50機が突破したかのように誤解されてしまいます。最近では大手マスコミですらそのような誤解を招く報道をしていますが、これでは誤報となってしまいます。