令和6(2024)年3月16日ダイヤ改正で開業する駅・廃止される駅・改称される駅・移転する駅
3月16日(土)に予定されるJRグループをはじめとした各鉄道会社のダイヤ改正。北陸新幹線の敦賀延伸や山形新幹線への新型車両E8系導入などが注目されているが、「駅」にもまた大きな変化が予定されている。4駅が新たに開業し、5駅が廃止、1駅が改称され、1駅が移転する。
新規開業する駅のうち一つは北陸新幹線の越前たけふ駅(福井県越前市)だ。北陸新幹線の延伸に伴い、小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀の6駅が停車駅となるが、他はすべて在来線の駅への併設で、新規開業は越前たけふ駅のみである。越前市(旧:武生市)の田園地帯の中にできる駅で、建設時の仮称は「南越駅」だった。北陸本線(ハピラインふくい)武生(たけふ)駅からは東に3キロ離れている。武生駅に隣接する福井鉄道の越前武生駅は駅名が同音になることから、令和5(2023)年2月25日に「たけふ新」に改称されている。
北陸新幹線延伸に伴い、並行在来線の北陸本線は敦賀~大聖寺間が第三セクターのハピラインふくい線に、大聖寺~金沢間がIRいしかわ鉄道線に経営移管される。これに合わせて、IRいしかわ鉄道の加賀笠間~松任間にも新駅が開業する予定だ。西松任(にしまっとう)駅(石川県白山市)で、北陸新幹線の車両基地・白山総合車両所に隣接した位置に開業する。
愛知県では名古屋鉄道河和線の高横須賀~南加木屋間に加木屋中ノ池(かぎやなかのいけ)駅(愛知県東海市)が開業する。副駅名は「公立西知多病院前」で、その名の通り西知多総合病院へのアクセス駅となる。駅のできる場所の近くにはかつて加木屋駅が存在しており、半世紀以上を経ての復活という見方もできるだろう。
新駅は九州・福岡でも開業する。西日本鉄道天神大牟田線の雑餉隈(ざっしょのくま)~春日原(かすがばる)間には桜並木駅(福岡県福岡市博多区)が開業する予定だ。駅名は駅南側の「桜並木通り」に由来し、地域住民が長年にわたって手入れを続けてきた桜並木のように、町のシンボルとして末永く愛される駅になってほしいとの願いが込められている。
3月16日開業!西鉄では14年ぶりの新駅 西日本鉄道天神大牟田線 桜並木駅(福岡県福岡市博多区)
廃止となる5駅はいずれも北海道の駅だ。ダイヤ改正前日の3月15日(金)で営業を終了する。宗谷本線の恩根内駅(北海道中川郡美深町)は明治44(1911)年11月3日開業。国鉄末期に貨車駅舎に改築され、地元出資で平成5(1993)年に再改築された駅だった。廃止候補になるも一度は地元の声で廃止を免れた駅だったが、利用者数減少により112年5か月の長い歴史に幕を下ろす。
【3月16日廃止】地元出資で貨車駅舎から改築された駅 宗谷本線 恩根内駅(北海道中川郡美深町)
地元自治会が廃止受け入れ 一度は廃止が撤回されたものの… 宗谷本線 恩根内駅(北海道中川郡美深町)
恩根内駅の隣、初野駅(北海道中川郡美深町)も同時に廃止となる。昭和23(1948)年6月に初野仮乗降場として開業し、昭和34(1959)年11月1日に正式な駅に昇格した駅で、「朝礼台」の愛称を持つ板切れホーム(表題写真)が特徴の駅だった。のどかな田園地帯の中に位置しており、少し離れたところを国道が走っている。線内の多くの駅が廃止になる中で生き残ってきたが、この度75年9か月の歴史に幕を下ろす。
【3月16日廃止】稲作北限地帯の板切れホーム 宗谷本線 初野駅(北海道中川郡美深町)
来春ダイヤ改正で廃止検討!? 板切れホームとプレハブ待合室 宗谷本線 初野駅(北海道中川郡美深町)
石北本線の愛山駅(北海道上川郡愛別町)も廃止となる。昭和35(1960)年5月2日に愛山仮乗降場として開業、昭和62(1987)年4月1日の国鉄分割民営化で正式な駅に昇格した駅だ。同日に開業した兄弟とも言うべき北日ノ出・将軍山・東雲の3駅は既に廃止となっている。「愛山」の地名は入殖者の出身地である愛知県と山形県から一文字ずつ取ったものだ。3年前に廃止された兄弟の後を追う形で63年10か月の歴史に幕を下ろす。
【3月16日廃止】愛知と山形に由来する駅名の元仮乗降場 石北本線 愛山駅(北海道上川郡愛別町)
石勝線の滝ノ上駅(夕張市)も廃止される。明治30(1897)年2月10日に北海道炭礦鉄道の貨物駅として開業、明治34(1901)年12月1日に旅客扱いを開始という127年もの古い歴史を持つ駅だ。今回廃止になる駅の中で最も列車の本数が少なく、下り2本、上り3本しか停車しない。石勝線の追分~新夕張間も駅の廃止が続いている区間で、滝ノ上駅廃止後は川端駅だけが残ることになる。
【3月16日廃止】下り2本、上り3本しか停まらない特急街道上の駅 石勝線 滝ノ上駅(北海道夕張市)
函館本線の中ノ沢駅(北海道山越郡長万部町)も廃止される。明治37(1904)年10月15日に北海道鉄道の「紋別」駅として開業し、大正3(1914)年10月1日に改称されたというこれまた古い歴史を持つ駅だ。国道5号線沿いの集落に位置し、近くには飲食店などもあるが、駅はひっそりとしている。駅舎はヨ3500形車掌車を改造したものだ。函館本線もまた櫛の歯が欠けるように駅の廃止が続いてきた区間で、中ノ沢駅も116年5か月の歴史に終止符を打つが、路線自体の先行きも不透明だ。
【3月16日廃止】国道沿いの集落に佇む貨車駅舎 函館本線 中ノ沢駅(北海道山越郡長万部町)
来春ダイヤ改正で廃止検討!? 道南の貨車駅舎 函館本線 中ノ沢駅(北海道山越郡長万部町)
改称される駅は1駅で、西日本鉄道天神大牟田線の試験場前駅(福岡県久留米市)だ。昭和8(1933)年10月6日開業で、工業製品の試験を行う福岡県久留米工業試験場が駅名の由来だ。試験場は昭和53(1978)年に統合されて当地から消えたものの、駅名はその後も46年に渡って消えた元最寄り施設の名残を守ってきた。この度、聖マリア病院という現在の最寄り施設にちなむ「聖マリア病院前」に改称されて90年5か月での再出発を切る。
3月16日「聖マリア病院前」に改称予定! 西日本鉄道天神大牟田線 試験場前駅(福岡県久留米市)
移転される駅は1駅で、名古屋鉄道三河線の三河知立(みかわちりゅう)駅(愛知県知立市)だ。大正4(1911)年10月28日に三河鉄道の終点・知立駅(初代)として開業、豊橋線新知立駅(現:東知立駅)との統合を経て、現在の知立駅(3代目)が開業した昭和34(1959)年4月1日に分立されて三河知立駅となった。この度、東に900m移転して新たな歴史を刻むことになる。
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