【3月16日廃止】国道沿いの集落に佇む貨車駅舎 函館本線 中ノ沢駅(北海道山越郡長万部町)
先日、JR北海道は来年3月16日ダイヤ改正で利用者の少ない5駅を廃止すると発表した。その一つが山越郡長万部町の中ノ沢駅で、6月にも廃止が検討されていることが報じられていた。
中ノ沢駅は明治37(1904)年10月15日に北海道鉄道の「紋別(もんべつ)」駅として開業。大正3(1914)年10月1日に改称された。駅名「中ノ沢」は、当地が紋別川とワルイ川(和類川)の中間にある沢だったことに由来する。昭和62(1987)年1月に改築された貨車駅舎はヨ3500形車掌車を改造したものだ。
駅があるのは国道5号線から駅前通りを140mほど進んだ突き当りで、国道沿いには飲食店や菓子店もあるが、駅はその喧騒から取り残されたように静寂に包まれている。
室内は丸い天井や窓の造りなどに貨車時代の面影を色濃く残している。道内の貨車駅舎では一方のデッキが撤去されて便所と物置に改造されているものが多いが、中ノ沢駅の場合はデッキが二つとも残っている。
停車する列車は6往復。今回廃止になる5駅の中では最も本数が多いが、上りは5時間も列車の間隔が空く時間帯もある。
中ノ沢駅は複線区間に位置し、ホームは単式2面2線だ。かつては中線があり、単式と島式を組み合わせた2面3線だった。下り長万部方面ホームへは構内踏切を渡らないといけないので、乗車の際は早めにホームへ行っておいた方がいいだろう。
北海道の大動脈・函館本線上の駅だけあってホームは長い。ただし列車の発着で使われているのは構内踏切前後の20mほどで、その大半は夏は草に冬は雪に覆われている。滅多に人も立ち入らないであろうホームの端の方にも駅名標があるが、冬は雪に阻まれて近付くのは困難だ。
120年近くの長きに渡って営業を続けてきた中ノ沢駅だが、利用者数の減少により、まもなくその長い歴史に幕を下ろす。くれぐれも事故やトラブルのないまま平和に最後の日を迎えてほしいものだ。
関連記事
恩根内駅、初野駅、愛山駅、滝ノ上駅、中ノ沢駅 JR北海道の無人5駅の来年3月廃止が確定
【3月16日廃止】下り2本、上り3本しか停まらない特急街道上の駅 石勝線 滝ノ上駅(北海道夕張市)
【3月16日廃止】地元出資で貨車駅舎から改築された駅 宗谷本線 恩根内駅(北海道中川郡美深町)
【3月16日廃止】稲作北限地帯の板切れホーム 宗谷本線 初野駅(北海道中川郡美深町)
【3月16日廃止】愛知と山形に由来する駅名の元仮乗降場 石北本線 愛山駅(北海道上川郡愛別町)
来春ダイヤ改正で廃止検討!? 道南の貨車駅舎 函館本線 中ノ沢駅(北海道山越郡長万部町)
来春ダイヤ改正で廃止検討!? 板切れホームとプレハブ待合室 宗谷本線 初野駅(北海道中川郡美深町)
地元自治会が廃止受け入れ 一度は廃止が撤回されたものの… 宗谷本線 恩根内駅(北海道中川郡美深町)