恩根内駅、初野駅、愛山駅、滝ノ上駅、中ノ沢駅 JR北海道の無人5駅の来年3月廃止が確定
JR北海道が来年3月のダイヤ改正で5つの無人駅を廃止することが報じられた。6月には1日の平均乗車人員が3人以下の無人駅42駅の廃止を検討しているとの報道があったが、今回廃止となる5駅はいずれもその42駅に含まれていた駅だ。
JR北海道では平成28(2016)年以降、毎年利用者の少ない無人駅を廃止しており、路線廃止に伴うものを除けば7年間で49駅が廃止となった。今年3月にも日高本線の浜田浦駅が廃止されている。
今回、廃止が報じられたのは宗谷本線の恩根内駅と初野駅(いずれも中川郡美深町)、石北本線の愛山駅(上川郡愛別町)、石勝線の滝ノ上駅(夕張市)、函館本線の中ノ沢駅(山越郡長万部町)の5駅だ。それではこの5駅について見ていこう。
恩根内駅は明治44(1911)年11月3日開業。美深町北部の恩根内という集落に所在する。駅舎は国鉄末期に貨車駅舎となったが、平成5(1993)年に地元負担で現在の駅舎に改築された。令和3(2021)年3月13日のダイヤ改正に際しては、廃止候補として名前が挙がったものの、地元負担を条件に存続した。しかし、一日平均乗車人員が一人以下という状況が例年続いており、地元の負担も大きいことからこの度廃止の途を辿ることになった。
初野駅は昭和23(1948)年6月に初野仮乗降場として開業。昭和34(1959)年11月1日に正式な駅に昇格した。北海道特有の「朝礼台」と呼ばれる板切れホームの入口に平成8(1996)年設置のプレハブ待合室がある駅だ。周辺には長閑な田園地帯が広がっている。令和4(2022)年度の一日平均乗車人員は1.0人で、通学利用が一人あるものの、それ以外の利用は皆無に近い。350m西を走る国道には列車よりも本数の多いバスが走っており、通学利用もそれで代替可能なことから廃止が受け入れられたのだろう。
愛山駅は昭和35(1960)年5月2日に愛山仮乗降場として開業。昭和62(1987)年4月1日の国鉄分割民営化で正式な駅に昇格した。周辺は田園地帯で、駅前を国道39号が通っていて交通量は多い。コンクリートの板張りホームから道路を挟んだところに木造の待合室が設置されている。令和3(2021)年度の一日平均乗車人員は2.6人。
滝ノ上駅は明治30(1897)年2月10日に北海道炭礦鉄道の貨物駅として開業、明治34(1901)年12月1日に旅客扱いを開始した。駅前を国道274号線が通っており、集落が形成されているが、人の気配は少ない。駅舎は昭和56(1981)年12月改築で、無人駅にしては大きく立派なものだ。2面3線のホームのうち3番線は廃止されている。列車本数は上り3本、下り2本と今回の廃止予定駅の中では最も少ない。
中ノ沢駅は明治37(1907)年10月15日に北海道鉄道の「紋別(もんべつ)」駅として開業。大正3(1914)年10月1日に改称された。昭和62(1987)年1月に貨車駅舎に改築されている。国道5号線から駅前通りを140mほど進んだ突き当りにあり、周辺には民家の他に飲食店と菓子店があるが、駅は喧騒から取り残されたような雰囲気だ。平成30(2018)年から令和4(2022)年までの過去5年間の一日平均乗車人員は0.6人だった。
今回廃止が確定した5駅はいずれも6月時点で廃止の意向が報じられていた駅だっただけに驚きは少ない。3月の廃止に向けてこれから多くの鉄道ファンで最後の賑わいを見せることだろうが、トラブル等もないまま平和に最後の日を迎えることを望みたい。
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