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丸山忠久銀河(54)連覇か? 藤井聡太七冠(22)リベンジか? 銀河戦決勝、2年連続で同じカード

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月24日。囲碁・将棋チャンネルにおいて第32期銀河戦決勝、丸山忠久銀河(九段、54歳)-藤井聡太七冠(22歳)戦が放映されます。

 また12月21日13時からは、囲碁将棋プラス(会員限定)で配信されます。


 両者は昨年の決勝戦でも対戦しました。


 結果は丸山九段が99手で勝って初優勝を決めています。


 32期の銀河戦の歴史の中でも、決勝戦が2年連続で同じカードは初めてとなります。

 丸山銀河はもし今期も優勝ならば、昨年自身が記録した史上最年長優勝記録(53歳)を、自身で塗り替えることになります。

 銀河戦2連覇は羽生善治現九段が2回達成しています(1997、98年度と2000、01年度)。もし丸山九段が2連覇を達成すれば、羽生九段以来の記録となります。


 藤井七冠は2020年度、史上最年少18歳で優勝。本局は史上最年長優勝者と、史上最年少優勝者の対戦ということにもなります。

 藤井七冠はもし本局に勝てば、22歳にして3回目の優勝となります。


 藤井七冠と丸山九段の過去の対戦成績は藤井1勝、丸山2勝です。

 藤井七冠が負け越している棋士はわずかに5人しかおらず、丸山九段はそのうちの一人です。

今期の丸山銀河


 丸山銀河は今期、本戦Eブロックに参加。7連勝と破竹の勢いで駆け上がってきた梶浦宏孝七段に勝ち、最終勝ち残り者となりました。


 決勝トーナメントでは西尾明七段、阿久津主税八段に勝利。準決勝では同じ「黄金世代」の森内俊之九段と対戦しました。棋譜はこちらで公開されています。


 後手の丸山九段は得意の一手損角換わり。森内九段が早繰り銀に出たのに対して、腰掛け銀から左美濃に組み替えて受けます。戦いが始まり、互いに玉から遠いサイドに角を打ち込んで攻め合う展開。終盤に入ったところでは丸山九段がリードを奪っていました。しかし森内九段も頑強に受け続け、勝敗不明のまま、見応えのある攻防が続いていきます。最後は丸山九段が粘る森内九段を押し切って、128手で終局となりました。


 丸山九段の2年連続の決勝戦進出は、これだけでも素晴らしいというほかありません。


 熟練の丸山銀河。今年度は満50歳以上の棋士が参加する達人戦でも優勝しています。



今期の藤井七冠


 藤井七冠は今期、本戦Hブロックに参加。近藤誠也七段を降して、最終勝ち残り者となりました。


 決勝トーナメントでは狩山幹生四段、広瀬章人九段、佐々木勇気八段に勝利。3年連続、4回目の決勝戦進出を果たしています。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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