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【消えた駅舎2024】令和6(2024)年上半期(1月~6月)に解体・役目を終えた駅舎たち

清水要鉄道・旅行ライター
呉線 仁方駅(広島県呉市) 2月解体

 令和6(2024)年も残すところあと10日。ということで、今年に建替えや解体などで消えた駅舎を2回に分けて振り返っていくことにしよう。この記事では上半期(1月~6月)に消えた駅舎を紹介する。

東北本線 蒲須坂駅(栃木県さくら市)
東北本線 蒲須坂駅(栃木県さくら市)

 今年最初に役目を終えた駅舎は、栃木県の蒲須坂(かますさか)駅だった。昭和45(1970)年3月に建てられた鉄筋コンクリート造平屋建ての駅舎で、建替え工事のため1月20日より閉鎖されて仮通路の使用を開始した。2月中に解体され、跡地には現在新駅舎を建設中だ。来年春ごろ供用開始予定の駅舎は郵便局と一体となったもので、駅業務の一部を郵便局が受託する予定となっている。

郵便局と一体化した駅舎に建て替えへ 東北本線 蒲須坂駅(栃木県さくら市)

肥薩線 球泉洞駅(熊本県球磨郡球磨村) ※画像はWikipediaより
肥薩線 球泉洞駅(熊本県球磨郡球磨村) ※画像はWikipediaより

 2月6日からは熊本県にある球泉洞(きゅうせんどう)駅の解体工事が始まった。球泉洞駅は令和2(2020)年7月4日の豪雨により被災して休止中で、豪雨およびその後の風雨で傷んで倒壊の恐れがあることから、駅舎の解体が実施された。

呉線 仁方駅(広島県呉市)
呉線 仁方駅(広島県呉市)

 2月には広島県の仁方(にがた)駅の旧駅舎が解体された。仁方駅は昭和10(1935)年11月24日開業。かつては仁堀航路への連絡駅だったことでも知られる。昨年11月上旬より旧駅舎の向かって右側に新駅舎を建設し、その完成後に旧駅舎を解体した。旧駅舎は開業時のもので、新駅舎の使用開始により88年の長い歴史に幕を下ろした。

山陽本線 竜野駅(兵庫県たつの市)
山陽本線 竜野駅(兵庫県たつの市)

 2月21日には兵庫県の竜野駅が仮駅舎に移行した。旧駅舎は明治39(1906)年12月1日の山陽鉄道国有化時に建てられたもので、築117年の古いものだった。仮駅舎への移行後、5月末まで解体工事が行われている。新駅舎は交流施設を併設した2階建てで、令和7(2025)年度完成予定だ。

橋上化のため2月21日から仮駅舎に 築117年の木造駅舎 山陽本線 竜野駅(兵庫県たつの市)

旧:留萌本線 峠下駅(北海道留萌市)
旧:留萌本線 峠下駅(北海道留萌市)

 4月1日には、北海道の廃駅・峠下駅の駅舎が雪の重みにより倒壊した。峠下駅の駅舎は昭和29(1954)年に建替えられたもので、令和5(2023)年4月1日の路線廃止後は窓を塞がれた状態で放置されていた。雪の重みにより押し潰された駅舎の残骸は、飛散防止のネットに覆われた状態でしばらく放置されていたが、9月上旬に撤去されている。

廃止から一年 留萌市の廃駅 旧:留萌本線 峠下駅の木造駅舎が雪の重みで倒壊

土讃線 讃岐財田駅(香川県三豊市)
土讃線 讃岐財田駅(香川県三豊市)

 5月10日からは香川県の讃岐財田(さぬきさいだ)駅の駅舎が解体された。この駅舎は大正12(1923)年5月21日開業時以来のもので、築101年。分割民営化直後に改装されていたものの、老朽化が進んでいた。跡地には新駅舎が建設され、7月31日より供用開始。新駅舎はアルミ製の屋根の下にベンチを置いただけの極めて簡素なものとなった。

タタリを起こした樹齢700年のタブノキと建て替え予定の木造駅舎 土讃線 讃岐財田駅(香川県三豊市)

五能線 向能代駅(秋田県能代市)
五能線 向能代駅(秋田県能代市)

 5月15日には秋田県の向能代駅が仮駅舎に移行した。旧駅舎は昭和24(1949)年2月1日開業時以来のもので、窓が大きく明るい印象だった。旧駅舎の解体後、跡地に新駅舎の建設が行われ、9月25日より供用開始された。新駅舎は北前船をイメージした意匠で、北前船の寄港地として栄えた能代市の歴史に因んだものである。

北前船を模した駅舎に改築へ まもなく消える築70年超えの木造駅舎 五能線 向能代駅(秋田県能代市)

奈良線 上狛駅(京都府木津川市)
奈良線 上狛駅(京都府木津川市)

 5月中旬からは京都府にある上狛(かみこま)駅の建替え工事が始まった。築年不詳の木造駅舎で、年季の入った石垣の上に建てられていた。5月中に旧駅舎の待合室内に仮駅を設置し、6月中に旧駅舎を解体。今のところ、石垣の上に簡素な仮駅が建てられている状態だが、来年度に行われるスロープ設置で石垣がどうなるのかが気になるところだ。

まもなく改築される石垣の上の木造駅舎 奈良線 上狛駅(京都府木津川市)

続く下半期(7月~12月)に消えた駅舎は次の記事で紹介する。

【消えた駅舎2024】令和6(2024)年下半期(7月~12月)に解体・役目を終えた駅舎たち

鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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