3月16日「聖マリア病院前」に改称予定! 西日本鉄道天神大牟田線 試験場前駅(福岡県久留米市)
3月16日のダイヤ改正で新駅「桜並木」駅の開業が予定されている天神大牟田線。同じダイヤ改正では移転した元最寄り施設の名を40年以上も守ってきた「試験場前」駅の「聖マリア病院前」駅への改称も予定されている。
試験場前駅は昭和8(1933)年10月6日開業。駅名の由来となったのは、福岡県久留米工業試験場で、工業製品の試験を行う場所であった。試験場は戦後、県から国に寄贈されて昭和23(1948)年8月1日に工芸指導所九州支所となり、昭和27(1952)年に産業工芸試験所九州出張所となっている。昭和29(1954)年にはその敷地内に福岡県福岡工業試験場久留米分場が設置され、県の試験場が復活した。国の試験所は昭和48(1978)年に廃止、県の試験場は昭和53(1978)年に統合されているが、駅名はその後も改称されずに「試験場前」の名を守り続けた。
筆者が訪問した2月6日、試験場前駅ではちょうど駅入口の駅名表示を撤去しているところだった。南口の頭上に掲げられた大きな駅名は既に撤去され、バラされた文字の残骸がトラックに積み込まれて搬出されるのを目にした。駅名改称の場合、当日に駅名表示を交換する例は稀で、事前に交換して上からシールで旧駅名を貼って当日に剝がすという例が多い。
試験場前駅の駅舎は平成16(2004)年10月17日に高架化されている。高架下の改札口には自動改札が完備されていて、都市近郊駅らしい佇まい。窓口もあるが、時間帯によっては駅員が不在となる。高架化以前は、相対式ホームの端に昭和41(1966)年3月28日改築の小さな地平駅舎があった。
ホームは相対式2面2線で、1番線が福岡(天神)方面、2番線が大牟田方面だ。西鉄久留米から当駅までは昭和26(1951)年11月20日に複線化されており、当駅から大善寺駅までは単線区間となっている。複線区間の終わりということもあって、昭和40年代には折り返し列車も設定されていたが、ホーム延長で折り返し線を確保できなくなったために廃止された。折り返し線は高架化で復活し、当駅始発の列車も設定されているが、回送で送り込まれてくるため当駅止まりの列車はない。
駅のすぐ西側を国道209号線が通っており、「試験場前駅北」「試験場前駅南」と駅名を冠した交差点が二つもある。こちらも駅名改称により何らかの動きがあるかもしれない。ちなみに上写真左奥の背の高いビルが新駅名の由来となる聖マリア病院で、右に見切れているビルも聖マリアヘルスケアセンターだ。
消えた工業試験場の名を今に伝える駅名もあと一か月。駅名改称前に西鉄電車で試験場前駅を訪れてみるのはいかがだろうか。
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