4月からスイッチバックの終着駅に!廃止予定区間の起点 根室本線・富良野線 富良野駅(北海道富良野市)
来たる令和6(2024)年4月1日、根室本線の富良野~新得間81.7キロが廃止となる。この区間は明治33(1900)年12月2日から明治40(1907)年9月8日にかけて、北海道官設鉄道十勝線の一部として開業。釧路本線と呼ばれた時期を経て根室本線の一部となった。以降、長きに渡って札幌方面と帯広・釧路を結ぶ大動脈として機能してきたが、昭和56(1981)年10月1日に石勝線が開通すると支線に転落。過疎化やモータリゼーションの進行もあって利用者が減る中、平成28(2016)年8月31日の台風10号によって被災し、東鹿越~新得間では長期に渡って運休が続いていた。JRと地元自治体の間では存廃をめぐって協議が行われていたが、地元の廃止合意により、今年3月31日に廃止届が提出された。今回は廃止予定区間の起点・富良野駅を紹介する。
空知地方南部の中心都市・富良野市の玄関口である富良野駅は明治33(1900)年8月1日に北海道官設鉄道十勝線の「下富良野(しもふらの)」駅として開業。この十勝線は現在の富良野線にあたり、滝川方面とを結ぶ現在の根室本線が開業するまではこちらがメインルートだった。同年12月2日、十勝線は鹿越まで延伸し、下富良野駅は中間駅となっている。滝川とを結ぶ路線が開通したのは大正2(1913)年11月10日で、これに伴って旭川~下富良野間は「富良野線」となった。所在地は大正8(1919)年4月1日の町制施行時に下富良野村から富良野町に改称、駅名がそれに追随したのは20年以上も後の昭和17(1942)年4月1日だった。駅舎前に国鉄仕様の駅名標が設置されており、左の「のかなん(野花南)」が滝川方面の根室本線、「がくでん(学田)」が旭川方面の富良野線、右の「ぬのべ(布部)」がまもなく廃止となる新得方面の根室本線だ。野花南駅との間には平成29(2017)年3月4日まで島ノ下駅があったが、信号場化後にこの駅名標も修正されている。
駅舎は昭和49(1974)年12月17日に改築されたもので、翌年の冬季国体に合わせての改築だった。主要駅だけあってみどりの窓口が設置されており、待合室にはそば店も営業している。この佇まいはおそらく根室本線部分廃止後も大きく変わることはないだろう。
根室本線の一部廃止により、富良野駅は4月1日よりスイッチバックの終着駅となる。とはいえ、滝川方面から旭川方面に直通する定期列車はないので、あまりスイッチバックを意識する機会はないかもしれない。運賃表の路線図では富良野線の線路が滝川方面に繋がるように描かれているが、実際は新得方面に繋がる向きだ。これは富良野線が元々メインルートだったという先述の歴史的経緯による。
ホームは島式2面4線。それぞれのホームがちゃんと上屋で覆われており、北海道の地方都市の玄関口としては立派な部類に入るだろう。1番線はなく、2・3番線(左)が根室本線、4・5番線(右)が富良野線ホームである。写真のキハ150は令和5(2023)年3月18日ダイヤ改正で富良野線から撤退し、現在の富良野線はH100形に統一されている。
来たる4月1日より分断された根室本線の終点となる富良野駅。現状でも東鹿越方面の影が薄いことを考えるとそれほど大きく変わらないのではないかという気もするが、果たしてどうなるだろうか。
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