狩勝峠を控えた十勝の西の玄関口 根室本線・石勝線 新得駅(北海道上川郡新得町)
落合駅を出て狩勝峠を越えた根室本線代行バスは、雄大な十勝平野を眺めながら勾配を下り、新得市街に入って新得駅に到着する。新得駅は滝川~根室を結ぶ根室本線と南千歳~新得を結ぶ石勝線の接続駅だ。ただし、札幌と帯広・釧路を結ぶ特急は全て石勝線を経由するため、石勝線と根室本線新得以東が一つの路線であるかのような雰囲気だ。根室本線新得以西は極めて存在感が薄いが、それもそのはず。平成28(2016)年8月31日の台風10号で被害を受けて以来、バス代行が続いているのだ。根室本線の富良野~新得間は令和6(2024)年4月1日での廃止が決定しているため、今後は二つの路線の接続駅ではなく、石勝線・根室本線という一つの路線系統の運行拠点駅という感じになっていくだろう。
上川郡新得町の玄関口である新得駅は明治40(1907)年9月8日開業。かつては王子製紙の馬車鉄道や私鉄の北海道馬車鉄道も乗り入れていたが、いずれも廃止されている。昭和56(1981)年10月1日の石勝線開業で二つの路線の接続駅となった。ただし、二つの路線の正確な分岐点は24キロ西にある上落合信号場で、当駅との間は重複区間となっている。不通となっている区間も厳密に言えば東鹿越~上落合(信)間だ。
駅舎は昭和61(1986)年12月31日に改築されたもので、二階建ての新得町商工会館が併設されている。みどりの窓口や駅そば店もあり、主要駅らしい雰囲気だ。ホームは2面3線で、特急列車はなるべく駅舎側の1番線に発着するよう配慮されている。3番線は富良野方面の列車に使われていたが、バス代行のため現在は使われていない。
券売機上の運賃表の路線図では札幌~南千歳~新得~釧路間が一つの路線であるかのように描かれている。石勝線の新夕張~新得間は特急列車のみが走る区間で、新得駅から新夕張・札幌方面への普通列車は設定されていない。
東鹿越とを結ぶ根室本線代行バスは駅前にバス乗り場に発着している。落合駅との間でサホロリゾート前にも停車し、全区間の所要時間は1時間8分。以前は幾寅のみに停車する快速便もあったが、令和3(2021)年3月13日ダイヤ改正で廃止されている。代行バスのダイヤは以下の通りだ。
滝川・富良野→新得(下り)
滝川5:49→7:15富良野7:17→8:01東鹿越8:06→9:14新得
富良野14:14→14:59東鹿越15:13→16:21新得
滝川15:38→16:42富良野16:48→17:32東鹿越17:37→新得18:46
滝川17:57→19:00富良野19:02→19:48東鹿越19:54→20:54新得
新得→富良野・滝川(上り)※早朝の102便のみ落合始発
落合6:08→6:28東鹿越6:36→7:17富良野7:39→8:45滝川
新得8:00→9:08東鹿越9:16→9:55富良野10:07→滝川11:12
新得13:57→15:04東鹿越15:12→15:51富良野15:52→滝川16:57
新得16:21→17:29東鹿越17:42→18:22富良野
新得18:37→19:46東鹿越19:57→20:36富良野20:36→滝川21:33
7年以上に渡って運行が続けられてきた根室本線代行バスも4月1日の路線廃止によって運行を終了する予定だ。バスでの狩勝峠越えは今後も旭川・富良野と帯広を結ぶ高速バス「ノースライナー」でできるものの、根室本線の各駅に寄ってくれるわけではない。代行バスの旅を楽しみたいなら今のうちに乗っておいた方がよいだろう。
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