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ソニーがKADOKAWAの買収交渉 狙いを考察 #専門家のまとめ

河村鳴紘サブカル専門ライター
ソニーグループ本社ビル=著者撮影

 ソニーがKADOKAWAの買収に向けて交渉中というニュースをロイターが報じ、それを受けて大手メディアが「後追い」をして話題になっています。KADOKAWAが認めた通りまだ交渉初期ではありますが、買収の狙いを考えてみます。

ココがポイント

1兆8000億円の予算枠で買収などを検討(中略)メディア大手「パラマウント・グローバル」の買収も(中略)その後、交渉から撤退
出典:NHK 2024/11/19(火)

ソニーのソフトへの執着は筋金入りです。半世紀も前からソフト(コンテンツ)に着目し、時にはメディアに批判を浴びながら
出典:現代ビジネス 2020/12/2(水)

「現在、ソニーは世界で1億6000万人とエンターテインメントで直接つながっている。これを10億人に広げたい」
出典:東洋経済オンライン 2021/06/03(木)

KADOKAWAが、海外展開を成長の軸とした事業構築を着々と進めている。(中略)けん引役となっているのが漫画やライトノベルだ。
出典:日本経済新聞 2022年2月20日(日)

世界のコンテンツ市場規模の推移を見ると、日本は世界第3位。2022年は13.1兆円。中国は(中略)2022年時点で日本の2.5倍の市場
出典:出典 経済産業省 2024/11/6(水)

エキスパートの補足・見解

 買収について、報道ではソニーグループのエンタメ事業の強化と報じています。背景には世界的な巨大企業によるエンタメの主導権争いがあります。

 ソニーは「電機大手」だった時代から音楽、ゲーム、映画の事業に進出。時には苦戦して、畑違いなどと批判をされながらも事業を拡大し、今ではエンタメ事業(アニメ、音楽、映画)だけで売上高7兆円を誇ります。

 ゲームやアニメなどのビジネスは、開発・制作費の高騰、人材の囲い込み、有力コンテンツ(IP)の確保といった事情から合従連衡が進んでいます。少子高齢化で成長が見込めない日本市場だけでは生き残りは厳しく、海外進出は必須です。

 特にソニーやマイクロソフトは買収に積極的。またグーグルやアップル、アマゾンなどもエンタメに注力しています。根底には、エンタメコンテンツの持つ「ソフトパワー」がより重視されていることがあります。

 KADOKAWAもサブカルチャーを軸に海外進出に力を入れていました。エンタメで世界展開をしたソニーの力は欲しいところ。また企業のイメージがダウンする事件が続いており、イメージを回復させる手にもなりえます。

 ただし懸念もあります。ソニーは世界を意識する分、コンテンツ制作のハードルが高く、かつ事業の成果を求める傾向にあります。一方でKADOKAWAは「攻め」のコンテンツも多く、こうした企業文化の相違が買収後のコンテンツ制作の障害になりうる可能性も考えられます。両社とも日本を代表する企業で知名度は抜群ですが、売上高の比較では12兆円と2500億円という差があります。

 なおこの手の話は、急な失敗や破談もありえる話です。同時になぜこの買収交渉が漏れたのか、また明かした関係者の狙いも気になるところです。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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