Yahoo!ニュース

オープンキャンパス格差を考えてみた・上~教育広報担当者が知ると得する話・18

石渡嶺司大学ジャーナリスト
(写真:イメージマート)

◆コロナ禍後のオープンキャンパス

コロナ禍前はもちろん、コロナ禍後も夏を中心にオープンキャンパスはできるだけ行くようにしている。

大学ジャーナリストの看板を掲げる以上、全部は無理でもある程度は見ておく必要があるからだ。

今回はコロナ禍以降の訪問とオープンキャンパスサイトなどから、オープンキャンパスを運営する上でのポイント、それと、独断と偏見による改善策をまとめてみた。

改善策については、すでに実施している大学のものもあればそうでないものもある。または、石渡が気付いていないだけ、というのもあるはず。その場合はご連絡いただければ、本稿を適宜、修正することとしたい。

◆オンライン型は減ったけれど~感染リスク対策ではなく災害リスク対策として

コロナ禍の初年度となる2020年、対面のオープンキャンパスはほぼ中止となった。

その代わり、オンライン型を各校とも実施するようになった。

ただ、対面でのイベントが可能となった2023年には、オンライン実施は激減し、それは今年も同様である。

確かに、感染リスク対策としてのオンライン実施はほぼ不要になった、と言っていいだろう。大学からすれば、オープンキャンパスは実際に見てもらう必要があるから対面実施で当然、とするのはよく理解できる。

しかし、私はオンライン型を完全に辞めてしまうことには同意できない。

その理由は感染リスク対策ではなく、災害リスク対策として、である。

本稿を執筆しているのが8月31日なのだが、台風10号が日本を縦断・横断している。新幹線を含む公共交通機関にも大きな影響を及ぼしている。

先ほどのNHKニュースによると、今後、こうしたゆっくり移動する台風は増加するそうだ。

私は起床ジャーナリストではないので、詳細は関連ニュースを参照していただきたい。

ただ、台風の今後はどうあれ、夏のオープンキャンパスは台風や大雨など、災害リスクは常に付きまとう。

この災害リスクに備えるためにも、オンライン型のオープンキャンパスはある程度、残した方がいいのではないだろうか。

台風などの災害がなく、好天に恵まれたとしても、オンラインなら参加できる、という需要は一定数はあるはず。

対面のオープンキャンパスと合わせて、一部のプログラムについてはオンラインでも中継できるようにするのはどうだろうか。

コロナ禍前ならまだしも、コロナ禍後の現在であれば、そこまで難しい技術ではないことは明らかになっている。

もちろん、対面のオープンキャンパスに来てもらうためにも、全部をオンライン併設にする必要はない。それでも、ある程度はオンライン併設とするのはどうだろうか。

今回の台風10号のような災害で対面型を中止としても、オンライン併設であれば、アピールする機会を失うことはない、と思うのだが。

◆以下、有料公開部分となります。

◆空き教室で別プログラムの録画再放送を
◆離れたキャンパス・サテライトキャンパスの活用を
◆総合型選抜対策は3年生だけ?それとも1・2年生も?
※無料公開部分1100字・有料公開部分の文字数2300字/合計3400字

学校・教育機関広報担当者向けシリーズ・バックナンバー

鶴見大学VS週刊文春のプレスリリースを勝手に添削~教育広報担当者が知ると得する話・1(2023年3月12日公開)

侮辱・不適切動画が出た学校はどうする?~教育広報担当者が知ると得する話・2(2023年3月16日公開)

「近大ばかりえこひいきして」に反論したい~教育広報担当者が知ると得する話・3(2023年3月31日公開)

「プレスリリースで送るほどのものがない」と嘆く前にできること~教育広報担当者が知ると得する話・4(2023年4月25日公開)

前提を揃えないと専門学校並みに信頼性が落ちる/美作大学が微妙な件~教育広報担当者が知ると得する話・5(2023年5月4日公開)

記者が異動したら/「教育担当部署には送りました」~教育広報担当者が知ると得する話・6(2023年6月24日公開)

食べ物・グッズネタは小ネタだから記事にならない、というウソ~教育広報担当者が知ると得する話・7(2023年7月19日公開)

オープンキャンパスではオシャレスポットに日常を~教育広報担当者が知ると得する話・8(2023年8月28日公開)

石渡が高校講演で長崎国際を出して東北主要私大を紹介しなかった理由~教育広報担当者が知ると得する話・9(2023年9月26日公開)

分野別ガイダンスをパスする余裕などないはずなのに~教育広報担当者が知ると得する話・10(2023年10月31日公開)

「就職」売りはインフレ状態に~教育広報担当者が知ると得する話・11(2023年11月30日公開)

女子大のIT系学部はなぜ低迷してしまうのか~教育広報担当者が知ると得する話・12(2023年12月31日公開)

SNS投稿は受験生集めにつながるのか~教育広報担当者が知ると得する話・13(2024年1月31日公開)

園田学園女子大学の共学化プレス対応が外している理由~教育広報担当者が知ると得する話・14(2024年3月30日公開)

「女子」を残したままの共学化は意味がない~教育広報担当者が知ると得する話・15(2024年4月30日公開)

新設大学・学部の定員充足率が言葉足らずで微妙に損する件~教育広報担当者が知ると得する話・16(2024年5月31日公開)

キャンパスの都心移転か、それ以外か~教育広報担当者が知ると得する話・17(2024年7月31日公開)

以下、有料公開部分です

この記事は有料です。
教育・人事関係者が知っておきたい関連記事スクラップ帳のバックナンバーをお申し込みください。

教育・人事関係者が知っておきたい関連記事スクラップ帳のバックナンバー 2024年8月

税込550(記事1本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

石渡嶺司の最近の記事