記者が異動したら/「教育担当部署には送りました」~教育広報担当者が知ると得する話・6
◆送る前から「異動したらムダになる」と言われても
大学の広報担当者があれやこれやでプレスリリースを作った。
では、その送付先はどこか?
大半の広報担当者は、大学関連記事の担当部署・記者と答える。
地方大学であれば、地元の新聞やテレビ局などを挙げるはずだ。
ところが、プレスリリースをどこまで送るか、分かっていない大学の広報担当者はこんなことを言い出す。
「あのう、取材してくれた記者に送るとして、その方が大学関連の部署から異動したらどうしたらいいでしょうか?」
どうしたらも何も、送り続ければ良い。仮に、その記者が「もういいです」と言ってきたら、配信停止にすれば済む。
靴ひもを結ぶのと同じくらい簡単な話だが、なぜか、大学広報担当者には、この理屈が通用しない。
「異動した後にもプレスリリースの配信を続けて、それでトラブルになったらどうしましょうか?」
◆解除するのはごく一部
そんな心配、プレスリリースを送ってから考えてよ、と言いたくなるのを黙って、
「トラブルってどのようなものですか?」
と、聞いてみる。
「いえ、ですから、プレスリリースを送り続けて、それで『うるさい』と怒られるとか、そういうことです」
ネット草創期ならいざ知らず、現代であれば、消費者が企業からメルマガや宣伝メール等を受け取る機会は多い。
不要であれば、スルーか、あるいは、送信不要・解除の連絡をするのが一般的だ。
そうした連絡をする前に、「メルマガが何通も来て鬱陶しい」と怒る消費者がいるとすれば、それは単なるクレーマーでしかない。
そうしたクレーマーの発生をトラブル、というのであれば、その通りだろう。
ただし、田んぼのカエルがうるさいだの、高速バスの運転手が昼食休憩でカレーを食べたらにおいがきついからやめろ、だの、やたらと不寛容な話の出る現代である。
送信不要・解除の連絡をせずに、うるさいだの何だのと騒ぐクレーマーは、少しは発生するだろう。かなしいかな、それが現代であり、どの企業もそうしたクレーマーと対峙するしかない。
とは言え、大学の場合は少々異なる。記者にプレスリリースを送信する。
それを部署異動後にうるさいと思うのであれば、単に解除の連絡をすれば良い。
それを、一般企業に対するクレーマーと同様、うるさいと大学に直接苦情を伝える記者がいるとすれば、それはもうクレーマーではない。メディア側の暴力であり、外部に漏れれば炎上必至の案件となる。
もちろん、そうしたバカな記者は皆無ではない。
しかし、ほとんどの記者は、プレスリリースは受け取り続けるであろう。仮に、解除を希望するとしても、それは簡素に伝えるはずだ。
ごく少数しか出ないであろう苦情と、プレスリリースの効果、どちらが大事か、民間企業はよく分かっている。
気付いていないのは大学業界だけでしかない。
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