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新設大学・学部の定員充足率が言葉足らずで微妙に損する件~教育広報担当者が知ると得する話・16

石渡嶺司大学ジャーナリスト
(写真:イメージマート)

◆加計学園ネタで2度、出演が流れた理由

好き勝手言えていいですね、と言われる石渡だが、一応の基準がある。

それは「いいものはいい、悪いものは悪い」、それと「ウソではないけどホントでもないことは言わない」「ダブルスタンダードはやめる」というものだ。

聖人ではなく君子でもないので絶対とまでは言わないが、この3点は極力、守るようにしている。

後者2点については、この原則に従って、数回、こちらからワイドショー出演の話をお断りしたことがある。

2018年の加計学園による獣医学部新設が騒がれた時のことだ。日大・アメフト騒動で出演オファーが激増していたこともあり、加計学園関連でもオファーが相次いだ。

日大も加計学園(岡山理科大学)もそれぞれ知人がおり、複雑な感情だったが、仕事は仕事、ということで受けた。

結果、この年は100回以上出演したが、そのうち1回はお断りした。

翌年は年全体では確か30回くらい、それでやはり1回はお断りした。いや、2018年だったかもしれないが。

まず、2018年のときは「大学内にワインセラーを設けるなど酒を飲む施設を作るなど不見識、というテーマでやりたい」と言われた。

大学関係者ならご存じのように、そこそこ規模の大きい大学・キャンパスなら学会などのイベント開催がある。そのためのホールなどが必要であり、終われば懇親会なども開くことになる。

ワインセラーを含めて種類を提供する施設・設備を設ける大学は岡山理科大学だけではなく、中規模以上の大学ならよくある。

それを加計学園憎しで他大学における存在はスルーで加計学園だけ批判するのは「ウソでは泣くけどホントでもない」に他ならない。

それで、事情を説明した上で「他大学にもよくある施設・設備を加計学園だけ批判すること自体、おかしいというスタンスで話せるならオファーをお受けする」と伝えた。

案の定というべきか、この出演オファーは無しになってしまった。

出演回数が101回のところ、100回になったわけだが、後悔はない。

そもそも、この問題で加計学園を批判したコメンテーターが大学事情を知らないならまだしも、だ。

大学教員などであれば学会などに出席しているはずだし、学内での懇親会も参加しているはず。中規模以上の大学であれば、種類提供の施設・設備が必要であることを分かっていて加計学園を批判というのはダブルスタンダードもいいところだ。

もう1回は2018年だったか、翌年だったか、うろ覚えだが、やはり加計学園関連だ。

「獣医学部のある今治キャンパスの図書館は蔵書数が少ない。これは学問を軽視している姿勢の表れではないか、というテーマで出演を」ということだった。

これも、先のワインセラーと同じだ。獣医学部は6年制であり(一部は4年制)、キャンパスは新設。

その図書館の蔵書は新設学部のみのキャンパスだと、最初から蔵書を揃えるのではなく、完成学年までに揃えていく。これは大学関係者なら知っているはずだ。

少なくとも自分は知っているわけでこれを加計学園だからおかしい、というのであれば全大学がおかしい、と批判しなければそれこそおかしい。

事情を番組スタッフに話したところ、この出演も流れてしまった。

出演の話を逃したわけだが後悔は(以下略)。

◆以下、有料公開部分となります。

◆誤解を招く充足率の書き方
※無料公開部分1300字・有料公開部分の文字数1200字/合計2500字

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大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

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