鶴見大学VS週刊文春のプレスリリースを勝手に添削~教育広報担当者が知ると得する話・1
◆文春砲を喰らった鶴見大学
というわけで、教育機関の広報担当者向けにあれこれ解説するシリーズを開始。
1回目は文春砲を喰らった鶴見大学のプレスリリースについて。
文春砲とは、2023年3月16日号(3月9日発売)と、その前日に出した電子版記事(Yahoo!に配信、ヤフトピ入り)、電子版オリジナル記事、それぞれで、鶴見大学を取り上げた記事を指す。
具体的には、アカハラと「留年商法」があったのではないか、というものだ。
この「留年商法」については、鶴見大学だけではなく他の私立大もやらかしているのではないか、という内容を文科省データから検証する記事を10日に公開した。気になる方はこちらもお読みいただきたい。
◆守りの広報ができない教育機関
さて、本稿はYahoo!ニュース個人有料版、かつ、大学や高校などの教育機関で広報を担当する教職員向けの記事である。
民間企業と教育機関の広報の違いとは何か。
いくつかあるが、大きな点では、熱量の違い、そして、攻めの広報・守りの広報の割合だ。
熱量は民間企業の方が多く、自社の製品やサービスを積極的に売り込もうとする。ところが、教育機関はこの熱量がなぜか激減する(受験生や保護者などが対象の入試広報は別)。これについては、シリーズ(続けば、だが)の別の回に改めたい。
そして、攻めの広報・守りの広報の割合だが、教育機関は守りの広報の割合が極端に多くなる。教育内容や関連するサービス、あるいは学生(生徒)のスポーツ等での活躍で注目されるなど、攻めの広報の割合もゼロではない。
ところが、教育機関だと、学生(生徒)が事件を起こした、教職員がやらかした、など、不祥事で注目をされやすい。
それまでは入試広報を別にすれば、極端な話、何もやらなくても事足りてしまう、それが教育機関だ。
ところが、不祥事が起こると何もしないわけにはいかない。あれやこれやと聞いてくるメディアへの取材対応をする、あるいはプレスリリースを出す、記者会見の準備をする…、などなど、やることは多い。
ただでさえ、慣れていないところに、不祥事などが主テーマとなる守りの広報は、究極の目的は組織(大学なら大学)防衛にある。組織防衛のためには、慎重さが求められるが、何が慎重で、何が慎重でないか、そもそも分かっていない。
そのため、結果的には、広報担当者が守りの広報をできないどころか、広報担当者自らが火種となって炎上してしまった、というケースすらある。
◆大学取材21年の筆者
さて、本稿はYahoo!ニュース個人有料版、かつ、大学や高校などの教育機関で広報を担当する教職員向けの記事である。
民間企業と教育機関の広報の違いとは何か。
いくつかあるが、大きな点では、熱量の違い、そして、攻めの広報・守りの広報の割合だ。
熱量は民間企業の方が多く、自社の製品やサービスを積極的に売り込もうとする。ところが、教育機関はこの熱量がなぜか激減する(受験生や保護者などが対象の入試広報は別)。これについては、シリーズの別の回に改めたい。
そして、攻めの広報・守りの広報の割合だが、教育機関は守りの広報の割合が極端に多くなる。教育内容や関連するサービス、あるいは学生(生徒)のスポーツ等での活躍で注目されるなど、攻めの広報の割合もゼロではない。
ところが、教育機関だと、学生(生徒)が事件を起こした、教職員がやらかした、など、不祥事で注目をされやすい。
それまでは入試広報を別にすれば、極端な話、何もやらなくても事足りてしまう、それが教育機関だ。
ところが、不祥事が起こると何もしないわけにはいかない。あれやこれやと聞いてくるメディアへの取材対応をする、あるいはプレスリリースを出す、記者会見の準備をする…、などなど、やることは多い。
ただでさえ、慣れていないところに、不祥事などが主テーマとなる守りの広報は、究極の目的は組織(大学なら大学)防衛にある。組織防衛のためには、慎重さが求められるが、何が慎重で、何が慎重でないか、そもそも分かっていない。
もっと言えば、民間企業、それも消費者相手のビジネスを展開する企業だと広報担当部署に一線級の人材を配置する。それだけ、広報が重要であることを熟知しているからだ。消費者相手の企業でなくても、それなりの規模の企業になると、専属の人員を配置する。
一方、教育機関はどうか。大学は広報担当部署を設けている。が、入試広報と兼任のところが多い。メディア対応に慣れている大学は805校ある中で、数十校あるかどうか。
大学以外だと、どうせメディアからの取材など少ないだろう、というあきらめの元、他部署との兼任、あるいは中学・高校だと教員や教頭・副校長などが兼任することになる。当然ながら、主業務でないため、「広報って何をするの?」状態でしかない。
そのため、結果的には、広報担当者が守りの広報をできないどころか、広報担当者自らが火種となって炎上してしまった、というケースすらある。
◆大学取材21年の筆者
本題に入る前に、もう一点、筆者(石渡)の立ち位置について。
私は大学や就活の取材をして今年で21年目、関連著作が32冊ある。
大学や高校、短大など教育機関の取材も数多く手がけてきた。
当然ながら、広報対応の良し悪しについて、色々感じることは多々ある。
これが、新聞社や出版社勤務であれば、大学などを担当する部署に在籍しているのは、数年あるいは、長くても5年というところだろう。
しかも、企業勤務、かつ、名前の知られた大手メディア所属なので良くも悪くも安心感が広報担当者側にはある。
ところが、筆者の場合は、フリーランスで、しかも肩書が「大学ジャーナリスト」。
他の教育機関や民間企業だと、怪しまれるし、大学だと、さらに警戒される。何か、ネガティブなことを書かれるのではないか、と。
極端な警戒心から、一再ならず不愉快な思いをしたこともある。
そうした経験を元に、あれこれ書いていくのが本シリーズである。
要するに、半分以上が愚痴でしかない。それでも、広報担当者にとっては多少なりとも役に立つ内容、かもしれない。
その可能性を見出していただけるのであれば、投げ銭(月550円)していただければ幸いである。
◆鶴見大学のプレスリリース、何がまずい?
さて、ようやく本題に入る。
週刊文春記事を受けて、鶴見大学は2023年3月9日13時過ぎにプレスリリースを出した。
タイトルは「一部週刊誌の報道について」。
以下、有料公開部分となります。
◆教員の存在が消えた
◆留年商法否定の根拠が別ものに
◆細かいミスは他にも
◆もしも鶴見大学の立場だったなら
※有料公開部分の文字数:約5000字
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