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中国の凄惨な性犯罪。未成年への性暴行犯3人に死刑執行

宮崎紀秀ジャーナリスト
性被害を訴え中国の#MeTooに火をつけた被害者(2021年9月14日北京)(写真:ロイター/アフロ)

 中国の最高人民法院(最高裁に相当)は13日、未成年に対する性的暴行で有罪判決を受けた3人に対し、死刑を執行したと発表した。死刑執行された中には小学校の教員も含まれており、中国の性犯罪の凄惨さを物語っている。

6人の少女に100回を超える性的暴行

 最高人民法院は、死刑囚の犯した犯罪内容の概要についても明らかにした。

 そのうち、郭という名字の男は、2013年から19年まで小学校の教員を務めており、この間、6人の女生徒に対し合わせて100回余り性的暴行を加えた。被害者はいずれも最初に暴行を受けた時は14歳未満の未成年だった。郭は他にも12歳に満たない女生徒3人に対し、繰り返し性犯罪を加えていた。

 2人目の死刑囚は尚という労働者の男。尚は2011年から20年までの間、公園や幼稚園の入口などで女児を物色し、騙したり脅したりするなどして連れ出す手口で犯罪を繰り返していた。女児5人に対し性的暴行、3人に対し猥褻行為を働いた。更に尚は、性的暴行をしている最中に、その様子や女児の秘部をビデオや写真に撮り、脅しに使っていた。その脅しによって被害者のうち4人は、長期間に亘って尚の性的暴行を受け、うち1人は鬱を患い何度も自殺未遂を繰り返していたという。

被害者が自殺

 3人目の男は、公という名字の農民。公は自ら経営する売店によく遊びに来ていた少女を脅すなどしてマインドコントロールし、時には他の男と共に少女に性的暴行を加えていた。少女が最初に被害を受けたのは12歳に未満で、2015年から事件が発覚する2020年までの間、8回に亘り尚から性的暴行を受け、更に2回に亘り輪姦されていた。少女はそれ以外にも猥褻行為など40回以上に亘る被害を受けていた。
 少女はそうした境遇に耐えきれず、最後は農薬を飲んだ上、手首を切って自殺した。わずか16歳の命だった。少女は、両親が都市部などに働きに出てしまい祖父母や親戚のもとで農村に残された、いわゆる留守児童だった。

 最高人民法院は、未成年に対する性犯罪が近年増加している現状について警鐘を鳴らしている。その特徴として、犯罪者の9割以上が親戚、教師、近所の人、あるいはネット上で友人となった知り合いで、かつその一部は未成年に対する保護や教育、医療などに責任を持つ特殊な立場にあるという。
 また被害者については、自衛能力が低く、かつ家庭からの監督や保護の度合いが低い、留守児童や知的障害のある未成年が多い点、更に被害者の低年齢化が進み、14歳未満が多くを占めている点も指摘した。

 同法院は性犯罪に関する教育や未成年への監督の強化の必要性を訴えると共に、今回の死刑執行によって、未成年への性犯罪を厳罰に処す立場を鮮明にし、犯罪分子を震え上がらせることになるとしている。

ジャーナリスト

日本テレビ入社後、報道局社会部、調査報道班を経て中国総局長。毒入り冷凍餃子事件、北京五輪などを取材。2010年フリーになり、その後も中国社会の問題や共産党体制の歪みなどをルポ。中国での取材歴は10年以上、映像作品をNNN系列「真相報道バンキシャ!」他で発表。寄稿は「東洋経済オンライン」「月刊Hanada」他。2023年より台湾をベースに。著書に「習近平vs.中国人」(新潮新書)他。調査報道NPO「インファクト」編集委員。

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