NPBを目指す独立リーガー――滋賀ユナイテッドのドラフト候補選手【外野手編】
【前本飛翔(まえもと つばさ)・外野手/右投左打/175cm・75kg】
■左投手に苦戦した前期
滋賀ユナイテッド打線の中核、3番を打つ前本飛翔選手は前期、打率.328、出塁率.390、長打率.410と好成績を収めた。走攻守三拍子そろい、パンチ力もある。当然、NPB入りに照準を合わせている。
前期を「右ピッチャーはけっこう打てたんですけど、左ピッチャーがあまり打てなかった。そこが課題です」と省みる。
以前は左投手に対して苦手意識はなかったそうだが、「独立リーグにきてから、なんか合わない。ポイントがズレたりする」と頭を悩ませている。
後期に向けてそこが一番の修正点だが、打開策は「ボールの目付けですね。どこでどうとらえるか。どこらへんにきたボールを打つのか、目付けをもう一度考えてやりたい」と話す。
■足と肩を魅せていく
さらに後期は「もう少し盗塁数を増やしたい」と意気込む。前期は6コだった。「次(の打者)がケビン(モスキート選手)なので、ボクが走ることだけ考えていたらケビンも打ちづらい。状況を見ながらだけど、走れるときは走っていきたい」。
チームスポーツであるから自分のことだけ考えて動くわけにはいかないが、ひとつひとつのプレーに自身の“将来”が懸かっているのもまた事実だ。
「ここは絶対にダメというときはサインが出るので、それ以外はどんどん走っていきたい」。認められている「グリーンライト」の特権は、できる限り活かしていく構えだ。
また、自信のある守備にもさらに磨きをかけていく。「(送球が)高めに浮くことがあるのでもっと低く、速くて強いボールを投げられるようにしたい。肩にはけっこう自信あるので」。
■バッティングは積極性と確実性
そしてバッティングに関しては、持ち味である積極性をさらにアピールしていきたいと話す。「狙った球を一発で仕留められるよう、確実性を上げていきたい。打てるボールを狙って打つ。これまでは来た球を打てばいいやって部分があったけど、狙って、絞って打つようにしていきたい」。
現状には決して甘んじない。なぜなら居る場所はここではないから。その先の、もっと高いレベルでプレーすることを念頭に置いて、そのためにすべきことに後期は取り組んでいく。
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【泉 祐介(いずみ ゆうすけ)・外野手/左投左打/174cm・73kg】
■好打者の条件を満たす
不動のトップバッター・泉 祐介選手は、前期をフルイニング出場で完走した。一時は.478まで打率を上げ(出塁率は最高.615)、リーグトップにも輝いたこともあった(前期トータルは打率.378、出塁率.433)。
前期のOPSは.845、BB/Kは1.375と好打者の条件を十分に満たしている。
「正直、できすぎなところがありました」と照れくさそうに話すが、開幕前に大きな決断をし、それが奏功したことを明かす。「ボク、大学卒業するまでずっと、グリップに小指をかけて打つのが当たり前で、それが打ちやすかったんです。大学時代はそれで何も言われなかったし…」。
ところが独立リーグに入り、3月のオープン戦でなかなか結果が出なかった。「チームで一番打てなかったんですよ。そんなとき、コーチから『バットを短く持て』って言われて。『オマエはそういうバッターじゃない。もっと工夫しろ』と」。
そこで「どうせあかんのなら、挑戦してみようと。プライド捨てて短く持つことにしたんです」と決意した。すると「コンパクトに振れるようになったし、ボールも見れるようになったんです」と、違う世界が開けた。
頑なではなく、素直に耳を傾けられる性格だからこそ、進化するチャンスを得たのだ。
■インサイド攻めに苦しんだ前期終盤
しかしこれだけの高打率ゆえに、インサイド攻めが増えたそうだ。「かなり研究されたし(前期の)最後の方は苦しんで、追い込まれてからの打ちミスが多かったんです」と自覚する。
6月14日の新潟戦では二死三塁、カウント0―2からセーフティを試みてしまった。「結果がキャッチャーフライで…。サードが下がってたんで成功するんちゃうかと思ったけど、打っとけばよかった。消極的な自分がいた」と悔やむ。そして「こんなことしてたらNPBでは通用しない」と自らを責めた。
■自身のスタイルを追求していく
その経験があるからこそ、「当てにいくようなことはしたくない。追い込まれたらカットして、打ちミスをなくしたい。長打力はいらないかもしれないけど、もっと強い打球をライト方向に打ちたい」と、改めて自身のスタイルを追求する。
さらに「盗塁も増やしたい。牽制も多くなって、間一髪アウトというのも増えた。直線の速さよりリードやスタート、スライディングの向上をもっとしていきたい」と、ストロングポイントをさらに強化し、前期18コの盗塁数と.692の成功率をともにアップさせることを誓う。
「NPBで通用するプレーを」―意識は常にそこにある。
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