元「角ズーム」南海2200系 令和7(2025)年春引退へ 残る2編成のうち1編成を旧塗装に
南海高野線での活躍後、改造を受けて汐見橋線・高師浜線・多奈川線・加太線・和歌山港線といった支線区での活躍を続けてきた2200系が、観光列車「天空」に改造された編成を除き、来年春で引退することが分かった。
2200系は昭和44(1969)年、高野線用として登場。平坦路線での高速運転と山岳路線の急勾配・急カーブにも対応した高性能車両で、角ばった外観から「角ズーム」の愛称で親しまれた。後継の2000系が登場すると、更新工事の上で形式名を変更され、支線区に転出。電圧の違う貴志川線(現:和歌山電鐵)に渡った編成が2270系となった他、1編成が熊本電鉄に譲渡されて200形となった。熊本電鉄200形は既に引退している。
のちに分離された貴志川線を除く南海の支線区に残ったのは、6編成12両で、2201(旧22005)、2202(旧22007)、2203(旧22013)、2231(旧22011)、2232(旧22015)、2233(旧22009)の6本だ。仕様の違いから2200系と2230系に分けることができるが、この2形式を総称して2200系ということが多い。
2200系は高野線での継続使用を前提に更新したもので、他の編成との連結運転のために貫通幌枠が残されている。2000系の増備によりのちに支線区に転出し、2230系と一緒に使われるようになった。2200系のうち2203編成は「天空」用に改造されている。
2230系は支線区用に改造されたもので、2両編成単独で運用されることから、貫通路の幌枠や電気連結器といった連結運転用の装備が撤去された。また、ホームの高さに合わせた床の嵩上げも行われている。一方で、2200系で行われた側面方向幕の拡大は行われていない。こうした違いはあるものの、結果的には2200系の支線区転用により共通運用されることとなった。
2203編成の改造後も残る5編成は支線区で活躍を続けたものの、2000系の支線転用により廃車が始まった。まず2202編成が廃車となり、令和5(2023)年8月15日付で銚子電鉄に譲渡され、今年3月29日より運転を開始している。続いて廃車となった2201編成も今年8月19日付で銚子電鉄に譲渡されており、こちらは現在改造中だ。この2編成の廃車により、2200系は消滅。支線区には2230系が残るのみとなった。
2230系で最初に廃車となったのは2233編成で、今年7月24日に千代田工場から小原田検車区に廃車回送されている。こちらは譲渡されることなく解体された。
これにより2230系も2231、2232の2本を残すのみとなり、2200系自体が風前の灯火といった状態だ。来春で22000系以来約55年に渡るその活躍に終止符を打つこととなる。引退に際しては1月20日より2231編成が旧塗装に復元される予定だ。オリエンタルグリーンにエメラルドグリーンの帯を巻いた22000系時代の塗装は、2202編成の銚子電鉄への譲渡によって約30年ぶりに復活したが、その塗装が南海でも見られることになるのだ。まさに最後の晴れ舞台といったところだろう。
南海における2200系はこれにて引退となるが、「天空」および銚子電鉄に譲渡された車両と和歌山電鐵2270系の活躍は今後も続く。車齢を考えれば「天空」や和歌山電鐵の車両の今後も気にかかるところだ。
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