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セクシーなSM嬢から地味な公務員まで豹変する女優、菜葉菜。次の20年も一歩一歩、成長できれば

水上賢治映画ライター
「女優 菜 葉 菜 特集」の開催が無事終了した菜 葉 菜   筆者撮影

 SMの女王様に毒母、孝行娘に脱獄囚、特殊詐欺犯の青年を手玉にとる盲目の女性に不倫妻などなど。

 「いろいろな人物を演じ分けるのが俳優」といってしまえばそれまでだが、にしても一作ごとに違った顔を見せて、常に驚かせてくれる。

 いま、いやデビュー時から、そのような独自の活躍を見せてくれているのが、菜 葉 菜だ。

 バイプレイヤーとしてしっかりと作品にアクセントを加えることもできれば、主演も堂々と張れる。

 映画を中心に独自の輝きを放つ彼女のこれまでの歩みをひとつ振り返る特集上映が組まれた。

 横浜のシネマノヴェチェントにて開催される「女優 菜 葉 菜 特集」は、彼女の主演作、出演作、そして顔の映っていない作品(?)まで12作品を一挙上映。これまでのキャリアをたどる。

 その「女優 菜 葉 菜 特集」は盛況の中、10月1日(日)に無事千秋楽を迎えたが、菜 葉 菜本人に訊く本インタビューはこのまま継続。

 ここからは番外編として改めて上映作品とともにこれまでのキャリア、そして今後について彼女に話を訊く。番外編全十回。

「女優 菜 葉 菜 特集」の開催が無事終了した菜 葉 菜   筆者撮影
「女優 菜 葉 菜 特集」の開催が無事終了した菜 葉 菜   筆者撮影

いまになってお芝居に対してすごく欲が出てきています

 長期の連載となった本インタビューも最終回。

 前回(番外編第九回はこちら)続き、これからの話について訊く。

 役者としてのキャリアについて振り返ってもらったが、現在の心境についてこう語る。

「『遅いよ!』と突っ込まれそうなんですけど(笑)、いまになってお芝居に対してすごく欲が出てきています。

 ただ、それは『こういう役をやりたい』とか『こんな作品に出てみたい』といった欲ではなくて。

 シンプルにいい女優、いい役者、監督やスタッフ、共演者の方々から信頼される俳優になりたいという欲です。

 そのためにも、人間としても女優としてもまだまだ成長したい。

 いい女優になれるように現状に満足しないで努力をし続けたい。

 前に『一生、この仕事を続けていこう』と心を決めたというより、小さなことをひとつひとつ積み重ねていった気づいたら、役者を続けていた、というお話しをしました。

 つまり『この道で』『この道しかない』と覚悟を決めたようなことはなかった。そのせいか、これまでは『もう潮時かもしれない』といった辞める選択が心のどこかにありました。

 でも、いまは自分から『辞めたい』と思うことはないです。求めていただける限りやりたいという気持ちがあります。

 そういう意味で、役者として続けていく覚悟がいま決まったといっていいかもしれません」

「女優 菜 葉 菜 特集」の開催が無事終了した菜 葉 菜   筆者撮影
「女優 菜 葉 菜 特集」の開催が無事終了した菜 葉 菜   筆者撮影

一歩ずつ前に進めればいいし、少しずつ成長できればいい

 俳優としてのキャリアが20年を越し、次の20年、これからについてどのようなことを考えているだろうか?

「いつなにがあるのかがわからないのがこの世界。

 それこそある役への出演がきっかけとなって一躍ブレイクすることもあれば、そういういわゆる当たり役や出世作のようなものに出合わないまま終わることも珍しくない。

 さきほど、自分から『辞めたい』と思うことはないといいましたけど、数年先になってみたら、もう自分が求められなくなっているというケースだって考えられる。

 役者としての意欲はあるけど、それを発揮できる場がなくなっているかもしれない。

 正直、この先になにがあるかは予想もつかないです。

 だから、そういうことはあまり考えても仕方ないなと。

 自分としてはしっかりと準備しておくしかないと考えています。

 どういうことかと言うと、もしかしたら、わたしにも一躍有名になるような役のチャンスがめぐってくるかもしれない。

 そういう機会がきたときに、しっかりと期待に応えられるように準備をしておく。

 それだけではなくて、大きな役であろうと、小さな役であろうと関係なく、どんな役でも自分の力を発揮できるように自分を整えておく。

 そうしておけば、わからないですけど、自分なりの道が拓けていく気がしています。

 まあ、これまでを振り返ってみても、自分は、何かドカーンと一発当ててというよりも、ひとつひとつコツコツやっていってようやく花開くみたいなタイプだと思うんです。性格的にも小さなことを積み重ねてようやく自分に力がついたと思えるところがある。

 だから、一歩ずつ前に進めればいいし、少しずつ成長できればいい。ひとつひとつの作品を大事にして、ひとつひとつの役を丁寧に演じていきたい。

 そうやってこの仕事を長く続けていけたらいいと思っています」

(本番外編インタビュー終了)

【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー(作品編)第一回はこちら】

【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー(作品編)第二回はこちら】

【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー(作品編)第三回はこちら】

【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー(作品編)第四回はこちら】

【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー(作品編)第五回はこちら】

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【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー(作品編)第七回はこちら】

【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー(作品編)第八回はこちら】

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【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー(作品編)番外編第一回はこちら】

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【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー(作品編)番外編第四回はこちら】

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【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー(作品編)番外編第七回はこちら】

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【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー(作品編)番外編第九回はこちら】

【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー第一回はこちら】

【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー第二回はこちら】

【<女優 菜 葉 菜 特集>菜葉菜インタビュー第三回はこちら】

映画ライター

レコード会社、雑誌編集などを経てフリーのライターに。 現在、テレビ雑誌やウェブ媒体で、監督や俳優などのインタビューおよび作品レビュー記事を執筆中。2010~13年、<PFF(ぴあフィルムフェスティバル)>のセレクション・メンバー、2015、2017年には<山形国際ドキュメンタリー映画祭>コンペティション部門の予備選考委員、2018年、2019年と<SSFF&ASIA>のノンフィクション部門の審査委員を務めた。

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