日英伊共同開発の次期戦闘機、新たなコンセプトモデルが公開 #GCAP #デルタ翼
英国で7月22日から26日まで開催されるファンボロー国際航空ショーに先立ち、日英伊3カ国が共同開発を進めている次期戦闘機の新たなコンセプト画像が21日に公開された。
従来のモデルと比べ、主翼や後部胴体、尾翼部分に大きな変化がみられる。以前のバージョンよりも大きな翼となり、「ラムダ翼」から「デルタ翼(三角翼)」化している。これは、従来のドッグファイト(戦闘機同士の空中戦)の敏捷性よりも、航続距離(内部燃料容量の増加と抗力の減少)、速度(抗力の減少)、ペイロード(揚力の増加と抗力の減少)の向上に重点が置かれていることを示している。
これに対し、2023年3月の「DSEI JAPAN」で初公開された以前の次期戦闘機の模型は次のようなラムダ翼を採用していた。
次期戦闘機の計画は「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP=ジーキャップ)」と呼ばれる。三菱重工業と英航空・防衛大手のBAEシステムズ、イタリアの防衛大手レオナルドの3社が機体の開発を進めている。エンジン部分は日本のIHIと英国の航空機エンジン製造大手ロールスロイスが中心で、イタリアで航空機エンジンを手がけるアビオも加わる。電子システムは三菱電機、伊レオナルド、レオナルド英国法人が担当する。欧州の軍事大手MBDAもミサイル開発で参画する。
日英伊の次期戦闘機共同開発をめぐっては、タイムズ紙など複数の英メディアが7月19日、5日に発足したスターマー英労働党政権の防衛政策の見直し対象になると報じた。開発費への懸念が政府内で浮上しているためという。
これに対し、林芳正官房長官は22日の記者会見で、「岸田文雄首相とスターマー氏との(11日の)初会談でも次期戦闘機の共同開発への協力で一致している。引き続き、日英伊3カ国で緊密に連携し、共同開発を着実に推進する」と述べた。
木原稔防衛相も22日、英国に向け出発。次期戦闘機の共同開発を成功させる重要性を改めて訴える予定だ。
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