日英伊共同開発の次期戦闘機計画、防衛装備庁担当者が明かした今後のスケジュールや目標配備機数とは?
日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を巡り、岸田文雄政権は3月26日、第三国への輸出解禁を閣議決定した。2015年の集団的自衛権の行使容認と、2022年の反撃能力の保有決定に続く、戦後日本の安保政策の大きな転換を意味する。大局的にみれば、第二次世界大戦の敗戦から79年が経ち、日本は防衛と安全保障の面において、「一国平和主義」から、他の諸国と歩調を合わせる「普通の国」に戻る過程の中にある。
日英伊は効率的な共同開発で生産機数を増やして量産単価を引き下げ、将来は海外市場へ売り込むことを目指している。英伊両国は欧州や中東市場、日本はASEAN(東南アジア諸国連合)などアジア市場への輸出がそれぞれ予想される。
政府は、老朽化が徐々に進むF2戦闘機91機の退役が見込まれる2035年度までの次期戦闘機初号機の配備を目指しているが、今後の開発スケジュールはどうなっているのか。
防衛装備庁の次期戦闘機開発担当者は22日、輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針の改定に関する記者ブリーフィングの中で、今後の次期戦闘機計画スケジュールについて次のように述べた。
「(自公両党による運用指針改定の合意は)もともと2月を目指していたが、今回26日に方針が固まることになった。当初の予定よりは多少遅れてはいるが、もともと日英伊の交渉が本格化するのは4月以降を見込んでいた。(次期戦闘機の)性能を実現するために(日英伊)対等の立場にしてほしいということをお願いしてきた。まさにこういう(運用指針改定という)成果を出していただいた。実現をしていただいたので、それをもって実現すべき性能をしっかりと確保していくことに頑張っていきたい」
「今後の中長期的なスケジュールについては、設計が続く限り、常に日英伊それぞれが求める性能において、どこを重視していくかという判断が続いていく。設計が固まるまで、ある程度5年ぐらいはかかるかなと思っている。今は戦闘機のコンセプトを考えるところから、一般的に基本設計と言われているものに徐々に移っていっているフェーズにあると考えている」
「機数については、F2の後継機として日本としてはGCAP(グローバル戦闘航空プログラム)を開発するということが決まっているだけで、具体的に何機にするかはまだ確定していない。ただ、数が多い方が単価が安くなるので、今後じっくり考えていきたい」
「(日英伊3カ国による次期戦闘機の開発計画を合同で管理する政府機関の)GIGOについては、国会に条約案を提出させていただいている。認めていただければ通常国会後に立ち上がることになる。2024年度予算にも42億円の運営費が入っているので、年度内には必ず立ち上げたいとの思いで進んでいる。他方、企業側については、JV(共同企業体)という形を取るのか、コンソーシアム(共同事業体)という形を取るのか、いろいろと企業側でそれぞれの業界に適したものを選ぶと思う。GIGOが立ち上がって、企業側の体制が整わないというのは不自然ですから同じようなタイミングで立ち上がる。お互いに立ち上がったら、具体的にいつ、というのは我々にも分からない部分はあるが、1年とか2年の間には今各国でバラバラに結んでいる契約を、GIGOから(一本化して)契約を結ぶ形に変えていくことを目指している」
「(日英伊の)費用分担については、GIGOの中は公平に分担していくが、全体の費用分担はワークシェアの結果にもよる。ワークシェアをまず決めなくてはいけない。そのワークシェアについては4月から議論が本格化する。(費用分担については)一生懸命に決めていきたいのだが、交渉事でもあるし、設計が徐々に固まるに従って細部まで決まっていく。このため、いつまでというのはなかなか言うのが難しい」
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