米空軍、ステルス無人戦闘機のAI飛行に初成功
アメリカ空軍研究所(AFRL)は、開発中のステルス無人戦闘機「XQ-58Aヴァルキリー」が初めて人工知能(AI)によって飛行し、成功を収めたと発表した。
AFRLが2日に発表した声明によると、この飛行は7月25日にフロリダ州のエグリン空軍基地で実施。AFRLが開発し、機械学習で訓練されたAIアルゴリズムをXQ-58Aに使用し、3時間にわたる史上初の実証飛行を行った。
同声明によると、このAIアルゴリズムはAFRLで作成され、何百万時間ものシミュレーションを通じて磨き上げられたという。
AFRLトップのスコット・ケイン准将は「AIは将来の戦闘とともに作戦状況を理解し、意思決定を下す速さにおいて重要な要素となるだろう」と指摘、「我々はこのペースに遅れないよう、政府、学界、産業界のパートナーの連携した取り組みが必要だ」と述べた。
AFRLのウェブサイトによると、XQ-58Aは再利用可能な無人飛行機で、従来の有人飛行機や無人飛行機よりも運用コストがはるかに低くなるように設計されている。
アメリカ空軍によると、搭載コンピューターシステムは、指令に従う最適な飛行経路とスロットル(エンジン出力を調整する装置)の設定を決定できるという。
XQ-58は、米クラトスによって設計・製造された実験的なステルス無人戦闘航空機(UCAV)で2019年に初飛行した。最高速度はマッハ0.85、航続距離は3941キロ。
XQ-58は、親機によって制御され、偵察、防御射撃、敵の攻撃の吸収・阻止などの任務を遂行する「ロイヤル・ウイングマン」(忠実な僚機)として機能するように設計されている。有人戦闘機と無人機(UAV)を組み合わせることで、自律システム技術を活用し、将来の作戦能力の強化を目指している。日本を含め、各国が開発を競っている。
AI兵器をめぐっては、人間の判断が介在しないまま、AIが自動的に人間を殺傷する非人道的な兵器などはあってはならない。しかし、米国、ロシア、中国などの軍事大国によるAI兵器開発競争のあおりで国際ルール作りが遅れているのが実情だ。国連のグテレス事務総長は7月、人間の判断を介さずに殺傷行為におよぶ「自律型致死兵器システム(LAWS)」などを禁止するよう各国に要請した。そして、自律型AI兵器を禁じる法的枠組みを2026年までに採択するよう提案した。
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