令和元年の覇者は阪神タイガースジュニアだ!鶴直人監督のNPB12球団ジュニアトーナメントへの意気込み
■明日開幕するNPB12球団ジュニアトーナメント
いよいよ本番だ。
「NPB12球団ジュニアトーナメント」は、NPBの各球団が小学6年の少年少女を中心に16人のメンバーを選んでジュニアチームを結成し、12月27日から29日までの大会で優勝を目指して戦う。(詳細は⇒阪神タイガースジュニア2019メンバー/2019セレクション)
監督、コーチはそのチームのOBが就き、チームは現役選手と同じユニフォームを身にまとって戦う。阪神タイガースジュニアはもちろんタテジマだ。
監督には過去2年、タイガースジュニアで投手コーチを務めた鶴直人氏が就任し、昨年からの柴田講平氏、今年からの今成亮太氏とともにタイガースアカデミーの講師陣で臨む。
阪神タイガースジュニアのこれまでの最高位は準優勝(2016年、2017年)だ。メンバーは毎年違うのだが、2019年メンバーにとっても「今年こそは」の気持ちが強い。その気持ちをもって、ここまでの練習や練習試合に懸命に取り組んできた。
もちろんそれは首脳陣にとっても相違ない。これまで涙を飲んできた鶴監督が、今年のジュニアトーナメントに懸ける思いを明かした。
■優勝することが大前提の中、個々の成長も考える
まずは初めての監督業について、「難しい」とこぼした。
「やっぱり全体的にどういうチームを作っていくのか。もちろん勝たせるためにやっているんだけど、全員がよくなってほしいという思いがある」。
短期決戦の大会だ。勝つこと、優勝することが前提でありながらも、個々の選手にとっての成長を促したい。それは起用法にも関わることで、そこにはジレンマも生じる。
また、精神的なケアにも心を砕く。
「自チームでは4番を打ってる子に、このチームでは7番や8番を打たせることもある。できるだけ鼓舞するけど、それも競争だし、そういう厳しさも教えないといけない。そういうすべてが、彼らの野球人生にとってプラスになればと思っている」。
セレクションで高い競争率を勝ち抜いてジュニアチームの16人に選出されたメンバーたちだ。野球観に何かプラスアルファのものをもたらしてあげたいというのは、コーチ時代にも話していた。監督になってさらに、その思いは強くなっている。
「それぞれが意識も高いし、能力の高い選手が集まっている」と言うが、それだけに「どうやったらその子が活躍できるのか、そのアプローチが難しい。全体を見ながら個々も見なければ…」と、“活かし方”に腐心している。
「子どもたちも個々にどうしないといけないか、わかってきている。ただ、受身にはなってほしくない。うまくなりたい、勝ちたい、そのために何をしないといけないのか自分を知ってもらいたい」。そう要望する。
■より高いレベルの野球を
今年は今成コーチが加わったことで、より作戦面で高いレベルの教えを授けられている。
9月14日、甲子園球場の新室内練習場で2度目の合同練習をしたときのことだ。これまでにはあまり見られなかった投内連係、サインプレーに時間を割いていた。
「あの時期じゃないとできないから。実戦の中でそういうプレーがどれくらいできるかわからないけど、ああいう練習をしておくことで、それで勝つこともある。最初にクリアしておきたかった」と、鶴監督は意図を明かす。
「彼らの成長のためにも必要なこと。中学、高校にいっても役に立つから。ああいうことが頭に入っているからこそ、自分に足りないことにも気づけるし、補える。子どもたちにも『キミたちは能力がある。だから2ステージ上のことを求めている』と言っているし、ついてきてくれている」。
さすが選ばれしちびっこ虎戦士たちだ。
■同年代首脳陣のチームワーク
本番に向けて、鶴監督も胸が高鳴る。
「楽しみではある。やってくれるんじゃないかと思っている」と期待を募らせている。
「ただ、優勝するためには全員の志を同じにしないと。そこへの連係とか意思疎通がしっかりできれば、いい緊張感の中でできると思う」。
これまで2年のコーチ時代に得たことを監督として活かしつつ、「自分は自分のチーム作りをしようと思ってやってきている」と4ヶ月強、取り組んできた。
その中で2人の野手コーチの存在の大きさも痛感してきた。
「分担作業はうまくできている。野手のことは任せて、自分は守備的なことやピッチャーのことをしっかりやっている。でも、最終は僕が決めないといけない。2人からのアドバイスもしっかりもらって、話し合いもしっかりして、気づいた点は全員で意見を出し合ってやってきたし、本番でもそう」。
同年代3人の首脳陣のチームワークのよさが、チームのムードにそのまま反映されているようだ。
個性派ぞろいの2019年メンバーたち。
それぞれのよさを引き出し、試合の場面場面で生かせるよう考える首脳陣。
タイガースジュニアは一丸となって、令和元年の覇者となる。
(撮影はすべて筆者)
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