女優がセルフで自らのヌードを撮る。あまり例のない挑戦を経てのこれからについて
女優、ナレーターとして活躍する花澄(かずみ)。
これまで映画、舞台、テレビ、ラジオなど幅広いフィールドを活動の場にしてきた彼女は、昨年、新たな一歩を踏み出した。
それは「撮られる側」から「撮る側」へ。
写真家としての歩みを始め、2年間撮り続けたセルフポートレートから厳選した作品をまとめた写真集「Scent of a...」(セント・オブ・ア...)が完成。
女優自らが写真家として、自らのヌードを撮り、ひとつの作品にまとめるという、これまで例のないかもしれない写真集を発表した。
この写真集の完成とともに、新宿 北村写真機店で初の写真展も開催。
さらに同時期に初めてヌードでの濡れ場に挑んだ主演映画「百合の雨音」が公開の運びを迎えた。
この写真集及び写真展、そして「百合の雨音」については昨年末から今年にかけて詳しく彼女のインタビューを届けたが、この度、新宿 北村写真機店に続き、出身地の埼玉県熊谷市での写真展の開催が決定。
「地元での開催は念願だった」と語る彼女に、改めて話を訊く。
主演映画『百合の雨音』がようやく地元・埼玉で公開に
ここまで五回にわたって地元・熊谷での写真展開催について訊いてきたが、最後に番外編としてもうひとつエピソードを。
実は、今回の写真展開催に合わせてもうひとつうれしいことがあったという。
「実は、今回の写真集と写真展にも密接に結びついている、主演を務めさせていただいた『百合の雨音』の川越スカラ座さんでの上映が熊谷での写真展と同じ時期に決まったんです(※24日で上映終了)。
昨年の10月に公開がスタートして、おかげさまで全国のいろいろな劇場で上映されました。
これは光栄でいろいろな感想もいただいて、とてもうれしかったのは確か。
ただ、ひとつ残念だったのがわたしの地元である埼玉での上映がなかったこと。
前にもお話した通り、地元愛が強いので、埼玉でどうにか劇場公開されないか、ずっと願っていたんです。
そう願っていたら、ようやく川越スカラ座さんでの上映が決定して。『やった!』と思ったら、奇しくも写真展と同時期で、なんか不思議なめぐりあわせを感じてしまいました」
『百合の雨音』を経て、いま役者への意欲が溢れています!
写真家としての意識の変化は前回までで語ってもらったが、「百合の雨音」を経て、女優としての意識の変化はあっただろうか?
「『百合の雨音』のとき、お話しましたけど、それまで栞のようなバリバリの出来るキャリアウーマンといった役も、彼女のようなちょっと狂気の入った女性というのも、ほぼいただいたことがありませんでした。また、周囲がひいてしまう彼女のような服を着たこともなかった(笑)。
だから、『これ、わたしで大丈夫?』とはじめは思って、手探りでやっていって、最後は裸になること含めて、『もうNGなしでとにかくやれるだけやってみようと』と覚悟を決めて栞という役に全力投球しました。
そのことがつながったかわからないんですけど、先日『相棒21』に出演させていただいたのですが、その役というのが栞さんにつながるというか。
ちょっと狂気をはらんだ、服装もちょっと独特な女性だったんです。
奇しくも、映像作品で2作続けて、自分の中ではイメージにない役をいただいたんですね。
これはひとつ自信になりました。
わたし自身は『こういう人物は似合わない』と思っていたから縁遠いと思っていた。
けど、周囲からみると『こういう役をやらせてみてもおもしろい』と思っていただけるところがわたしにあるんだなと気づかされた。
もともと演者としてイメージを固めたいとは思ってなくて。役者としてはいろいろな役をやってみたい気持ちが強くありました。
ただ、キャリアを積む中で、どこか『これは自分に向いている役かな』とか『自分のイメージにはないだろうな』と考えるところは出てきてしまうもので……。
『百合の雨音』の経験は、その考えを一度リセットさせてくれたというか。
あらため、役者であるからには、様々な役をやってみたい、自分にはまだまだ別の顔があるのではないかと思わせてくれる経験になりました。
だから、いま自分の気持として『こんな役もあんな役もやってみたい!』という役者への意欲が溢れています」
見逃しがちな『美』をとらえたい
最後に写真家としての話に戻すが、次をどう見据えているのだろうか?
「自宅でセルフで自分のヌードを撮るというのは、コロナ禍で人と会うことも外に出ることもできなくなって、というところから編み出した撮影方法で。
当時としては、これしか作品を撮る術がないところがあった。それもあって、自分自身と向き合うことがテーマのようになっていった。
つまり、撮っていく中で、テーマが定まっていったところがあった。
でも、いまは状況が変わって自由に外にも出れれば、人にも会える。なので、次はテーマをひとつもって、撮っていくのもいいかなと思っています。まだどうやっていこうか厳密には決めていないんですけどね。
ただ、ひとつ言えるのは、見逃しがちな『美』をとらえたいというか。
写真を始めてから、たとえば枯草であっても、よく目を凝らしてみるとそこに『美』があったりする。カメラを手にして、思いがけないところに『美』があることに気づくようになった。
普段は見過ごしてしまいそうなところに『美』が潜んでいる。よく見渡すと、そういうひっそりとたたずんでいるような小さな『美』がそこかしこにある。
そういう美しさをとらえて、発信できないかと考えています」
写真集「Scent of a...」表紙
花澄写真展「Scent of a...」
会期:3月26日(日)まで
時間:12:00〜20:00
場所:コミュニティサロン キューノ
※熊谷駅北口および東口から徒歩9分
入場無料
写真集「Scent of a...」(セント・オブ・ア...)
A4変形ハードカバー64頁
価格:5500円(税込)
オンラインショップで販売
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