セルフで自らのヌード撮影を始めたきっかけは？女優で写真家、花澄が写真集完成＆写真展開催中
女優、ナレーターとして活躍する花澄（かずみ）。
映画、舞台、テレビ、ラジオなど幅広いフィールドを活動の場にする彼女だが、実はもうひとつ、写真家という顔がある。
ある日、カメラを手にしてファインダーを覗いた瞬間から「見える世界がかわった」と語る彼女。
そこから「撮られる側」から「撮る側」へ。写真家としての歩みを始めた。
そして、先日、２年間撮り続けたセルフポートレートから厳選した作品をまとめた写真集「Scent of a...」（セント・オブ・ア...）が完成。これは、女優自らが写真家として、自らのヌードを撮り、ひとつの作品にまとめた、これまで例のないかもしれない写真集になる。
この写真集の完成とともに23日（金）からは、こちらも自身で手掛ける写真展＜「Scent of a...」（セント・オブ・ア...）＞の開催がスタート。10月には初の主演映画「百合の雨音」の公開も控える花澄に、カメラを手にしたきっかけから、今回の写真集発表と写真展開催までを訊く。（全五回）
写真家、ハービー・山口さんに相談したのが運命の分かれ道
前回（第一回）に続き、カメラを手にした日のことを振り返ってもらう。
その日から、どこにいくにもカメラを持ち、シャッターを切るようになったとのこと。そして、しばらくして運命の出合いを果たすことになる。
「初めてのカメラを手にしてからは、もうみるものみるもの撮っていく感じで。
あまりに使い込み過ぎというか。使いすぎでカメラが悲鳴をあげ、何年かの間に３回ぐらい壊れてしまって（苦笑）。
再び修理しなければならなくなったとき、また何万円かかけて修理するのか、それとも新しいものを買い直すのか、『どうしよう？』となったんです。
そこで、周囲のカメラに精通した人がけっこういらっしゃったので相談することにしました。
で、ハービー・山口さんに相談したんです。
ここでハービーさんに聞いてしまったのが運命の分かれ道といいますか（笑）。
『ここは渾身の１台で、LeicaのMシリーズ、M10でしょう』と後押しされて、もう気持ちが『M10がほしい』方へ向かってしまったんです（笑）」
はじめてLeicaを手にしたときの衝撃。
レンズ越しに『なんなんだこれは！』と驚きました
こうして、M10を購入。それから1、2年が経つと「稽古場での役者たちの顔を撮りたい」との思いからシャッター音がより静かな「M10-P」に買い換えることに。
こうして、いまの愛機となる「Leica M10-P」を手にすることになる。
初めて手にしたカメラよりも、さらに「Leica」には驚きがあったという。
「はじめてLeicaを手にして、レンズを覗いてびっくりしました。
たとえば同じ風景でも、前のカメラでみたときと、まったく違った景色に見える。レンズ越しに『なんなんだこれは！』と驚きました。
はじめて手にしたときは、銀座の街をスナップして回ったんですけど、見慣れた風景も違ってみえる。
それで実家の近くにいったとき、ちょうど桜の季節で桜を撮ったんです。
その写真で、自分の驚きの要因に気づきました。街を撮ったときは気づかなかったんですけど、写真の奥行というか深さがまったく違う。
『このレンズとカメラ凄すぎる』と思って、もうここからは一気に『写真の沼』にどっぷりはまった感じです（笑）。
それで、色々と調べて、先にレンズを買って。本体もまだ無いのにレンズを机の上に置いて眺めてたんですよ。早くカメラ買わなきゃ！って感じで（笑）。いないですよね、そんな人。
欲しい画が割とはっきりしていたんですが、それでもやはり実際に撮ってみると想像以上の世界が広がっていました。
そこからはもうオールドレンズを買いまくって（苦笑）、どんどん写真にのめり込んでいきました。
最初に相談にのってくれたハービーさんは、『M10-P』に買い換えたときに『コイツ、本気だな』と（笑）、思ったそうです」
ソール・ライターのヌード写真との出合い
当初、カメラに収めていたのは風景や役者仲間など。それをもとに何度か写真展も開催する。
その中で、コロナ禍に入る少し前、2019年の年末にひとつの大きな出合いを果たす。
「世の中がコロナ禍に入るほんとうに少し前だったんですけど、金子修介監督の映画『信虎』の撮影で京都にしばらく滞在していたんです。
そのとき、ちょうど＜ソール・ライター写真展 “SAUL LEITER – NUDE”＞が開催されていて、見に行ったんです。
タイトル通り、ヌードの写真なんですけど、わたしとしては別世界をみせられたというか。『こういう世界があるんだ』と深い感銘を受けました。
ヌードの写真というと、まずは裸が前面に感じられて目に飛び込んでくると思うんですけど、ソール・ライターは違うというか。
裸の人物とその周囲の風景が同化しているというか。そこに等しく存在しているように感じられる。なにか一枚の美しい絵画をみせられているような感覚になったんです。
と同時に、『こういう写真を自分も撮りたい』と思いました。そして、『こういうヌードならばわたしも撮れるのではないか』と思ったんです。僭越ながら（笑）。
『エロス』や『官能』といったところに重きをおいたヌードはちょっと自分には無理かなと思うんですけど、ソール・ライターのような人とモノがフレームのなかで自然にたたずみ一体となっているようなヌードならば、自分でも撮れるのではないかと。
なんの根拠もないんですけど、そう思ったんです」
会場を後にホテルに戻ると、その部屋で自撮りでのヌード撮影に挑んだという。
これがのちのち今回のポートレイト写真集と写真展へとつながっていく。
「某ホテルに戻って、すぐにセルフでのヌード撮影に臨みました。
わからないですけど、通常のヌード写真ならば、どう裸体を置いたら美しくみえるのかとか、裸を優先して考えるのかもしれません。でも、わたしとしては、いかにすればひとつの作品になるかが重要で。そちらに頭がいっているので、あまりヌードを撮っているといった意識はなかったです。
ソール・ライターのような写真を目指して『自分ならではの写真に』といった意識で臨んでいた気がします。で、納得のいく写真が撮れたんです。
いま振り返ると、これが今回の写真集と写真展の一歩になりました」
（※第三回に続く）
写真集「Scent of a...」（セント・オブ・ア...）
A4変形ハードカバー64頁
価格：5500円（税込）
写真展会場とオンラインショップで販売
オンラインショップはこちら → https://kazumiphoto.base.shop/
写真集や写真展に関する最新情報はこちら
→ https://kazumi-photo.com/news/
＜花澄写真展「Scent of a…」（セント・オブ・ア）
〜わたしが、わたしを、うつす〜＞
期間：10月23日（日）まで
時間：10:00~21:00(※店舗営業時間に準ずる）
入場無料
場所：新宿 北村写真機店 6F Space Lucida
<「Scent of a…」写真展＆写真集刊行 スペシャルトークショー開催決定！>
登壇：花澄／ハービー・山口
本日9/24 14:00~＠新宿 北村写真機店 6F Space Lucida
定員15名、先着整理券制
※当日13時より整理券配布
北村写真機店YouTubeアカウントより配信あり
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