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かまぼこ屋根の簡易駅舎がある山間の交換可能駅 高山本線 打保駅(岐阜県飛騨市)

清水要鉄道・旅行ライター
打保駅

 以前の記事で、岐阜県最北端の駅・杉原駅を紹介したが、その一つ岐阜寄りにあるのが打保(うつぼ)駅だ。明治8(1875)年まで吉城郡打保村だった宮川沿岸の集落に位置している。

駅入口より
駅入口より

 打保駅は昭和8(1933)年11月12日、飛越線が杉原から坂上まで延伸した際に開業。当時の所在地は吉城郡坂下村で、昭和31(1956)年9月30日に坂上村と合併して宮川村となり、平成16(2004)年2月1日の合併で飛騨市となっている。

 駅舎は開業時のものを70年近く使用していたが、平成15(2003)年3月に現在の2代目駅舎に改築。コンクリート打ちっぱなしのかまぼこ屋根駅舎で、築20年以上が経った今でもあまり古さは感じさせない。駅は集落の中心を貫く天生カツラ街道から階段を下りた低いところにある。

ホーム
ホーム

 ホームは相対式2面2線。駅舎側の1番線が下り富山方面、反対側の2番線が上り高山・岐阜方面だ。ホーム間は屋根付き跨線橋で結ばれている。

2番ホーム 待合室
2番ホーム 待合室

 2番ホーム上には昭和57(1982)年3月に建てられた鉄骨造りの待合室がある。ガラス張りで、密閉されているので熱がこもりやすく、夏季にここで列車を待つのは厳しいだろう。筆者が訪問した際にはホームの日陰で列車を待った。

係員詰所
係員詰所

 2番ホームのそばには保線係員の詰所もある。木造の古い建物で、昭和8(1933)年11月の開業時に駅舎などと一緒に建てられた建物の貴重な生き残りだ。破損防止のために一部の窓が板で塞がれているものの、90年以上に渡る駅の歴史を今に伝えてくれている。

構内のスノーシェルター
構内のスノーシェルター

 構内の線路の分岐器(ポイント)部分はスノーシェルターで覆われており、駅周辺の冬期の雪深さを感じさせる。平成16(2004)年10月22日の台風23号による不通で、キハ48‐5803+キハ48‐6810の2両が当駅に取り残された際には、線路が繋がって搬出されるまでの2年余りの間、スノーシェルター内で風雨から保護されていた。この2両は平成19(2007)年2月9日に当駅を後にし、整備を受けて営業運転に復帰、高山本線での引退後はミャンマーに輸出されて、遠い異国の地で第二の車生を送っている。

通過する特急ひだ
通過する特急ひだ

 打保駅のある飛騨古川~猪谷間は高山本線でも特に列車本数の少ない区間で、日中は2~3時間に1本しか普通列車がない。たった2両の短い特急「ひだ」も通過してしまう。列車での訪問難易度はお世辞にも易しいとは言えないが、それだけに列車をうまく組み合わせて各駅を制覇した時の達成感はひとしおだろう。

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鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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