築92年の木造駅舎が残る岐阜県最北端の駅 高山本線 杉原駅(岐阜県飛騨市)
以前の記事で、高山本線の会社境界駅・猪谷駅を紹介したが、今回はそのJR東海側の隣駅、杉原駅を紹介しよう。富山県との県境を前にした最後の集落にある岐阜県最北端の駅だ。
杉原駅は昭和7(1932)年8月20日、猪谷から伸びてきた飛越(ひえつ)線の終点として開業した。駅舎は開業時のもので、まもなく築92年を迎える。外観は板張りのままで原型を色濃く残しているが、内部は綺麗に改修されているのであまり古さは感じさせない。屋根は豪雪地帯に多く見られるトタン屋根で、瓦屋根の駅舎が残る猪谷駅と比べると、より降雪量が多いのだろう。
ホームは相対式2面2線。駅舎側の1番線が富山方面、反対側の2番線が高山・岐阜方面ののりばだ。2番線へは昭和45(1970)年1月14日竣工の屋根付き跨線橋で結ばれている。高山本線は特急も走る路線で、駅間が長いこともあって列車の行き違いが可能な駅も多い。
駅があるのは、宮川に面した傾斜地で、駅舎は駅前の道路から階段を下った低いところにあり、ホームは駅舎よりさらに低いところにある。駅前には集落が形成されていて、商店や民宿、温泉宿泊施設「飛騨まんが王国」がある。令和4(2022)年度の一日平均乗車人員はわずか1人。利用者数や集落の規模の割には宿泊施設が充実している。
宮川が形成した深い谷の底に残る杉原駅の木造駅舎。かつては右手に繋がる形で木造の便所があったが、撤去されて更地になっている。高山本線でも駅舎の建て替えが少しずつ進んでいることを考えていると、この駅舎も記録できるうちにしておいた方がよいだろう。
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