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屋根付き階段で高台のホームと結ばれた簡易駅舎 高山本線 楡原駅(富山県富山市)

清水要鉄道ライター
楡原駅

富山駅を発し、神通川を渡ったところであいの風とやま鉄道(旧:北陸本線)から分かれた高山本線は、速星(婦中町)、八尾(やつお)、笹津といった平野部の町を経て、笹津駅の先で神通川を渡ると、富山平野に別れを告げて神通川が刻んだ深い谷間へと分け入っていく。神二ダムを横目にしばらく走ると眼下に見えてくるのが楡原(にれはら)の市街地だ。楡原駅のホームは市街地を見下ろす高台にある。

待合室内
待合室内

楡原駅は昭和5(1930)年11月27日に飛越線の駅として開業。現在の駅舎は平成元(1989)年3月18日に完成した二代目で、通路を挟んで待合室と除雪用具の倉庫、便所がある。

ホームへの階段(左)と地下通路入口の跡(右)
ホームへの階段(左)と地下通路入口の跡(右)

駅舎を抜けたところには高台のホームに通じる階段がある。その右にあるのは廃止された対向ホームに通じていた地下通路の跡で、平成14(2002)年に交換設備が廃止されてからは使われなくなり、現在はコンクリートで塞がれている。

ホームへの階段
ホームへの階段

ホームに通じる階段は高低差21メートルで、段数は30段。バリアフリーが重視される時代に逆行するかのように急な階段だが、基礎は90年以上前の開業時のものなのだろう。豪雪地帯らしい屋根付き仕様で、同様の階段は五能線の八森駅、只見線の塔寺駅、上越線の上牧駅、身延線の善光寺駅、因美線の那岐駅、岩徳線の柱野駅などにも見られる。その中でも楡原駅は高低差が一番大きく、昭和30年代には国鉄で一番だったそうだ。土合駅、筒石駅、湯檜曽駅といったトンネル駅が揃った後の昭和50年代でも国鉄第4位の高低差だったとの記録があるが、果たして今測り直したら全国の駅の中で第何位なのだろう。

ホーム
ホーム

ホームは単式1面1線で緩くカーブしている。かつては反対側にもホームがあり、地下通路の完成以前は構内踏切で結ばれていたが、夏季は草に覆われてその痕跡もわかりにくい。ホーム上にもかつては木造待合室があったが、老朽化により令和4(2022)年9月12日から11月10日にかけて撤去されている。

旧:富山市細入中核型地区センター(旧:婦負郡細入村役場)
旧:富山市細入中核型地区センター(旧:婦負郡細入村役場)

楡原は平成17(2005)年4月1日に富山市に編入された旧:婦負郡細入村の中心で、駅前には細入村役場もあった。旧役場は昭和47(1972)年に建てられたもので、合併後は細入中核型地区センターとなったが、令和5(2023)年3月27日に隣接する細入総合福祉センターに移転して役目を終えている。

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鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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