富山平野に建つ築97年の木造駅舎 高山本線 千里駅(富山県富山市)
岐阜と富山を結ぶ高山本線のうち、JR西日本が管轄する猪谷~富山間は木造駅舎が多く残る区間だ。全10駅のうち5駅と半分の駅が戦前からの木造駅舎だ。富山市婦中町にある千里(ちさと)駅もそんな駅の一つである。
千里駅は昭和2(1927)年9月1日に飛越線の駅として開業。駅名は当時の所在地、婦負郡千里村に由来する。「千里」は明治の町村制の際に名付けられた瑞祥地名だ。千里村は昭和17(1942)年6月20日に婦負郡富川村と合併して婦負郡神保村となり、自治体としては消滅している。神保村は昭和30(1955)年1月1日の合併で婦負郡婦中町となり、平成17(2005)年4月1日の合併で富山市となった。
千里駅の駅舎は開業時のもので、今年で築97年。待合室部分が別室として区切られているのは寒冷地ゆえだろうか。無人化から半世紀以上経過している割には駅舎の状態は良い。このまま建て替えられることなく百年の節目を迎えてほしいものだ。
ホームは相対式2面2線。駅舎側の1番のりばが富山方面、反対側の2番のりばが越中八尾・猪谷・岐阜方面だ。駅裏には工業団地があり、富山市中心から10キロほどという立地ゆえに駅周辺は宅地開発も進んでいる。
駅舎はかつて白っぽく塗られていたが、平成18(2006)年頃に塗り直されて、クリームとワインレッドの塗り分けとなった。この塗り分けは線内の他の木造駅舎にも共通しており、西富山駅、速星駅、猪谷駅も同じ色だ。越中八尾駅も同色だったが、平成30(2018)年頃に塗り替えられている。
趣深い木造駅舎が多く残る富山県内の高山本線。うまく列車を組み合わせれば一日で全10駅を巡ることもできるので、駅巡りデビューにはうってつけの路線だ。青春18きっぷなどで巡ってみてはいかがだろう。
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