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一部解体で郵便局を移設?変化が予想される築103年の木造駅舎 高山本線 坂祝駅(岐阜県加茂郡坂祝町)

清水要鉄道ライター
坂祝駅

 8月1日、坂祝(さかほぎ)駅の駅前にある第一駐輪場が、駅舎改良工事のために閉鎖された。改良工事の詳細についてはまだ発表されていないものの、坂祝町議会だより第185号によれば、現駅舎の一部を解体して跡地に坂祝郵便局を移転する方針だという。

駅舎
駅舎

 坂祝駅は大正10(1921)年11月12日開業。加茂郡坂祝町の玄関口で、町内唯一の駅だ。開業時に建てられた木造駅舎が残っており、今年で築103年を迎える。難読で知られる「坂祝(さかほぎ)」の名は長い歴史を持つ坂祝神社に由来しており、「坂に注意」を意味する「坂ほき(歩危)」が転じたとの説がある。

駅舎内
駅舎内

 坂祝駅は平成16(2004)年4月1日に無人化。窓口跡は板で塞がれている。平成22(2010)年3月13日からはIC乗車券「TOICA」も使用可能になったが、無人化から20年の月日を経ているだけあって駅舎は少々くたびれてきている。

ホーム
ホーム

 ホームは相対式2面2線。駅舎側の1番線が岐阜・名古屋方面、反対側の2番線が美濃太田・高山・多治見方面だ。駅裏にはセメント工場があり、かつては三岐鉄道東藤原駅との間でセメント輸送の貨物列車も運転されていたが、平成19(2007)年3月17日を最後に終了している。

坂祝郵便局
坂祝郵便局

 駅前通りを100mほど行ったところには坂祝郵便局がある。現在の局舎は昭和49(1974)年に建てられたもので、築50年を経て老朽化が進んでおり、建て替えに合わせて坂祝駅への移転が計画されている。当初は千葉県の江見駅のように駅舎と郵便局、公衆トイレを一体化した建物の建設も検討されたが、江見駅と同じようにはできないとの判断により、駅舎の一部を解体して跡地に新局舎を建設する方針となった。江見駅方式が採用されなかった理由としては、坂祝駅に券売機がないこと、JR東海とJR東日本では日本郵政との一体業務に対する考え方が違うことが挙げられている。

駅前通りの奥に坂祝駅 右の建物は昭和49年まで使用されていた旧坂祝郵便局
駅前通りの奥に坂祝駅 右の建物は昭和49年まで使用されていた旧坂祝郵便局

 具体的な工事スケジュールや、新しい郵便局の詳細はまだ公表されていないものの、駅前も含めて大きな変化が予想される坂祝駅。築103年の木造駅舎の完全な姿を見るなら早めに行っておいた方がよいだろう。

(追記:9月7日)

 9月4日、坂祝駅を郵便局と一体となった駅舎に建て替えることが公表された。9月中に現駅舎の撤去を開始し、令和7(2025)年6月より新駅舎・トイレを建設、令和8(2026)年3月に新郵便局を開局予定のことだ。開局翌月からは駅前ロータリーの整備が予定されている。

 建て替え工事に伴い、坂祝駅の駅舎は9月6日で使用を終了し、9月7日より仮通路の使用を開始した。

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鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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