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【消えた駅舎2023④】令和5(2023)年10月~12月に消えた駅舎

清水要鉄道・旅行ライター
小川郷駅

この記事では今年の10月から12月に消えた駅舎を振り返っていく。東北の歴史ある木造駅舎が目立ったほか、廃線後も残されていた駅舎の解体も相次いだ。

左沢線 羽前山辺駅(山形県東村山郡山辺町)
左沢線 羽前山辺駅(山形県東村山郡山辺町)

鉄道の日である10月14日には山形県の羽前山辺駅の旧駅舎が役目を終えて閉鎖された。旧駅舎は昭和15(1940)年11月に建てられたもので、左沢線で最後まで残った木造駅舎だった。来春完成予定の新駅舎は地元・山辺町で盛んな繊維産業にちなみ、「ニット」の網目をイメージした格子状のデザインとなる予定である。

9月下旬で見納め!築83年、左沢線最後の木造駅舎 左沢線 羽前山辺駅(山形県東村山郡山辺町)

奥羽本線・五能線 川部駅(青森県南津軽郡田舎館村)
奥羽本線・五能線 川部駅(青森県南津軽郡田舎館村)

10月には青森県にある川部駅の旧駅舎も解体された。5月27日に新駅舎が完成していたものの、なぜかすぐには解体されず、役目を終えてから4か月近くも残っていた。旧駅舎は明治27(1894)年12月1日開業時以来のもので、青森県では最も古い駅舎だった。奥羽本線と五能線の接続駅だが、新駅舎への移行を前にした今年3月18日より無人化されている。

128年半の歴史に幕を下ろす青森県最古の木造駅舎 奥羽本線・五能線 川部駅(青森県南津軽郡田舎館村)

石勝線夕張支線 沼ノ沢駅(北海道夕張市)
石勝線夕張支線 沼ノ沢駅(北海道夕張市)

10月24日からは北海道にあった廃駅・沼ノ沢駅の駅舎が解体された。石炭輸送で栄え、平成31(2019)年4月1日に廃止された石勝線夕張支線の駅で、駅舎は昭和38(1963)年10月に建てられたもの。駅舎内の旧事務室部分には「レストランおーやま」が入居しており、地元住民や鉄道ファンに人気だったが、駅廃止後の令和2(2020)年6月に閉店していた。

レストランおーやまが入居していた駅舎 廃止から4年半で解体 石勝線夕張支線 沼ノ沢駅(北海道夕張市)

のと鉄道能登線 松波駅(石川県鳳珠郡能登町)
のと鉄道能登線 松波駅(石川県鳳珠郡能登町)

10月20日からは石川県の旧:松波駅の解体工事も開始され、11月に本格化した。昭和38(1963)年10月1日開業時以来のもので、平成17(2005)年4月1日の廃止から18年目にしての解体である。廃止後の平成19(2007)年11月に改装されて「松波城址情報館」に転用されていたが、近年は使用されず放置状態だった。

転用されるも放置状態だった駅舎 廃止から18年で解体 のと鉄道能登線 松波駅(石川県鳳珠郡能登町)

飯田線 下地駅(愛知県豊橋市)
飯田線 下地駅(愛知県豊橋市)

11月には愛知県の下地駅の建替え工事も本格化した。旧駅舎は昭和49(1974)年8月21日の下り線移設に伴って改築されたもので、上下線に挟まれて建つという珍しい構造だった。新駅舎は東海道新幹線の車両に使用していたアルミを原材料として再活用したものとなる。

磐越東線 小川郷駅(福島県いわき市)
磐越東線 小川郷駅(福島県いわき市)

11月には福島県の小川郷駅の旧駅舎が役目を終えた。大正4(1915)年7月10日開業時に建てられたもので、地元出身の詩人・草野心平の『故郷の入口』という詩にも登場する。かつては待合室に本棚が置かれ、地元住民の交流の場としても利用されていた。保存を望む声もあったが、老朽化により9月中旬から建て替え工事が始まった。

108年の歴史に幕 蛙の詩人・草野心平のふるさとの木造駅舎 磐越東線 小川郷駅(福島県いわき市)

山陰本線 西浜田駅(島根県浜田市)
山陰本線 西浜田駅(島根県浜田市)

12月5日には島根県の西浜田駅の旧駅舎が役目を終えた。大正11(1922)年3月10日開業時のもので、平成初期にコンパクト化されている。新駅舎は小さなものになるとのことだ。

まもなく姿を消す築101年の木造駅舎 山陰本線 西浜田駅(島根県浜田市)

東海道本線 菊川駅(静岡県菊川市)
東海道本線 菊川駅(静岡県菊川市)

12月24日には静岡県の菊川駅が仮駅舎に移行して役目を終える。昭和41(1966)年4月に建てられた鉄筋コンクリート造二階建て駅舎で、橋上化に伴う改築だ。新駅舎は令和8(2026)年3月末の供用開始が予定されている。

初代静岡県知事・関口隆吉の銅像と橋上化で消える駅舎 東海道本線 菊川駅(静岡県菊川市)

以上、3か月ごとに区切って今年消えた駅舎を振り返ってみた。今年は明治・大正から残ってきた古い駅舎の建て替えが目立ち、その中には地元住民の手で活用されてきたものも含まれているだけに、その建て替えが惜しまれる。来年以降も古い駅舎の建替えは続くのはまず間違いないので、気になる駅舎があるなら見れるときに見に行っておいた方がいいだろう。

【消えた駅舎2023①】令和5(2023)年1月~3月に消えた駅舎

【消えた駅舎2023②】令和5(2023)年4月~6月に消えた駅舎

【消えた駅舎2023③】令和5(2023)年7月~9月に消えた駅舎

鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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