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128年半の歴史に幕を下ろす青森県最古の木造駅舎 奥羽本線・五能線 川部駅(青森県南津軽郡田舎館村)

清水要鉄道・旅行ライター
川部駅

 青森県南津軽郡田舎館村にある川部(かわべ)駅は奥羽本線と五能線の二つの路線が乗り入れる分岐駅だ。五能線の普通列車は弘前駅を起終点としているが、進行方向を変える必要性から当駅では数分間停車する。かつては黒石とを結ぶ黒石線も分岐していた。

川部駅 駅舎
川部駅 駅舎

 川部駅の開業は明治27(1894)年12月1日。現在の奥羽本線が弘前~青森間を延伸した際のことだ。駅舎はこの時建てられたもので、駅舎の築年を示す建物財産標には「明27年10月」の文字がある。

明治27年10月の建物財産標
明治27年10月の建物財産標

 建物財産標の表記は時に間違っていることもあるものだが、もしこの表記が正しいのなら川部駅の駅舎は築128年、もうすぐで129年になることになる。青森県内にはこれ以上古い駅舎は無いため、川部駅の駅舎が「青森県内最古の駅舎」だ。

建て替え工事中の川部駅
建て替え工事中の川部駅

 そんな川部駅の駅舎も129歳の誕生日を迎えることなく消える。昨年10月上旬より建て替え工事が行われているのだ。新駅舎は5月27日(土)5時より使用開始予定。現駅舎のイメージを継承するが、現駅舎と比べて小規模なものとなる。

奥羽本線・五能線 川部駅新駅舎の使用を開始します(JR東日本のプレス)

閉鎖時間帯のみどりの窓口
閉鎖時間帯のみどりの窓口

 川部駅は開業以来長らく有人駅で、みどりの窓口も設置されていたが、今年3月18日より無人化された。みどりの窓口はその前日で営業を終了している。新駅舎が小規模になるのは、無人化で事務室が不要になるためだ。

川部駅のミニチュア
川部駅のミニチュア

 無人化された今は無くなってしまったようだが、昨年12月に訪問した際にはみどりの窓口前に駅舎のミニチュアが置かれていた。

ストーブが置かれた待合室
ストーブが置かれた待合室

 駅舎内の天井は高く、主要駅らしい風格を感じさせる。冬季にストーブが置かれているのは北国の有人駅ならではの光景だ。無人化されると、安全管理の問題からストーブが置かれなくなってしまうことも多い。

駅舎(ホーム側)
駅舎(ホーム側)

 二つの路線が分岐する要衝として130年近くに渡ってその役目を果たしてきた駅舎を見られるのもあとわずかだ。近くの方はこの機会に訪れてみるのもいいだろう。

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鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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