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2018年 世界のお天気総まとめ (災害編)

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(提供:アフロ)

今年も残すところあと僅かとなりました。2018年は平昌五輪やタイの洞窟少年救出など明るいニュースがあった一方で、痛ましい気象災害が多発した一年でもありました。

今年印象に残った、世界の気象を紹介したいと思います。

1. 猛烈に暑かったアジア

6月中東オマーンのクリヤットでは、夜間の気温が42.6℃と前代未聞の暑い夜を記録しました。これはアジア、ひいては世界の日最低気温の最高記録となる可能性があります。

続いて7月には埼玉県熊谷(※)市で41.1℃を記録し、日本の最高気温記録が更新されました。さらに8月には韓国・洪川で気温が41.0℃まで上がり、これまた国内記録が塗り替えられたのです。

2. 史上最悪の山火事が連続した北米

アメリカ・カリフォルニア州では、焼失面積、死者数ともに史上最悪の山火事が発生しました。

昨年末から1月にかけて発生した「トーマス・ファイア」は11万haを焼き、州史上最大の山火事となりましたが、8月の「メンドシーノ・ファイア」ではそれを上回る18万haが焼け、新たに記録が塗り替えられました。

また11月には州北部パラダイス付近で「キャンプ・ファイア」が発生し85名以上が死亡、州史上最も多くの人的被害を発生させた山火事となりました。

3. 度重なるハリケーンに襲われた北米

秋にはアメリカ東部や南部に記録的なハリケーンが襲来しました。

まず9月にはフローレンスがノースカロライナ州に上陸・停滞し、ハリケーンの雨量としては州史上最大となる913ミリの雨を降らせ、55人が亡くなりました。

さらに翌10月にはマイケルが全米史上3番目の強さ(中心気圧919hPa)でフロリダ州に上陸し、死者60名を出す大惨事となったのです。

4. ハリケーンで島が消滅したハワイ

ハリケーン直撃前と後のイースト島の姿 (画像元: アメリカ合衆国魚類野生生物局)
ハリケーン直撃前と後のイースト島の姿 (画像元: アメリカ合衆国魚類野生生物局)

普段ハリケーンが来ないハワイにも今年はハリケーンが複数襲来しました。

8月にはレインが最接近し、ハリケーンによる雨量としては全米史上3番目の記録となる1,300ミリがハワイ島で観測されました。

その後9月には、トロピカルストーム・オリビアが史上初めてマウイ島に上陸し、翌10月には太平洋中部としては史上2番目に強いハリケーン・ワラカがハワイ北東部の島々を直撃しました。大波による浸食で、ユネスコ世界遺産にも登録されているイースト島は一日で姿を消し、島が突如消えてしまったと世界的なニュースにもなりました。

5. 異例づくめの台風シーズン

サイパン直撃時の台風26号 (画像元: NASA)
サイパン直撃時の台風26号 (画像元: NASA)

今年太平洋西部で発生した台風の数は29個、そのうち7個が「猛烈な(最大風速54メートル以上)」勢力となるなど、記録的に忙しい台風年となりました。

特異な台風も発生し、なかでも台風12号は三重県上陸後に史上初めて日本列島を西に横断するという異例の進路をとりました。

また台風26号は中心気圧905hPaの勢力でアメリカ自治領サイパン周辺を直撃し、この地域としては史上最強勢力での上陸となったのです。

このように2018年は、記録的な災害が発生したり、未だかつてない現象が起きた激動の一年となりました。来年は穏やかな年になるよう願いたいと思います。

※12/31訂正いたしました。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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