ロスに続きサンディエゴでも 拡大を続ける加州の山火事
まるで吹き出すマグマの様に、燃えさかる激しい炎に包まれているロサンゼルス郊外。ロス中心街から北西に100キロ離れたベンチュラ郡では、4日(月)から山火事が発生しています。
「サンタアナ風」と呼ばれる乾いた強風の影響で、火の気は一気に広がっており、そのペースは1秒間に4500平方メートル(オリンピックプール3個分超)にも及んでいます。
そして7日(木)にはサンディエゴ郊外でも2つの山火事が発生し、2人が負傷しました。
非常事態宣言発令も…
カリフォルニア州知事は非常事態宣言を発令し、周辺住民に避難を呼びかけています。CNNによると、これまでのところ州全体で570平方キロメートルが焼失(ちなみに東京23区の面積は620平方キロ)、19万人が避難をしたとのことです。
5700人の消防士が任務に当たっているものの、火の勢いは激しく、消火どころの騒ぎではないようです。強風のため空からの消火活動も危険とのことで、例えばベンチュラ郡の鎮火率は7日(木)時点で5%に留まっています。
宇宙から見た山火事
山火事はあまりに大規模なため、その様子は宇宙からもしっかりと捉えられています。写真からは大量の煙が、カリフォルニア南部から太平洋に向かって流れているのがわかります。
今後の天気
残念ながら当面は事態の好転は望めない状況です。その理由が「オメガブロック」です。
上空の天気図を見ると、まるで「Ω(オメガ)」の文字のように大きな気圧の尾根が、アメリカ西部に張り出しているのがわかります。文字通り「オメガブロック」と呼ばれる型で、こうした気圧配置になると長期間に亘って高気圧が同じ場所に居座り、晴れが続きます。
アメリカ南西部の盆地に高気圧ができると、東風がシエラネバダ山脈を吹き降りて、カリフォルニア南部では乾燥した強風「サンタアナ風」が吹きます。高気圧が長居すればするほど、サンタアナが吹き続け、山火事のリスクが高まるのです。
米気象局によると、今回のサンタアナは今季最長かつ最強とのことで、少なくとも週末までは続く見込みとのことです。風速35メートルに及ぶ強風が吹き、湿度は5%まで下がる予想も出ており、山火事のリスクは引き続き高いままです。
山火事の名称
ところで、今回ベンチュラ郡で起きている火災は「トーマス・ファイアー」という名前が付いています。現在カリフォルニアではその他に「クリーク・ファイアー」や「リバティー・ファイアー」など5つの大規模な山火事が発生しています。
このようにアメリカでは山火事に一つ一つ名前が付けられています。大半は場所が識別しやすいように、山火事の発生した地名、山、湖、川などが由来であることが多いのですが、時に面白い名前が付けられていることがあります。
例えば、消火に駆け付けた消防士が持っていたスナックから「チェダーチーズ・ファイアー 」、娘の名前から「サマンサ・ファイアー」、そもそも名前が思いつかなかったから「ノンクリエイティブ・ファイアー」などという名称もあったようです。2005年には「ダーティーフェイス(汚い顔)・ファイアー」なる山火事がありましたが、この場合は山の名前が由来でした。