「源田壮亮選手(西武)に尊敬していますと言いたかった」 プレミア12韓国代表の22歳遊撃手の思い
野球の国際大会「プレミア12」は24日に東京ドームで決勝戦を迎える。台湾での1次リーグで日本と同組だった韓国は目標だった2次リーグ進出を逃した。韓国にはチームの敗退に加えもう一つ残念な思いを持つ選手がいた。22歳の遊撃手、キム・ジュウォン(金周元=NC)だ。
「源田壮亮選手(西武)のことがものすごく好きなんです」
1次リーグの日本戦に敗れた翌日、ドミニカ共和国戦の試合前にキム・ジュウォンは日本人の筆者にそう話しかけてきた。キム・ジュウォンとはこれまで幾度も言葉を交わすも、おとなしい性格のキム・ジュウォンが自分から声をかけてくるのは珍しいことだった。
「高校生の時から源田選手のようになりたいと繰り返し動画を見てきました。守備全般が参考になります。柔らかなハンドリング、捕ってからの早さ、フィールディングのすべてを源田選手から学びました」
キム・ジュウォンが日本のトッププロが参加する大会で代表入りするのは、今回が初めてだ。
「プロに入ってもし代表選手になったら『源田選手に会えるんじゃないか』と思っていました」
キム・ジュウォンにとって前日の日本戦は願いが叶うかもしれない日だった。
「『尊敬しています。高校生の時からずっと動画を見てきました』と伝えられたらと思っていました。ただきのう僕は出番がなくて、源田選手も終盤(8回表の守備)の出場だったのでチャンスがなかったです」
試合は真剣勝負。グラウンド上の選手は集中している。その一方でちょっとした間に、対戦する野手と走者が言葉を交わすことがないわけではない。15日の日韓戦でも牧秀吾(DeNA)に「好きだと伝えたい」と言っていた韓国の野手が出塁した牧に声をかけていた。
キム・ジュウォンは高卒4年目。守備では「まだ粗削り」という評価はあるが2年目からレギュラーに定着。昨季、今季と主に下位打線に座り、2年続けて規定打席に到達した。俊足と長打力を兼ね備えたスイッチヒッターだ。
韓国には日本選手を「ロールモデル」に挙げるプレーヤーが多くいる。ただ目標とするだけではなく現役時代の阿部慎之助(現巨人監督)の自主トレに参加した捕手のパク・セヒョク(朴世ヒョク=現NC)のように、知人やエージェントを介して接点を持つケースもある。
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今回の韓国代表では投手のイ・ヨンハ(李映河=トゥサン)が今年初め、戸郷翔征(巨人)らと戸郷の故郷宮崎でトレーニングを行った。
キム・ジュウォンに「もし源田と一緒に自主トレができたら?」と尋ねると、「簡単なことではないです」と言い、「2次リーグに進出して東京ドームで話す機会さえあれば」と16日の時点では思っていた。
今回のプレミア12では韓国代表の控え遊撃手だったキム・ジュウォン。彼は憧れの存在に「近づく」ことをこれからも願い続ける。
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