ハワイの世界遺産の島、ハリケーンで消滅 過去には台風で壊滅した島も
高い文明を持ちながらも、洪水と地震で一日にして海底に沈んだとされる幻の大陸アトランティス。規模こそ違うものの、今月はじめ太平洋に浮かぶ「イースト島」が突如として消滅したと話題になっています。
イースト島とは
イースト島は、ホノルルから西に850キロ離れた太平洋の中心に浮かぶハワイの無人島です。ユネスコ世界遺産にも登録されている「パパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメント」に属します。
パパハナウモクアケアは全長1900キロにも及ぶ、多種多様な海洋生物を擁する世界最大の海洋保護地域です。
絶滅の危機に瀕しているアオウミガメやハワイモンクアザラシの生殖地でもあり、特にアオウミガメの96%はイースト島周辺に生息しているといわれています。
被害
この希少生物の生息地であるイースト島が、今月ハリケーンによる高潮と高波により水没したと話題になっています。
下の写真には水没以前と後の島の様子が写っています。現在は砂浜が数か所だけ姿を現す程度です。
ハリケーンが原因
水没の原因とされるハリケーンは、今年10月に発生したワラカ(Walaka)です。ワラカは一時、中心気圧が920hPaまで下がり、太平洋中部における観測史上2番目に強いハリケーンともなりました。その後中心気圧946hPa、またカテゴリー3(上から3番目に強い)の勢力でイースト島に接近しています。
過去には台風で…
これまでにも同じように、台風などが原因で島が消えてしまったことはあるのでしょうか。
本来の意味での島ではありませんが、浅瀬がハリケーンの襲来で消えてしまった例があります。それはアメリカ・ノースカロライナ州東岸に位置する、通称シェリー島と呼ばれる場所です。2017年にハリケーン・イルマ、ホゼ、マリアなどの度重なる襲来を受けて、消えてしまったといいます。
また1905年6月30日には、台風により太平洋のノックス環礁が壊滅的な被害に遭ったという記録があります。ノックス環礁は、現在のアメリカ領マーシャル諸島に属しますが、かつて日本の占領下に置かれ、日本の領土の最東端とされた場所です。
台風の直撃によって、島のほぼ全域が流され、島民の大多数が亡くなるという悲劇が起きました。生き残ったのは、木に捕まって漂流をしていた少年2人だけだったようです。
島の再生
しかし現在、ノックス環礁はその姿を取り戻しつつあるといいます。
ニュージーランド・オークランド大学の研究者によると、島から人々がいなくなったことで珊瑚礁が復活し、珊瑚が堆積したことなどにより島が再生されているというのです。
ではイースト島も、いつかはその姿を取り戻すのでしょうか。
残念ながら、海面水位が上昇を続けている昨今にあって、専門家は水没した状態が続くとみているようです。